俳優・小栗旬さん主演、長澤まさみさんヒロインで実写映画化された漫画『岳 みんなの山』にも登場する北アルプス・穂高岳山荘の小屋番・宮田八郎さんが、4月に発生したカヤック事故で亡くなられていたことが明らかになりました。52歳でした。
宮田八郎さんは4月5日午前に、山岳ガイド・木村道成さん(61)と共に2人乗りのシーカヤックに乗り、静岡県南伊豆町の海岸から沖合に出てから行方不明となり、3日後の同8日午前5時半過ぎに、同県沼津市本の海岸で男性の遺体が漂着しているのが発見され、木村さんの遺体であることが確認されました。
<↓の画像は、木村道成さんの写真>
しかし、この時点では宮田八郎さんは発見されておらず、行方不明になってから1ヶ月半以上が経った5月23日、沼津港北西の沖合約4kmの地点で身元不明の遺体が見つかりました。
身に着けていた衣服などからこの時点ですでに、宮田八郎さんである可能性が非常に高いとみられていたのですが、特定のため科学捜査研究所(科捜研)でDNA鑑定を行った結果、宮田さんの遺体であることが分かったと5日に家族へ伝えられたといいます。
宮田八郎さんは6月に、北海道知床半島でのシーカヤックツアーを計画し、それに向けたトレーニングを南伊豆で行っていたほか、ヒューマンドキュメンタリー作品の心象風景や、宮田さんが力を注いでいた星空の撮影地がこの地だったため南伊豆を訪れており、その最中にシーカヤックで事故に遭ってしまったとのことです。
そして、宮田八郎さんの訃報を受けてネット上では、
- 山のエキスパートが海で遭難事故ってやるせないな
- 山を愛した山男が海で亡くなるって切ないですね。ただ遺体が戻ってきてくれて良かった。
- 岳もああいう話だったからね…。救助者は自分の身を削って仕事をする。今までお疲れ様でした。
- どんなベテランでもやっぱり自然はこわいね。けど遺されたものにとってはご遺体があがったのは区切りとして良かったと思う。ご冥福をお祈りします。
- 山を嗜む者として存じ上げておりました。心よりご冥福をお祈りします。
などのコメントが寄せられています。
兵庫県神戸市生まれの宮田八郎さんは、学生時代に長野県と岐阜県をまたぐ北アルプスの穂高岳を訪れ、1991年に穂高岳山荘のスタッフとなり、1994年~2006年にかけては同山荘の支配人を務めていました。
<↓の画像が、宮田八郎さんの写真>
同時に、映像技術やテレビ中継の技術も学び、自ら映像制作会社『ハチプロダクション』を設立し、穂高岳山荘の小屋番を務めながら、穂高岳の美しさや厳しさを多くの人に伝えるために撮影や制作活動を行っていたほか、山岳での遭難者救助活動にも携わっており、これまでに多数のレスキュー活動にも参加していました。
漫画家・石塚真一さんが2003年~2012年に『ビッグコミックオリジナル』で連載していた漫画『岳 みんなの山』では、北アルプスの中でも人気が高い穂高岳や槍ヶ岳周辺を舞台としており、穂高岳山荘の小屋番を務めている宮田八郎さんは、岳天山荘の経営者で救助隊の「宮川三郎」という名前で登場していました。
<↓の画像が、『岳 みんなの山』に登場する宮田八郎さんをモデルにしたキャラクター・宮川三郎の写真>
<↓の画像は、石塚真一さん原作の漫画『岳 みんなの山』、小栗旬さん主演で実写映画化された『岳-ガク-』>
2人乗りのシーカヤックに乗っていたという宮田八郎さんと木村道成さんは、一体どのような事故に遭い、遺体で発見されることになったのか詳しい原因は明らかになっていないのですが、改めて自然の恐ろしさを感じさせる海難事故ですね。
生前の木村道成さんを知る方がブログに投稿した記事を読むと、木村さんはシーカヤックが大好きだったそうで、山岳ガイドを務めながらも海についてもそれなりの知識を持っていたとみられ、まさかこのような事故で命を落とすとは思ってはいなかったと思います。
お2人はまだ50代と60代前半で、今後もやりたいことは多くあったと思いますし、遺された家族の方々のことを思うと非常に胸が苦しくなります。
宮田八郎さんと木村道成さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。