愛知県名古屋市の河村たかし市長(72)が、ソフトボール日本代表・後藤希友投手(ごとう・みゆ 20歳)が東京五輪で獲得した金メダルを噛んだ問題で、メダルが交換対応となることが明らかになりました。
河村たかし市長は4日、後藤希友投手が名古屋市役所を表敬訪問した際に、2008年の北京五輪以来13年ぶりに行われた競技で獲得した貴重なメダルを首にかけてもらい、「重てゃ~な~、本当に、これ、重てゃ~ですよ」と感想を言った後、突然マスクをずらして何の断りもなしに金メダルを噛み、それをそのまま後藤投手に返しました。
この行為に対して多くの批判、苦情が寄せられたことから、「最大の愛情表現だった。迷惑を掛けているのであれば、ごめんなさい」といった謝罪コメントを出しましたが、その後も批判は収まりませんでした。
<↓の画像が、後藤希友投手の金メダルを噛んだ河村たかし市長の写真>
また、後藤希友投手が所属する『トヨタ自動車』は豊田章男社長名義で河村たかし市長宛の抗議文を出し、「今回の不適切かつあるまじき行為は、アスリートへの敬意や称賛、(新型コロナウイルス)感染予防への配慮が感じられず、大変残念に思う。河村市長には責任あるリーダーとしての行動を切に願う」としていました。
これを受けて名古屋市の副市長らは5日にトヨタ自動車の本社を訪問し、河村たかし市長による謝罪文を預け、河村市長は同日に謝罪会見を行いましたが、「金メダルに強い憧れがあり、『これが金メダルか』と、とっさにやった」「あの時は非常にフレンドリーな感じだった」「嫌がらせの認識は全くなかった」「歯が食い込むようなかみ方はしていない。跡は付いとらんと思う」
などと言い訳し、その会見も手に持った紙を読み上げているだけで、誠意が全く感じられないものだったことで火に油を注ぐ結果となっていました。
これにより河村たかし市長は、15日に出席予定だった東京パラリンピックの聖火を採火するイベントへの出席が取り止めとなり、河村市長はこれに対して、「自分の意思ではない。世界中の不自由な人を祝福する意味でも、“パラ行事”には出席しないといけないと思う」
などと話していると報じられています。
そして、河村たかし市長が噛んだ後藤希友投手の金メダルを巡っては、交換対応してあげて欲しいとの声が多く上がっており、愛知県の大村秀章知事も「可能であればメダルを再発行してほしい。前例はないとは聞いているが、関係者とも話し合っていきたい。自分としても話していきたい」としていたのですが、東京五輪の大会組織委員会がメダルを交換する方向で対応を進めていることが明らかとなりました。
これは日本テレビ系『NNN』などの取材で明らかになったもので、関係者によれば後藤希友投手は噛まれた金メダルについて、「チームで勝ち取って表彰式で授与されたものだとして、新しいメダルとの交換を辞退する意向を示していた」とのことです。
<↓の画像は、東京五輪で金メダルを獲得したソフトボール日本代表の写真>
しかし、各方面からメダルを交換するよう求める声が高まっていたことから、最終的に予備のメダルと交換することが決まったといい、「メダルの交換にかかる費用は、河村市長に請求する方向で調整している」としています。
この対応に対してネット上では、
- ただ交換するだけじゃなく、交換費用を噛んだ本人に請求するのが素晴らしいね!経費で落としたら絶対許さんぞ!
- 別のメダルになってしまうと言うのは可哀想だが良かったと思う。新しいメダルが来たら、またチームでいっぱい触ったりして思い出を作ってあげて欲しいな。
- メダルを見るたびにおっさんに噛まれた…となるよりはマシだと思うんで、個人的には良かったけど、皆と一緒に授与されたメダルは世界にたった1つなのにね…。
ほんと、金メダリストになんて事してくれたんだと思います。こんな人が市長だなんてありえない! - 交換してあげたいっていうのは外野の意見だから強要するような事はしちゃダメでしょ…最終判断は選手の意向最優先にするべきでは…?
- 後藤選手も交換して欲しいと言ってるんですかね?河村たかしに噛まれたけど、新しいものよりは表彰式でもらったメダルのままがいいと思う場合もあると思うので
- “表彰式でもらった金メダル”っていう何物にも代えがたい大切なものを、交換せざるを得ない状況になってしまったことを市長はどう思っているのか…。
できれば、そんな大切な思いがこもったメダルを交換ではなく、メダルをもう1つ上げてほしいぐらいです。 - まわりがとやかく言うよりも本人の気持ちを一番にして欲しい。河村市長のやったことは許せないけど、後藤選手本人の気持ちを考えると何が一番良いかは他人がとやかく言うことではないと思う
- 新しいメダルと共に、市長も交換する必要があるでしょう。同等の物と交換すれば解決する問題ではない。
本人はメダルを見たら起きた出来事、かけられたセクハラ・パワハラ言動、それらを一生思い出すだろう。自らの職務と引き換えに交換すべき。
などの声が上がっています。
東京五輪の組織委員会は5日時点で、河村たかし市長が噛んだメダルについては「新たなメダルへの交換の対象にはならない」としていました。
その理由は、「メダルの製造瑕疵(かし)があった場合のみ、組織委員会が窓口となり無償で対応する。それ以外(今回の人的行為により歯形が付いた場合など)は対象外」と、元からメダルに欠陥があった場合のみの交換対象となるとのことでした。
そのため、後藤希友投手のメダル交換は異例の特別対応となり、河村たかし市長によって汚されてしまったメダルの交換が決まって良かった、その費用を河村市長に負担させるのは良い対応との声が上がっています。
その一方で、『NNN』の報道によれば後藤希友投手は、東京五輪の表彰式でメンバー全員で獲得したメダルだからこそ価値があるとして、当初はメダルの交換を辞退する意向を示していたとのことから、本人の意思を尊重するべきなのではとの声も多く、メダル交換を巡っては賛否両論となっています。
交換することで決まったとの報道から、後藤希友投手も了承しているものとみられますが、河村たかし市長が人としてあり得ない行動を取ったことで、またとない最高の思い出に傷をつけるなど、非常に罪深い行為をしたと改めて感じます。
謝罪文を提出するだけでなく、本人に直接謝罪をしたのかどうかは分かりませんが、できる限りの誠意ある対応をしていってほしいところですし、河村たかし市長は今年4月の市長選で5回目となる当選を果たしたものの、今回の騒動を受けて辞任を求める声も多く上がっており、これから市民からの信頼回復にも取り組んでいってもらいたいです。