北京冬季五輪のスキージャンプ・混合団体ノーマルヒルに出場するも、スーツ規定違反で1回目のジャンプに失格判定が下され、大きなショックを受けていた高梨沙羅選手(たかなし・さら 25歳)の現在の状態、今後について日本代表選手団の伊東秀仁団長と原田雅彦総監督が言及しました。
まず、スーツの検査を巡る騒動について伊東秀仁団長は、「抗議をするかどうかは、現時点では全ての選手、スタッフのケアを最優先という認識でスキー連盟と一致している。スキー連盟の方と十分に協議を行いながら、必要な支援があれば検討したい。今すぐ、このルールに対して我々が抗議するということではない。スキー連盟と話し合いながら、国際連盟に改善を求めていく可能性はある」
と語り、問題視されているルールに対して抗議はしない意向を明らかにしています。
原田雅彦総監督は、「高梨選手は非常に責任感の強い選手。私としても、言葉もない状態です。しかしながら、あの結果以上にチームのメンバーが頑張って責任を果たせたことを誇りに思います」
とコメントしています。
また、高梨沙羅選手の現状については、ワールドカップ出場に向けてすでにヨーロッパへ渡ったことを明かしています。
なお、ワールドカップの初戦は25日にオーストリアで行われます。
原田雅彦総監督は、「団体戦でしたから彼女の気持ちがよく分かります。でも、たくさんの方に励まされた。チームのみんな、それから国民の皆さまに本当に励まされて元気になった。そしてW杯に出場する、元気な姿を見せることによって皆さんに報告したいと思っていると思います」
と語っています。
伊東秀仁団長も、「責任感の強い選手だと思いますし、自分で背負い込んでしまっているところがあるかと思いますから、そこは『そうではない』と。起きてしまったことは仕方がないこと。今後、彼女がこれからもジャンプをまだやっていく上で、しっかりとスキー連盟とも話をしたり、仲間たちも含めて、全員でケアしていく方向です」
としています。
そして、高梨沙羅選手が気持ちを入れ替えて、ワールドカップ出場に向けて準備を行っていること、日本代表選手団としては失格判定に対して、抗議を行わない意向を示したことに対してネット上では、
- 抗議しないということは、スーツに問題があったと認めたの?
- 選手やスタッフのケアはもちろんだけど、今回の検査ルールに対する疑惑解明についてはきちんと説明、改善要求をすべきだと思う
- 高梨選手が元気になったのは良かった。W杯に向けて頑張ってほしい。
しかし、スピードスケートも含め選手団が各競技の不可解な審議に意見しないのは納得できない - 本当に元気になったのなら嬉しいし、応援する。ただ、責任感の強さからくる表面上だけの元気なら要らない。
常に張り詰めてるのは無理なんだから、緩める時があっても全然問題ない。自分ファーストで考えて欲しいと切に願う。 - 原田さんの立場なら今回のことについてよく知っているはず。それで抗議をしないという判断は、これで守りたい人を守れるということですね。
でもやっぱり、今回の違反騒動について説明ぐらいしたほうがいいと思うよ。 - 原田さんもスーツで失格になった経験者だよね。今回の件はルール通りに検査されたのか疑問。
日本選手団として説明を求めないと、次は日本の姿勢が批判されない?上部団体への忖度はすべきではない。何故、連名に説明を求めないのかしっかり理由を聞きたい - スタッフの皆さんは、もっと選手の立場に立って声を挙げて欲しい。
特に日本のジャンプ界は、ずっとずっと欧州の人種差別と身勝手なルール改正に努力を踏みにじられてきた。
今回の事はとびきりの事だ。大会中にルールの運用が変わるなどあってはならない。
などの声が上がっています。
高梨沙羅選手は、1回目のジャンプを終えた後に行われた抜き打ち検査で、規定よりもスーツの太もも周りが大きかったとして失格となり、大号泣していました。
その後更新したインスタグラムでは、混合団体ノーマルヒルに出場した選手、応援してくれた人たちに対して謝罪の言葉を綴り、「私の失格のせいで皆んなの人生を変えてしまったことは変わりようのない事実です。謝ってもメダルは返ってくることはなく、責任が取れるとも思っておりませんが、今後の私の競技に関しては考える必要があります。」
としていたので、今後に対して心配の声が上がっていました。
それだけに元気を取り戻し、目前に迫るワールドカップの出場に向けて調整しているというのは何よりですが、『国際スキー連盟(FIS)』の不可解な判定に対して、日本代表選手団側が一切抗議をしないというのはどうなのかと思いますね。
今回のスキージャンプで、スーツの規定違反で失格になったのは高梨沙羅選手のほか、ドイツ、オーストリア、ノルウェーの計5選手で、審査を行った連盟の審査員は正当性を主張しているものの、海外の監督等は今回の判定に対して怒りの声を上げ、これまでとは違った測定方法やルールの厳格化が疑問視されています。
高梨沙羅選手も『全日本スキー連盟(SAJ)』の聞き取りに対して、「今までのワールドカップと測り方が違った。もう一度、測り直してほしいと言ったが、聞き入れてくれなかった」
などと回答したそうです。
インスタグラムでは謝罪の言葉に加えて、「どうかスキージャンプとゆう素晴らしい競技が、混乱ではなく選手やチーム同士が純粋に喜び合える場であってほしいと心から願います」
とも綴っていました。
選手からこうした声が上がっているにも関わらず、『国際スキー連盟』に対して抗議、異議申し立てをしないのはどうなのかと思いますが、『全日本スキー連盟』の斉藤智治常務理事によると、今回の問題を受けて『国際スキー連盟』に対して用具の検査方法に関する提案をまとめ、五輪終了後に提出するとのことです。
文書の提出によって今後どうなるかは分かりませんが、競技をした後にスーツの規定違反で失格になるというのは無くしてもらいたいですし、気持ちを入れ替えているという高梨沙羅選手にはこれからのワールドカップ等で、五輪で味わった屈辱を晴らす活躍を見せてほしいです。