昼ドラマ『天までとどけ』シリーズ(TBS系)での父親役などで知られる俳優・綿引勝彦さん(わたびき・かつひこ)が、昨年12月30日に亡くなられていたことが分かりました。75歳でした。
綿引勝彦さんが代表を務める個人事務所『綿帽子』の発表によれば、綿引さんの死因は「膵臓(すいぞう)ガン」とのことです。
綿引勝彦さんは2018年8月に、膵臓内の嚢胞(のうほう)を摘出する手術を受けましたが、その時に進行性のガン細胞が見つかっていたといい、2019年12月には肺への転移が見つかり、昨年2月から本格的な化学療法を開始したものの寛解(かんかい)には至らず、昨年11月には積極的な治療をやめ、自宅で療養していたそうです。
そして、昨年12月25日未明に容体が急変し入院、それから5日後の12月30日12時54分に息を引き取ったといい、事務所は「最期は眠りについたまま、穏やかに息を引き取りました」としています。
葬儀は近親者のみで執り行い、喪主は妻で女優・樫山文枝さん(かしやま・ふみえ 79歳)が務めたそうで、樫山さんは『綿帽子』を通じてコメントを発表し、「足かけ3年の療養でしたが、『どなたにも病気のことは、言わないでほしい』と本人の強い意志で突然の報告となったことをお詫びいたします。家と信州の山小屋で息抜きしながら花を植えたり好きな将棋をしながら過ごしてまいりました。きちんと身の回りの整理をしながら、先生にも『よく頑張っていらっしゃいます』と褒めていただくほど見事でした。」
と、自宅に戻ってからの様子を明かしています。
<↓の画像は、綿引勝彦さんの妻・樫山文枝さんの写真>
続けて、「夢うつつの中で、将棋を指していたのでしょうか、『投了すると伝えてくれ』とつぶやいたのですが、これで人生を投了するということでもあったのでしょうか。最期は眠るように逝きました。どうしてこうなったのかと嘆いたりもしましたが、仕方ないよと慰め合いながら、特にこの1年は2人で寄り添えたのが幸せでした。お世話になりました皆さまには厚く御礼申し上げます。」
としています。
綿引勝彦さんの突然の訃報を受けてネット上では、
- ショック!失礼ながら迫力ある悪役顔と声は唯一無二でした。いい役者さんがいなくなるのは悲しい
- 岡江さんと綿引さん、天までとどけの夫婦が亡くなったなんて信じられない。2020年は芸能界の大切な方達がたくさん旅立たれ、悲しい1年だったね
- 岡江久美子さんに続いて綿引さんまで…綿引さんは天までとどけで有名ですが、鬼平犯科帳などでも渋い演技されたのが印象的だった
- え〜びっくり。闘病されていたのですね…岡江さんと1年違わずに天国へ。天まで届けの関係者はショックでしょうね…
- コワモテのイメージだったけど、『天までとどけ』のお父さん役は良かったよなぁ。お父さんもお母さんも同じ年に亡くなってしまうなんて…。
- 「鬼平犯科帳」、「天まで届け」、他にも怖い役が多いけど、すごい重厚な演技をされる方というイメージ。
すごみがあって、台詞の言い方とかも独特で、かっこいい役者さん。ご冥福をお祈りいたします。
などと死を悼む声が上がっています。
綿引勝彦さんは日本大学藝術学部を中退後に『劇団民藝(みんげい)』へ入団し、俳優デビュー後は数多くのドラマ・映画などに出演、『極道の妻たち』シリーズ等への出演でコワモテの悪役俳優のイメージが強かったものの、1991~1999年にかけて放送された『天までとどけ』シリーズで大家族の父親役を演じ、これらの作品がきっかけでイメージが大きく変わりました。
1990年代からはゲーム『ポケットモンスター』シリーズのCMなどにも出演し、コミカルな演技を披露していました。
一方のプライベートでは、『劇団民藝』の劇団仲間だった樫山文枝さんと劇団在籍中に結婚、おしどり夫婦として有名でしたが子供はいませんでした。
そんな綿引勝彦さんの代表作と言えば、やはり『天までとどけ』シリーズですが、昨年4月23日には約10年にわたって夫婦役を演じた女優・岡江久美子さんが、新型コロナウイルスによる肺炎によって63歳で急死しました。
綿引勝彦さんは岡江久美子さんの訃報に対して、「ただただ、辛くて悲しいです。言葉も見つかりません。」「ドラマの放送が終わってからも岡江さんは『ママ』と慕われてね。定期的に食事会を開いてました。最後に会ったのは3年前で、病気の事はまったく聞いていなかった」
などと語っていました。
<↓の画像は、『天までとどけ』シリーズで夫婦役を演じた綿引勝彦さん、岡江久美子さんの写真>
それから8ヶ月後に、まさか綿引勝彦さんも亡くなってしまうとは思いもせず、『天までとどけ』の出演者たちはドラマ終了後も定期的に食事会を開き、本当の家族のようだったことから、子供役を演じた方々も非常に大きなショックを受けていると思います。
個人的には『天までとどけ』シリーズ、『ナニワ金融道』シリーズでの演技が印象に残っており、コワモテながらも人情味を感じる演技が好きだったので、亡くなってしまったのは残念でなりませんが、辛い闘病生活を送ってきた分、あの世でゆっくりと休んでもらいたいです。
綿引勝彦さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。