シンガーソングライター・曽我部恵一さん(そかべ・けいいち 46歳)がボーカル&ギターで、1992年結成のロックバンド『サニーデイ・サービス』でドラムを担当していた丸山晴茂さん(まるやま・はるしげ)が5月に、「食道静脈瘤破裂」で亡くなられていたことが明らかになりました。47歳でした。
丸山晴茂さんの訃報は15日に、所属事務所『有限会社スタジオ・ローズ』の公式サイト上などで伝えられ、葬儀は家族の意向を尊重し、近親者のみで執り行ったとしています。
<↓の画像が、所属事務所が伝えた丸山晴茂さんの訃報>
また、曽我部恵一さんのコメントも公開されており、「彼はもう何年も自分の抱えるアルコールの問題を克服しようと戦っていました。2015年の夏を最後に、いっしょに音は出していませんでしたが、ぼくたちは彼が戻ってくるのを待っていました。すぐに、ではなくても、生きていればいつかはまた三人で音を出せると信じていたし、そんな最高なことが起こるのが人生だと思っていました。」
と、いつか復帰する日が来ることを待ち望んでいたことを明かしています。
最後には、「自分がいま音楽をやっているのは、晴茂くんと出会い、彼に力をもらったからです。ぼくがひとりで作った歌をみんなが聴けるカラフルな音楽にしてくれたのは晴茂くんです。いつもぼくの家族を心配してくれたこと、あなたのはにかんだような笑顔、あなたの冗談、あなたのやさしさ、ひたむきさ、自由さ。ありがとう、晴茂くん。さようなら。」
と、丸山晴茂さんに向けて感謝、お別れの言葉を綴っています。
<↓の画像は、曽我部恵一さんのコメント全文の写真>
丸山晴茂さんがドラムを担当していた『サニーデイ・サービス』は、1992年に曽我部恵一さんを中心に結成し、1994年にメジャーデビューを果たしました。
<↓の画像が、丸山晴茂さん加入後のメンバー写真>
(左からベース・田中貴さん、曽我部恵一さん、丸山晴茂さん)
丸山晴茂さんがバンドに加入したのは1995年初頭で、バンドは2000年に一度解散しましたが、2008年には再結成して現在まで活動を継続しています。
しかし、丸山晴茂さんは2015年9月に体調不良を理由に出演予定だったライブを欠席し、同11月には所属事務所が「ここ数ヶ月、改善の見込みが難しい状態が続いておりますため、今月からはじまるツアー等、年内のライブの参加は難しいと判断致しました。」として、サポートドラマーを迎えてバンドは活動を継続していました。
<↓の画像は、2015年8月末に撮影の写真(左が丸山晴茂さん)>
そして、2016年2月には丸山晴茂さんがバンド活動を無期限休止することが発表され、その理由については、「長引く体調不良です。本人始め、家族、メンバー、スタッフ共々、回復に向けて動いて来ましたが、現状では早期の解決が見込めず、今回このような決断となりました。」と報告していました。
それから2年が経ち、丸山晴茂さんが「食道静脈瘤破裂」のため、47歳の若さで亡くなられていたことが明らかとなりネット上では、
- アル中だったの?
- 動脈瘤破裂はよく聞くけど静脈瘤も破裂して死ぬのか
- ミュージシャンとか健康診断しない人が多そう
- 肝硬変を患ってるとなるみたいだね 破裂すると肝機能が低下してるので止血が難しいようだ それで大量出血して…
- マジか…サニーデイが復活したのに、体調不良で丸山さんだけ途中で抜けてなかなか戻ってこないから、大丈夫かなって思ってたら、こんなに悪かったんだね。ご冥福をお祈りします
- この人のもたついたドラミングはとても印象的でサニーデイの特徴の一つでした。彼が抜けた後のサニーデイを聴いてみてもドラマーが上手いので何だかサニーデイっぽくないなと感じてしまうほどです。数少ない彼へのインタビューを読むと、アルコール依存との闘病中に建物から飛び降りた経験があるらしく依存症の恐ろしさ感じました。
- サニーデイ・サービス、昔よく聴いたなぁ。見た目一番不健康そうな曽我部恵一、ラーメン大好き田中貴。どうか二人にはこれからも健康で丸山くんの分もサニーデイを続けっていって欲しい
- 肝臓が悪いとは聞いてましたが、静脈瘤が出来るほどとは。よれよれのドラムプレイ、褒め言葉です。あのドラムがなければ名盤サニーデイ・サービスはなかったから。晴茂くん、お疲れ様でした。ありがとう。もうあんまり飲んじゃだめだよ
などのコメントが寄せられています。
丸山晴茂さんが患っていた「食道静脈瘤(しょくどうじょうみゃくりゅう)」というのは、食道の粘膜に流れている静脈の壁が膨らみ、血管がコブ状に隆起してデコボコになった状態を指し、この病気を発症する原因の大半が「肝硬変(かんこうへん)」で、その他にアルコール性肝炎なども原因になるそうです。
症状としては、血管のコブが大きくなったとしても食べ物が飲み込みにくいといった症状はあまり見られないものの、進行が進み静脈瘤が肥大すると破裂し、大出血を起こす可能性が高まり、もし破裂した場合には大量の吐血や下血が起こるといいます。
これによって血圧が下がることによって、もし治療が遅れた場合にはショック状態に陥ってしまい、最悪死に至るという恐ろしい病気です。
なお、食道静脈瘤の破裂で亡くなる割合は約1割程度と言われており、この病気の死亡原因の多くは、出血性ショック、肝臓の血流が悪くなることで肝臓が機能しなくなる肝不全、その他に肝臓と繋がっている腎臓も腎不全となり、死に至るケースもあるとのことです。
曽我部恵一さんのコメントを見ると、「何年も自分の抱えるアルコールの問題を克服しようと戦っていました。」と記されており、恐らく丸山晴茂さんはお酒が好きで、アルコール中毒状態にあったのかもしれません。
食道静脈瘤が破裂に至る原因の多くは、飲酒を止めることができず、肝硬変がさらに悪化することにあるそうなので、治療中も飲酒を止められなかったのかもしれませんが、それにしても47歳で亡くなるというのはあまりにも早いですね…。
曽我部恵一さんは2014年に受けたインタビューで、バンド再結成後に改めて『サニーデイ・サービス』というバンドが最高だと思えたこと、3人で活動を続けることに改めて意義を感じたことを明かし、「晴茂くんのドラムでまた歌える喜び、田中のベースで歌える喜びっていうのはあるよね。かけがえのなさ。だって田中が死んだら田中のベースでは歌えないわけだから。」「当たり前のことだけど、それだけなんだよ。ある人の何かと自分の何かが合わさって、そこにしかないものができる。で、俺と田中と晴茂くんっていうのはすごく唯一の、もう誰にも真似できないことをやってると思う。サニーデイに限らず、ほかのバンドの人たちもみんなそうなんだけど。そのことに、やっと気付けたんだよね。」
などと語っています。
また、丸山晴茂さんも再結成後は以前よりも3人で活動することを楽しめていることなどを明かしており、2015年夏以降に体調不良が原因で活動を休止することになった時には、非常に悔しい思いをして、いつか復帰することを目標に病気の治療を続けていたのではないかと思います。
一方、ファンやメンバーもいつか丸山晴茂さんが復帰することに期待していたため、こうした結果になってしまったのは非常に残念なことです。
丸山晴茂さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。