『第29回三島由紀夫賞・山本周五郎賞』(主催:新潮文芸振興協会)の候補作(それぞれ5作)が21日に発表され、モデル・タレントの押切もえさんが執筆した連作短編集『永遠とは違う一日』が、『山本周五郎賞』の候補作(5作品)にノミネートされたことが明らかとなりました。
押切さんは2009年2月に、エッセイ本『モデル失格〜幸せになるためのアティチュード〜』を出版し、2013年に売れないモデルが主人公の長編小説『浅き夢見し』で小説家としてデビュー。
2014年末には文芸誌『小説新潮』に短編『抱擁とハンカチーフ』が掲載され、文芸誌デビューとして注目されました。
今回『山本周五郎賞』の候補作としてノミネートした『永遠とは違う一日』は、女性たちの希望や挫折、夢と転機などを描いた連絡短編集で今年2月に刊行。
『小説新潮』に1年にわたって掲載された6本の短編が1角ストーリーに連なっていく物語で、『抱擁とハンカチーフ』も収録されています。
そして、押切さんの作品の他に『山本周五郎賞』の候補作として、湊かなえさんの『ユートピア』、中田永一さんの『私は存在が空気』、相場英雄さんの『ガラパゴス』、宮内悠介さんの『アメリカ最後の実験』がノミネート。
選考会は5月16日に開かれ、同日に結果が発表される予定となっています。
『第29回三島由紀夫賞・山本周五郎賞』の各候補作は以下となります。(敬称略)
【三島由紀夫賞候補作】
いしいしんじ『悪声』(文藝春秋)
山下澄人『鳥の会議』(河出書房新社)
三輪太郎『憂国者たち』(講談社)
亀山郁夫『新カラマーゾフの兄弟』(河出書房新社)
蓮實重彦『伯爵夫人』(『新潮』2016年4月号掲載)
【山本周五郎賞候補作】
湊かなえ『ユートピア』(集英社)
中田永一『私は存在が空気』(祥伝社)
相場英雄『ガラパゴス』(小学館)
宮内悠介『アメリカ最後の実験』(新潮社)
押切もえ『永遠とは違う一日』(新潮社)
そして、押切さんが候補作にノミネートしたことに対してネット上では、
- 専業で本書いてる人が不憫でならない。
- 本が売れない時代だから出版社も話題作りに必死だな
- 出版業界も大変でしょうが、話題作りに必死なのかな?水嶋ヒロさんを思い出してしまう。
- 話題作りとはいえどっちに転んでも叩かれるよな
- すごいのは認めるけど、この人はどこを目指して進んでるんだ…?
- 実際には、作者ではなく編集者が凄いんだと思うけどね。
- 話題作りにノミネートだけしてみましたって感じかな
- 他の作家さん、どんな気分だろうね…。自分だったら半狂乱だわ、候補辞退する
- 本が売れない時代だから必死に芸能人の小説を賞レースに取り上げて業界を盛り上げようとしている。押切以外にもお笑い芸人やジャニーズのとか。そうでもしなきゃ注目されないもんなー。
など、否定的なコメントが多く寄せられています。
押切さんが候補作としてノミネートされた『山本周五郎賞』は、主に大衆文学・時代小説の分野で昭和期に活躍した作家・山本周五郎氏にちなみ、優れた物語性を有している小説・文芸書に贈られる文学賞で、純文学を主とする『三島由紀夫賞』と共に1988年に創設。
第1回は、脚本家として有名な山田太一さんによる『異人たちとの夏』が受賞し、第2回は吉本ばななさんの『TUGUMI』、第6回は宮部みゆきさんの『火車』、第9回は天童荒太さんの『家族狩り』といった作品が受賞し、昨年は柚木麻子さんの『ナイルパーチの女子会』が受賞しています。
お笑いコンビ・ピースの又吉直樹さんが昨年、中篇小説『火花』で純文学デビューし、『第28回三島由紀夫賞』の候補作にノミネートされ、決選投票で惜しくも敗れて受賞を逃したものの、その後『第153回芥川龍之介賞』の候補に挙がり、見事お笑いタレントとして初めて芥川賞を受賞し大きな話題になりました。
それに続くように、押切さんがもし『山本周五郎賞』を受賞したら話題になること間違い無いかと思うのですが、候補作としてノミネートされた『永遠とは違う一日』は、又吉さんの『火花』のように話題になっている作品でも無いことから、もし受賞した場合、「ヤラセ」や「出来レース」などと批判されることになるかもしれないですね…。