セルビア出身で、男子テニス世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ選手(33)が、選手の体力維持を目的とした自身が主催のチャリティー大会『アドリア・ツアー』の参加後、新型コロナウイルスの検査を受けた結果、妻・エレナさんと共に陽性反応が出たことを公表した上で、大会を強行開催したことは間違いだったと認め、謝罪しました。
ノバク・ジョコビッチ選手が主催の『アドリア・ツアー』は、6月13日にセルビアのベオグラードで開幕し、20・21日にクロアチアのザダル、27・28日にモンテネグロ(渡航制限の問題で13日に中止を発表)、7月にはボスニア・ヘルツェゴビナで試合を行う予定でした。
しかし、ベオグラードとザダルでの試合に出場したブルガリアのグリゴール・ディミトロフ選手(29歳 世界ランク19位)が、試合後に体調不良を訴えてモナコへ帰国、検査を受けたところ新型コロナウイルスの陽性が判明、これを受けて濃厚接触者22人が検査を受けることになりました。
その結果、グリゴール・ディミトロフ選手と20日に対戦したクロアチアのボルナ・チョリッチ選手(23歳 世界ランク33位)の陽性が判明しました。
<↓の画像左がボルナ・チョリッチ選手、右がグリゴール・ディミトロフ選手>
また、ノバク・ジョコビッチ選手のフィットネスコーチであるマルコ・パニキさん、グリゴール・ディミトロフ選手のコーチであるクリスチャン・グローさんの陽性も明らかになりました。
その後も、セルビアのビクトル・トロイツキ選手(34歳 世界ランク184位)と妊娠中の妻・アレクサンドラさんも陽性が判明し、ツアー関係者の間でクラスターが発生したとみられており、これによってツアーは中止となりました。
<↓の画像左はビクトル・トロイツキ選手、右がノバク・ジョコビッチ選手>
このツアーでは、約4000人の観客が配布されたマスクをほぼ着用せず、距離も空けずに観戦していたほか、大勢の記者を集めてマスクなしでの記者会見が行われ、ファンと直接触れ合うようなファンサービス・イベントがあったり、試合後には選手たちが握手やハグなどをしたり、バスケットボールなどをしたり、ベオグラードのナイトクラブに繰り出して半裸姿で騒ぐ姿も目撃されていました。
<↓の画像は、ハグをするノバク・ジョコビッチ選手らの写真>
これにより、世界中のメディアやテニスプレーヤー等からも批判の声が噴出し、大騒動に発展する中で、ノバク・ジョコビッチ選手が23日に新型コロナウイルスの陽性を公表し、謝罪しました。
なお、大会に出場したドイツのアレキサンダー・ズベレフ選手(23歳 世界ランク7位)、ロシアのアンドレイ・ルブレフ選手(22歳 世界ランク14位)、クロアチアのマリン・チリッチ選手(31歳 世界ランク37位)は検査で陰性だったことを発表しています。
ノバク・ジョコビッチ選手は公式サイトやSNS上で、「ベオグラードに到着してすぐに検査を受けに行きました。私の結果は(妻の)エレナと同じく陽性でしたが、子どもたちは陰性でした。(中略)感染した一人一人の方々には大変申し訳なく思っています。誰もが健康状態が悪くなることがなく、みんなが元気になることを願っています。今後14日間は自主隔離し、5日後に再検査を受ける予定です」
と報告しており、現時点では特に症状は出ていないとのことです。
また、「我々の大会が災いをもたらしたことは大変申し訳ない。この1ヶ月間に主催者らと自分がしたことは全て純粋な心で、誠実な意図をもって行ったことだった。大会は全ての保健手順を守って行われ、我々の地域の保健状況も良好で、慈善目的のためにようやく人々が一堂に会することができると我々は思っていたが間違っていた。時期尚早だった」
と反省、謝罪の言葉を綴っています。
そして、ノバク・ジョコビッチ選手等の新型コロナウイルス感染に対してネット上では、
- 強気でイベント開催してたのが完全に裏目にでたな
- 良いことをしようとしたのはわかるが、あまりにもコロナ対策がずさんでしたね。参加選手の感染はまだまだ広がりそうです。
- 油断大敵…というより、認識が甘すぎたとしか。やはり人を集めるには細心の注意が必要なんですね。
選手たちもですが、観ていた人や集まっていた人にも、感染が広がらないといいけれど。 - チャリティーの発案までは良かったけど、ナイトクラブ行ったり、みんなで肩組んでみたりとコロナ対策がお粗末すぎる。まるで自分が楽しみたいから開いただけの大会にしか思えない。
オマケに感染者多数。ここから2週間隔離されると選手には取っては秋からの大会への体作りが致命的かもね。 - これだけの超絶アホだから、フェデラーと同じくらいの実績なのに半分以下しか稼げないんだな。大金出してもイメージダウンになりそうだもんな
- ジョコって原因はアレルギーだったかもだが、気管支弱かったりしたよね。重症化しないといいが。
しかし、後の祭りだね。命の危険と引き換えじゃ代償が大きすぎる。高齢者に感染させたりしたら責任取れないよね。 - これは衝撃、今年の全米、全仏もだが、ウイルスを完全に押さえ込まないと今迄のような大会は難しい。
しかも比較的相手との距離があるテニスですら普通にすればクラスターとなる。
柔道、剣道、相撲、レスリングにフェンシングは感染確率Sランクだ。卓球、バトミントン、サッカーでA、野球テニスがBというイメージ。オリンピックが不可能というのがよくわかった。
などの声が上がっています。
現在も世界各国でエキシビションマッチが行われていますが、新型コロナウイルス感染拡大防止のために、基本的には無観客で開催し、コート内外では選手らの接触をなるべく避け、消毒も徹底するなどの対策を講じています。
しかし、『アドリア・ツアー』ではほぼ通常通り試合を開催し、4000人もの観客を入れた上に、選手同士が握手やハグなどの濃厚接触をしており、大会運営サイドに大きな問題があったとしか言えません。
ノバク・ジョコビッチ選手は男子シングルスの世界ランク1位で、『ATP選手協議会』の会長も務めている身でもありながら、ツアーを強行開催し、複数の新型コロナウイルス感染者を出してしまったというのは非常に残念です。
このツアーで複数の新型コロナウイルス感染者が出たことにより、8月末から9月にかけて、無観客での開催が決定した4大大会の1つ『全米オープン』にも影響を与えるのではと懸念の声も上がっていますが、果たして予定通り大会は開催されるのでしょうかね。