タレントで映画監督のビートたけしさん(本名=北野武 69歳)が、フランス政府から同国の最高勲章として存在する『レジオン・ドヌール勲章』の「オフィシエ」を授与されることが明らかとなりました。
叙勲式は25日にフランス・パリのカルティエ現代美術財団で行われ、たけしさんも出席するといい、終了後には会見も行う予定とのこと。
『レジオン・ドヌール勲章(名誉軍団国家勲章)』は、ナポレオン・ボナパルトが1802年に創設したフランスの最高勲章で、現在では文化、科学、産業、商業、創作活動などの分野で、立つ越下功績を表彰することを目的にしており、フランス大統領の決定によって授与されます。
同勲章は5段階の等級があり、上から『グランクロワ』(Grand-Croix、大十字)、『グラントフィシエ』(Grand-Officier、大将校)、『コマンドゥール』(Commandeur、司令官)、『オフィシエ』(Officier、将校)、『シュヴァリエ』(Chevalier、騎士、勲爵士)とあり、たけしさんが授与されるのは4等となっています。
なお、たけしさんは1999年にフランス『芸術文化勲章』の「シュヴァリエ(騎士)」、2010年には同勲章の最高位となる「コマンドゥール(騎士団長)」を受章。
2014年には、フランスの『シャンパーニュ騎士団』の「オフィシエ・ドヌール(名誉隊長)」、2015年には「シャンベラン・ドヌール(名誉侍従)」を受章しています。
勲章を授与する元フランスの文化大臣で、現在はアラブ世界研究所所長を務めるジャック・ラングさんは、たけしさんのオフィシエ受章について「ビートたけしとも呼ばれている北野の大胆で独創的な創造性より生み出された作品が、芸術ジャンルの限界をやすやすと乗り越え、演劇、テレビ、映画、文学などの約束事を変革して、現代のアートシーンに影響を与えてきた。」と説明し、「そして、あらゆる形態の大衆芸術への熱心な関わりによって、フランス、日本、そして世界中で名をはせた型にはまらない完全無欠のアーティストとして存在していることに、オマージュを捧げたい」とコメントしています。
たけしさんは、レジオン・ドヌール勲章のオフィシエを授与されることに対して、「これまで自分のやり方でやってきた数々のことで、私が今回このような栄誉を授かることになりたいへん驚いています。そして素直にうれしい気持ちでいっぱいです。これからも自分のスタイルを守りながら、さまざまな仕事に精進してまいります」と語っています。
ちなみに、『レジオン・ドヌール勲章』を受章した日本人はたけしさん以外にもおり、1994年にノーベル文学賞を受賞した小説家・大江健三郎さんは2002年にコマンドゥールを受章、建築家・安藤忠雄さんは2005年にシュヴァリエ、前東京都知事・舛添要一さんは今年3月にコマンドゥールを受章。
その他にも、トヨタ自動車名誉会長の豊田章一さん、同社長の豊田章男さん、、ソニー創業者の盛田昭夫さん、宇宙飛行士・向井千秋さん、柔道家・粟津正蔵など、様々な分野で活躍している方が同勲章を受賞しており、映画監督では、黒澤明監督が1984年にオフィシエ、1985年にコマンドゥールを受章しています。
そして、たけしさんがこのような勲章を受章することに対してネット上では、
- 正直、なぜヨーロッパでここまで評価が高いのか分からないが、海外で認められるのは凄い
- 北野武監督の映画のどこがそんなに良いのか未だ解らず…
- この人の何が良いのか、イマイチよくわからん。
- 北野映画の良さが分からん。漫才やっとるほうが好き
- たけし自身が映画化されそうな生き様だな。
などのコメントが寄せられています。
たけしさんは海外で映画監督として特に高い評価を得ており、アメリカ、イタリア、ブラジル、ロシア、ギリシャ、カナダ、スペイン、シリアなど、世界各国の映画祭で様々な賞を受賞していることから、今回の勲章受章についても納得は出来るのですが、ネット上の反応を見てみると、「なぜここまで高い評価を得ているのか理解出来ない」といった声が非常に多く上がっています。
たけしさんはこれまでに、『ソナチネ』、『キッズ・リターン』、『HANA-BI』、『菊次郎の夏』、『座頭市』、『アウトレイジ』などなど、数多くの作品で監督を務め、世界的に高い評価を得ているのは間違いないのですが、日本国内では芸人としてのたけしさんの方が馴染みがあり、評価されていることから、フランスの最高勲章を受章するというのには確かに少し違和感はありますね。
しかし、感覚の違いなどがあれど、海外でここまで評価されるのは素晴らしいことで、これからさらに活躍していってほしいと思います。