“サブちゃん”の愛称で親しまれているベテラン演歌歌手・北島三郎さん(本名=大野穣[みのる]81歳)と元暴力団幹部の親しい付き合いが裁判で明らかにされ、馬主としての資格を失う可能性があることを29日発売の週刊誌『週刊新潮』が報じています。
北島三郎さんと暴力団関係者の交際が明らかになった裁判というのは、東京都内の金融業者が2016年に起こした8000万円の求償債権を請求する訴訟とのことです。
求償債権というは、他人の債務を弁済した者が、その他人に対して債務の弁済額の返還を求める権利のことを言います。
この権利を主張する金融業者が北島三郎さんに対して8000万円の支払いを求め裁判を起こしたわけなのですが、このトラブルは今から15年以上前に建設された『北島三郎記念館』(北海道函館市)が大きく関係しているといいます。
『週刊新潮』によると、函館市の市制施行80周年記念事業の一つとして、北海道出身である北島三郎さんの記念館を建設することが決まり、この建物は北島さんと親しく付きあっていた大阪の製造小売業者『エクセルヒューマン』が建設主になっていたそうです。
訴状や原告の主張によると、『エクセルヒューマン』は建設にあたって銀行から23億円の融資を受けたそうなのですが、融資を受ける際にブローカーの仲介があり、融資が実現した場合にはブローカーに対して、融資額の5%を手数料として支払うという約定書を交わしたとのことです。
しかし、手数料の支払いが行われなかったことにブローカーが激怒し、まずは山口組系の暴力団関係者に相談し、その暴力団関係者は北島三郎さんの名前を冠した記念館が絡んでいることから、北島さんと旧知の間柄だったという山口組系の暴力団幹部に話を持ち込み、手数料の支払いを促そうとしたそうです。
それを知った北島三郎さんは、手数料の支払い交渉をその暴力団幹部に委任し、1億円の手数料は自らが払うと約束したといい、7年前にその一部である2000万円を支払ったそうなのですが、まだ8000万円が支払われていないと原告側が主張しています。
一方、北島三郎さんと旧知の仲だったという山口組系暴力団幹部は、数年前に現役を引退しているそうなのですが、その元暴力団幹部・青山氏(仮名)はこれまで何度も相手側の暴力団関係者から返済を迫られ、2000万円を返済した直後に原告の男性に相談し、男性から8000万円を借り入れ、それを相手側に支払ったとのことです。
そして、この8000万円を肩代わりした男性(原告)に対し、お金が返済されていないことから裁判を起こしたという話なのですが、この裁判で最も注目されたのは金銭トラブルではなく、北島三郎さんと元暴力団幹部・青山氏の深い繋がりだと『週刊新潮』は伝えています。
この青山氏は原告側に協力する形でしばしば登場しているそうなのですが、裁判に提出された陳述書などによると、1964年夏に大阪で行われた北島三郎さんのショー終了後に、料亭で行われた打ち上げの席で親分衆達が見守る中、北島さんと青山氏が兄弟分の盃を交わし、これをテーマにして作られたのが1965年3月に発表した代表作『兄弟仁義』だったなどと主張しているとのことです。
ちなみに、『兄弟仁義』を主題歌として1966年には映画化もされており、北島三郎さん主演でヒットを記録した任侠映画の傑作と言われています。
青山氏の主張によると、この時に交わした契りの内容は「終生何があっても、お互いに助け合い、心労の限りを尽くし合おう」というもので具体的には、「北島の芸能活動を裏面から補助し(略)ヤクザを含めて北島の活動を妨げる者が現れた場合には、命がけでこれを裏面から徹底的に排除する」「兄弟分となったことが世間に知られると北島の芸能活動に支障が出るので、私はあくまで黒子に徹する」「その代わり、北島は、私の生涯を通じて、生活の面倒をみるものとし、私のなす経済活動については、必要に応じて協力する」
といった契りを交わしていることが陳述書で明らかにされているそうです。
さらに、これまで北島三郎さんの窮地を救ったエピソードも明らかにされており、北島三郎さんがデビュー以来所属の『新栄プロダクション』から独立するため、当時社長の西川幸男さんに独立したいと頼んだところ、北島さんの弟が監禁されるという事件が発生し、この時に青山氏は命懸けで弟を助けたといいます。
一方で北島三郎さんが青山氏を助けたこともあり、1967年に青山氏が逮捕され名古屋刑務所に服役し、仮出所後の1974年から約1年は当時東京・中野にあった北島さんの自宅で生活していたと告白しています。
青山氏の主張によれば北島三郎さんとは50年以上前からこうした深い関係にあり、現在争っている金銭トラブルに関しても北島さんを守るためにしたもので、青山氏の上申書にも「『同じ山口組の兄弟が何としても抑えてくれ。スキャンダルは致命傷になるので、それだけは、回避するよう頼んでおく』と私の手を取って懇願した」「2011年5月、(北島側から受け取った)2000万円を山口組の者に払い、残金8000万円は6月に原告から用立ててもらい、借用して山口組に払い解決しました。私は北島のケツ持ちとして山口組として敵対したが、ケツ持ちの立場責任とは(略)その命を削ってでも、それを果たさなければいけないのです」ということが綴られているとのことです。
