小学生向けの漫画雑誌『月刊コロコロコミック』3月号に掲載の漫画『やりすぎ!!! イタズラくん』(原作:吉野あすみさん)で、モンゴルの英雄と言われている偉人チンギス・ハンの顔に落書きした問題で、出版元の小学館が販売中止にすることを発表しました。
<↓の画像が、問題視されているチンギス・ハンの落書き>
現在書店側に返品を求めており、希望に応じ購入者に対しても返金対応(定額相当の返金)をするとし、返金方法などの詳細については未定で、決まり次第公式サイト上で発表するとのことです。
<↓の画像が、『小学館』公式サイト掲載の販売中止発表>
また、『月刊コロコロコミック』の公式サイトでは、3月号で企画していた「イタズラクガキコンテスト」の中止も報告しているほか、チンギス・ハンの顔に落書きしたイラストを掲載した作者・吉野あすみさんの謝罪コメントも発表されています。
<↓の画像は、『コロコロコミック』公式サイト掲載の企画中止コメント>
一連の騒動を受けて吉野あすみさんは、「この度は、私の漫画内でモンゴルの英雄チンギス・ハーンに対し大変不適切な描写をしてしまい誠に申し訳ございませんでした。チンギス・ハーンを敬愛する全ての方々に謹んでお詫び申し上げます。モンゴル国の歴史と文化について不見識だったことを深く反省し、今後は様々な国の歴史と文化を深く理解し尊重する表現を心がけていきたいと思います。」
と謝罪しています。
<↓の画像は、吉野あすみさんの謝罪コメント>
チンギス・ハン落書き騒動は、元横綱・朝青龍さんがツイッター上で怒りをあらわにしたことで一気に拡散され、ネット上でも大きな注目を集めることになり、駐日モンゴル大使館もフェイスブック上に抗議文を掲載、日本外務省に抗議を申し入れました
さらに、日本に住むモンゴル人ら約90人が2月26日に小学館前で抗議集会を実施し、参加者たちはチンギス・ハンの肖像画などを持ちながら「(コロコロコミック3月号の)回収と誠実な謝罪を求める」と抗議した上で、同社に抗議文も送付しました。
<↓の画像が、本社前で抗議活動を行った人たちの写真>
これほどまでの大騒動になったことから、『小学館』側は公式サイト上に謝罪コメントを掲載したほか、問題となっている『月刊コロコロコミック 3月号』を回収するという判断を下したわけですが、これに対してネット上の反応を見てみると、
- 大袈裟にし過ぎ。
- やりすぎイタズラくんってタイトルに偽りなしでええやん
- 昔のコロコロこういうこと頻繁にやってたやろ
- 表現の自由だろ
- 言うて小学生もっとキツい落書きしとるやろ
- その辺のネット漫画で個人が書くならともかく、商業誌でこれにオッケー出したのは流石に頭おかしい
- さかのぼれば似たような案件いっぱいあったろうけどね。小学生が読むギャグマンガなんてそういうもんだろうけどね。編集者の判断でいいか悪いかだろうけどね……
- やりすぎたらあらゆるところから怒られますって勉強になりますって子供に教えるネタにしたら?
- 謝罪は必要だったかも知れないが、販売中止はいきすぎ。このような前例を作ってしまったら、事あるごとに販売中止する事になる。
- 美味しんぼもそうだが、小学館の漫画関係の編集部のコンプライアンスが低すぎる。一度締め直さないと、また何か問題起こすぞ。
- こんな事で、販売中止かよ。英雄・偉人と呼ばれた人々を茶化すのは文化だと思うけどね。もちろん茶化された関係者は面白くないだろうが、過剰すぎる反省反応は、重要な権利を自ら狭めていく行いだと思う。
などのコメントが寄せられています。
とりあえず『小学館』は相手側の要求を全て呑むという形にし、問題となっている3月号の販売を中止したほか、返金対応までするという対応をとったわけですが、ネット上ではこの対応が物議を醸しており、販売中止にするのはやり過ぎだという声も多く上がっています。
『小学館』側は当初、販売中止とはせずに販売継続の方針を示していたのですが、広報担当者は販売中止にした理由について、「チンギス・ハーンを敬愛する方々を不快な気持ちにさせてしまったことから、書店の混乱を避けるために販売中止を決めた」と説明しています。
また、吉野あすみさんが『別冊コロコロコミック』で連載をしている『やりすぎ!!! イタズラくん』について、「現時点では、打ち切りの予定はない」としています。
『小学館』側が販売中止を決める前から一部の大手書店は販売中止を決定しており、大手書店チェーン『紀伊國屋書店』『未来屋書店』『くまざわ書店』などは2月末の時点で販売中止にしていたとのことから、総合的に判断して販売中止にした方が良いということになったようです。
ギャグ漫画に掲載された肖像画の落書きによって、ここまでの騒動に発展するのはどうなんだろうかと正直思いますが、文化が違えば捉え方は違うでしょうし、チンギス・ハンはモンゴルで「国家創建の英雄」とされていて、神に近いレベルで崇められているようなので、モンゴルを侮辱する行為だと受け止められても仕方がないのかもしれません。
このようにちょっとしたネタが非常に大きな騒動に発展してしまいましたが、これがきっかけで漫画内などでの表現も過剰に問題視することが続出するようにはならないでほしいなと思います。