新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、安倍晋三首相は多くの人が集まるイベントなどの自粛要請を行い、関係各所に大きな影響が及んでいる中、劇作家・演出家の野田秀樹さんは1日に公式サイト上で声明を発表し、演劇人等から賛同の声が集まっています。
野田秀樹さんは【意見書 公開中止で本当に良いのか】と題して、「一演劇人として、劇場公演の継続を望む意見表明をいたします。」と表明した上で、「感染症の専門家と協議して考えられる対策を十全に施し、観客の理解を得ることを前提とした上で、予定される公演は実施されるべきと考えます。」
と訴えています。
また、「ひとたび劇場を閉鎖した場合、再開が困難になるおそれがあり、それは『演劇の死』を意味しかねません。もちろん、感染症が撲滅されるべきであることには何の異議申し立てするつもりはありません。けれども劇場閉鎖の悪しき前例をつくってはなりません。」
と強く訴え、劇場公演を中止するという判断は、様々な対策を取った上で最終的な決断とするべきだとしています。
最後に、「『いかなる困難な時期であっても、劇場は継続されねばなりません』。使い古された言葉ではありますが、ゆえに、劇場の真髄(しんずい)をついた言葉かと思います。」
と綴っています。
<↓の画像は、野田秀樹さんのコメント全文の写真>
この言葉に多くの演劇人も賛同している様子で、俳優・八嶋智人さんも野田秀樹さんの表明をツイッター上で拡散し、「僕らはね、やりたいのです、やるために、たくさんの準備をするのです、今だから、来る事が困難な人は来ない方が良いし、でも来たい人は来たら良いという状況を創っておかないと、劇場は開けとかないといけないと、やっぱり思うのです。そして演劇を観る事で免疫力は上がるという事実も含めてね」
と投稿しています。
<↓の画像は、八嶋智人さんのツイート写真>
さらに、「さすがにそろそろ、あべさんが、だいぶおかしいと、いろんな降り幅の人が思わないのかなぁと、本気で思いますが、どうなのでしょう?それが、例えば政治家の人であればなおのこと、人から選ばれ、その人達の代表として、最初の理念・哲学を代表している方々は、さすがにおかしいと思わないのかなぁ。」
と、安倍晋三首相の言動に対して疑問を呈しています。
このように政府側の対応に疑問の声が上がる一方で、『X JAPAN』のリーダーでドラマー・ピアニストのYOSHIKIさんは2月29日にツイッター上で、「きのうBAND仲間達から今 無観客のイベントを開催して欲しいと言われたが、断りました。もし、この“2週間”の間に自分のコンサートがあったとしたら、無観客ライブでさえもやらないと思う。ファンの安全はもちろん、スタッフ及びメンバーの安全も大切だから。皆さんの安全を心から祈っています。」
とツイートしています。
<↓の画像が、X JAPAN・YOSHIKIさんのツイート写真>
その後も、「BAND仲間、そしてそのファンのみんなへ、自分は決して人の模範になれるような人ではないけど、こういう時の判断は間違わない。苦渋の決断を伴うかもしれないけど、今このタイミングで、コンサートを行う行為、及び参加は、危険な行為だと思う…」
とし、「コンサートをキャンセルすることが、どれだけ大変な事なのかを、多分自分は知ってる。だけど今の状況は、選択肢とかじゃないような気がする。命より大切なものなんてないと思う。だからこそ自分も含めて、冷静な判断が必要」
と訴えています。
他にも、美容整形外科『高須クリニック』の高須克弥院長はツイッター上で、野田秀樹さんの声明に対して、「一時的な劇場閉鎖で演劇は死にません。必ず再開できます。何度でも生き返れます。人は死ぬと二度生き返れません。生命を守るのは何よりも重要です。自粛をお願いいたします。」
と公演自粛を呼び掛けています。
<↓の画像は、高須克弥院長のツイート写真>
このように様々な意見が飛び交っており、シンガーソングライター・椎名林檎さんがボーカルを務めるバンド『東京事変』が2月29日に、8年ぶりのバンド復活ライブを予定通り開催したことも賛否を巻き起こしています。
ネット上の反応を見てみると、
- 八嶋さん!!ホントよく言ってくれました!!おかしいものはおかしい!
- 今の政権のままだと、子ども達の未来が心配でたまらない
- おかしいですよね、こんな方が日本のリーダーだと思うとすごく不安です
- 野田が「俺は演劇に命を懸けてるんだぞーっ!!」とアピールするのは勝手だが、この時季ひとつもカッコよくない。
自粛は強制でもないし妨害でもない、観客を守る手段。演劇が大事なら観客も大事なはず。ファンが大事ならファンの命も大事でしょう。 - 前例をつくるために自粛をしているのではない・・観客の方々の感染阻止の為である。
この方は責任を取っていただけるなら開催すればよい。敵は透明人間の様な存在。最もな意見のようだがやはりおかしいと思う。 - 楽しみにしてる人もいるし、スタッフの大変さもあるだろうけど、今回のは人から人に伝染する感染症だからね、、、権力に反発してる場合では無いんじゃないの?
- スポーツも芸術も、通常の生活があってのものだと思う。
まずは、通常の生活が送れる環境になるように、積極的に自粛というのもあっての良いのでは。
演劇の死は、見る人が誰もいなくなった場合にだけ起こる。 - 完全に感染を防ぐ手だてがあるなら同意できますけどね?
現状、出入り口でチェックして、発熱など風邪に似た症状の人にはご遠慮していただくだけで、果たして感染を防げるかというとリスクは低下するかもしれないが、完全にリスクを除去することはできないと思われるから。
ひとまとめにするのもなんだが、エンタメ関連の人は、政府の対応が悪いと言っておきながら、イベント中止するなといったり、なんなの?
などの声が上がっています。
各イベントの中止は関係者にとっては死活問題で、それにも関わらず現時点では、政府の対応が不十分ということもあって波乱が巻き起こっている様子です。
少しでも感染拡大のリスクを減らすために、今は多くの人が集まるイベントを自粛することは必要なことだと思います。
2月15日には、2人組バンド『ZILCONIA(ジルコニア)』が大阪京橋のライブハウス『Arc(アーク)』でライブを開催したところ、ライブ関係者の40代男性2人と、観客として訪れた30代女性看護師、40代女性銀行員の4人が新型コロナウイルスを発症したことが発覚しており、小規模の感染者集団・クラスターが発生した可能性があるとみられています。
こうした事例もすでに出てきていることから、やはり多くの人が集まる各イベント、密閉空間で行うようなライブなどはなるべく控えた方が無難かと思います。
もし公演を強行して新型コロナウイルスの感染者が出たり、死者が出るなどの最悪の事態を迎えた場合には、新型コロナウイルスによる騒動が収束後の活動にも影響が及ぶことも考えられるので、全て自己責任ではありますが、様々なことを考慮した上で冷静な判断をしてもらいたいです。
また、各イベントを自粛することで関係者はその分の収入を失うことから、政府側も相応の様々な経済支援体制を整えていってほしいですね。