1986年~1997年まで放送の前身番組『とんねるずのみなさんのおかげです』から数えて、30周年を迎えたバラエティ番組『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系 木曜21時)の30周年記念SPが28日に放送され、平均視聴率が10.0%(関東地区)を記録したことが29日に明らかになりました。
30周年記念スペシャルでは、ビートたけしさん(70)やタモリさん(72)といった大御所芸人が出演し、「祝っていいとも!」として2014年3月末をもって終了した『笑っていいとも!』のセットを完全再現し、とんねるずの石橋貴明さん(55)と木梨憲武さん(55)がタモリさんとトークを披露。
<↓の画像は、完全再現された『笑っていいとも!』のセットでトークを披露したタモリさん&とんねるずの写真>
また、ビートたけしさんは、1991年2月~1996年3月まで放送の深夜バラエティ番組『北野ファンクラブ』の人気コーナーだった「亀有ブラザーズ」を復活させ、たけしさんは「鬼瓦権造(おにがわら・ごんぞう)」、石橋貴明さんは『とんねるずのみなさんのおかげです』で人気だったキャラクター「保毛尾田保毛男(ほもおだ・ほもお)」、木梨憲武さんは「ノリ子」に扮し、東京・銀座を巡るといった企画が行われました。
<↓の画像が、ノリ子、鬼瓦権造、保毛尾田保毛男に扮した3人の写真>
同時間帯に日本テレビ系で放送された『ダウンタウンDXDX』の平均視聴率は9.1%となっており、『とんねるずのみなさんのおかげでした』の30周年記念スペシャルはまずまずの好視聴率を獲得していたのですが、石橋貴明さんが久々に披露した保毛尾田保毛男がネット上で物議を醸しており、同性愛者や両性愛者などの「LGBT」の方たちで作る団体、支援者らがフジテレビに抗議を行うなど大きな騒動に発展します。
この話題は『NHKニュース』も取り上げており、LGBT団体などはフジテレビに対して「性的少数者への差別や偏見を助長し、特に学校で子どもたちが危険にさらされる可能性がある」と訴え、フジテレビと番組協賛社に対しては謝罪とLGBT当事者との対話の場、差別・偏見のない番組作りを求める抗議文を送付したとのことです。
<↓の画像が、問題視されている石橋貴明さん扮する保毛尾田保毛男の写真>
こうした問題に詳しいという宝塚大学・日高庸晴教授はNHKの取材に対して、「『ホモ』という言葉自体が蔑称であると言われている今、なぜ放送するのか。当事者の子どもたちに恐怖心を植え付けるだけでなく、社会に同性愛を笑いにしていいと認識させ、いじめのきっかけ作りにテレビが加担することになる」と語っています。
また、NPO法人『G-net』の代表理事で、慶應義塾大学SFC研究所の所員・秋元祥治さんは、今回の番組の差別的な表現を受けて、番組スポンサーの中には撤退を決めたところもあると明かしています。
このような批判の声が上がる中で、フジテレビは29日に定例社長会見を行ったのですが、騒動を受けて宮内正喜社長は「視聴された方の中に不快の念をお持ちになった方がいたら、テレビ局としては大変遺憾なことで謝罪をしないといけないなと思っております」と語り、石原隆取締役は「電話やホームページなどでいろいろな意見をいただきました。『懐かしい』というご意見もあれば、『このご時世になんだ』という両方の意見がありました」と明かしています。
<↓の画像は、フジテレビ・宮内正喜社長の写真>
今回の件ではツイッターやネット上にも、
- えー…今どき保毛尾田保毛男なんて侮蔑的なキャラクターを平然と放送するんですか
- 懐かし企画とはいえ、確かにこのご時世にあのキャラは、差別・嘲笑と批判されても仕方ない
- 21世紀にもなって、同性愛者を笑っていいというメッセージを流すことは許されない
- 保毛尾田保毛男(ホモオダホモオ)を、このご時世に再現するなんて、フジテレビはどういう神経しているのだろうか。同性愛者を笑いものにして、それが本当に面白いのか
といった批判の声が上がっていたのですが、過剰に反応し過ぎだという声も非常に多く、
- なんかネタキャラでもクレームつくからテレビ側も作るの大変だな。文句あるなら見なきゃいいのに。
- 時代が変わってしまった。世間がテレビを変えていく。もうあの頃のバラエティが見れないのは寂しい。
- 良かったよ ほんと面白かった。LGBT団体もこーいうのはわらってスルーしなよ。言論弾圧団体になりたいのかやめとけやめとけ欧米と日本は違う
- フジだから何でも叩けばいいやってのがアホくさい
- 差別を助長してるのはむしろLGBT団体
- 別にテレビぐらい良くねぇか?じゃあ、こいつらLGBTを取り上げた世の中のありとあらゆるものに文句を言うのかね?
- LGBT団体の抗議のせいでメンドクサイ奴等なんだなって偏見が生まれそう
- これダメなら人間の個性も全否定かよ LGBT団体とやらはよ
- こんな風に真向から抗議すると余計に偏見を集める気もするがね。もうちょっと粋な返しとかできないのかねぇ
- ハゲはいくらネタにしても構わないが同性愛はダメという風潮
などの声が上がっており賛否両論となっています。
保毛尾田保毛男は、『とんねるずのみなさんのおかげです』時代の人気キャラクターで、30年近く前に誕生したキャラクターではあるものの、見た目のインパクトなどから現在もテレビ番組などでタレントがモノマネすることもあり、最近では2013年4月放送の『めちゃ×2イケてるッ! 国立め茶の水女子大学付属第48高等学校期末テスト』にて、当時AKB48のメンバーだった板野友美さんが保毛尾田保毛男に扮した姿を披露していました。
<↓の画像が、保毛尾田保毛男に扮した板野友美さんの写真>
今回このような大きな騒動に発展し、フジテレビの社長も「大変遺憾なことで謝罪をしないといけない」などとコメントしていることから、保毛尾田保毛男は今後、テレビ番組などでは完全に封印されることになるとみられ、さらに、LGBTを揶揄するような同様のキャラクターも自主規制されることになるかと思います。
テレビは大きな影響力を持っているため、LGBTの方などに多少の配慮をすることは必要かと思うのですが、批判を全て受け入れてしまうと制限に縛られ、テレビはさらにつまらないものとなってしまうことから、世間の反応などを見ながらしっかりと協議した上で結論を出してほしいですね。