青山氏はこのように北島三郎さんとの関係を主張しているのですが、北島三郎さんの長男で、芸能事務所『北島音楽事務所』の社長・大野竜さんは青山氏の陳述に対して、「何故か父を『兄貴』と一方的に慕っており、『兄弟の契り』を交わしたなどと主張していますが、そのような事実はありません」とキッパリと関係を否定しています。
さらに、「父が青山氏に対して何か依頼をする、またはその見返りとしての金員を支払うなどの合意をしたことは一度もありません」とし、2人に面識があることは認めながらも親密な交際は否定しています。
しかしながら、双方の間で金銭のやり取りが行われていたことが合意書などによって明らかになっているほか、青山氏が北島三郎さん側に宛てた借用者が複数あり、数千万円単位のお金が不定期に支払われていたそうです。
なお、『週刊新潮』の取材に対して青山氏は北島三郎さんと50年以上の付き合いだと語り、2003年に『北島音楽事務所』が約4億円の所得隠しを国税局に指摘されて以降、自身に払うお金は不明金とならないように借用書を必ず入れることになったといい、北島さん側からは「貸した形にはするけど返してくれなくていいから」と言われていたという話も明かしています。
これに対して『北島音楽事務所』の社長・大野竜さんは、「今回の裁判は完全な言いがかりで、困惑しています」「青山氏はこれまで、手を替え品を替え、いろいろな理由を付けて父に借金を申し込み、その度父は『今度こそしっかりしてほしい』との思いで貸してきたのです。私は彼を暴力団関係者だとは知りませんでした。何か事業をやっている人というイメージで…。今となっては忸怩たる思いです」
と話しています。
このように北島三郎さんと元暴力団関係者の繋がりが明らかになった裁判は3月27日に判決が下され、原告の請求は棄却され、被告側の勝訴という形になっているのですが、原告はこの結果に納得しておらず「逃げ得は許せないから東京高裁に控訴します」と話しています。
そして、裁判で明らかになった黒い交際によって、競走馬の馬主としての資格を失う可能性もあるとしており、北島三郎さんは所属事務所の法人『大野商事』名義で馬を数等所有しているものの、『日本中央競馬会(JRA)』の馬主登録審査基準では、「暴力団員」と「暴力団員と親交があると認められる者、又は過去に親交があったと認められ競馬の公正を害するおそれがあると認められる者」については、馬主として適格ではないと認めると明記してあります。
実際に、暴力団関係者との黒い交際などを理由に馬主登録を抹消されたケースもあり、北島三郎さんも黒い交際が明らかになったことで、今後馬主の資格を失う可能性もあるようなのですが、この報道に対してネット上では、
- キタサンマジブラック
- キタサンブラック引退から負の話題が多いな
- 特に演歌界なんて昔からヤクザとズブズブの関係やん
- 稲川会のテーマソング(神奈川水滸伝)歌ってるよな。
- ええと、北島三郎とヤクザとの関係は大昔からさんざん言われているのに 何を今さらとしか言いようがない
- もういい馬にも当たらないだろうし本人も歩くことすらままならなくなりそうだし放っといてやれよ後生だよ 昔の芸能界なんかヤクザとの付き合い無しでは成立しなかったんだからしょうがねえんだよ
- 息子の死も何か関係あるのか
- JRAも何も言わないと仲間だと思われても仕方ないな
- そもそも馬主に認めるのがおかしい
- 地方回って公演やるような商売はしゃーない気もするけどな
- 普通に芸能関係者は全アウトじゃん あとパチンコ関係者も全アウト 賭博の裏にヤクザがいないわけがないからな
などのコメントが寄せられています。
北島三郎さんが暴力団関係者と関係を持っているという話はかなり有名で、指定暴力団『稲川会』と密接な関係にあると言われています。
1984年に公開されたヤクザ映画『修羅の群れ』は稲川会の初代会長・総裁である稲川聖城氏(本名=稲川角二)をモデルとした作品で、主題歌『神奈川水滸伝』を北島さんが歌唱しており、同曲は稲川会の式事ビデオなどで多用されテーマソングという扱いをされています。
1986年には稲川会の新年会に出席していたことが判明した結果、出場が決まっていた『NHK紅白歌合戦』の出場を辞退するというトラブルもありました。
また、2014年に亡くなった北島三郎さんの弟で、『北島音楽事務所』の常務取締役だった大野拓克さんも暴力団関係者とは顔なじみだということを自慢げに話していたことや、「親分衆の後押しで、今の北島三郎がある!」といった話をしていたという情報もあります。
そのため、北島三郎さんと暴力団関係者の関係が報じられたことに対して驚く声はほとんどなく、今さら何を言ってるんだという反応が多く見受けられます。
確かに、北島三郎さんと暴力団関係者の繋がりは今さらな話ではありますが、今回裁判所で兄弟の盃を交わしたという元暴力団幹部が登場し、金銭のやり取りもあったという話などが表沙汰になってしまった以上は、馬主登録の抹消は避けられないのではないでしょうかね…。