モンゴル出身の元関脇で、春場所で十両優勝を飾って西前頭13枚目に番付を上げた逸ノ城駿関(いちのじょう・たかし 本名=三浦駿 30歳)が、4日に電撃引退しました。
逸ノ城関は4日に引退届を日本相撲協会に提出し、師匠・湊孝行親方は引退理由として「慢性化した腰痛の悪化」を挙げ、「寂しい気持ちはありますけど、仕方がない。教えることは全て教えましたし、(逸ノ城については)やり切った気持ちがあります」
と語っています。
逸ノ城関は3月26日に14勝1敗の成績で十両優勝を飾り、翌日に大阪から帰京して悪化した腰の治療を行っていたものの、稽古ができない状態が続いていたといいます。
そして、夏場所の番付発表があった今月2日に話し合い、逸ノ城関から現役続行は難しいと伝えたといい、湊親方らは何度も慰留したそうですが本人の意思が固く、腰痛も訴えていたことで引退を受け入れたとのことです。
また、逸ノ城関は2021年9月に日本国籍を取得して帰化していますが、年寄名跡を取得していないため親方として残ることはできず、現役引退と共に日本相撲協会を離れるとのことです。
逸ノ城関は体重が約220キロ(身長191センチ)で関取の中で体重が最も重く、かねてから持病の腰痛に悩まされており、2016年には左半身のしびれ、真っ直ぐ歩行できないといった症状に見舞われて入院治療を受け、体重も180キロ台にまで減らしました。
しかし、その後も腰痛は続き今年2月に腰椎椎間板ヘルニアの除去手術を初めて受け、ほとんど稽古せずに臨んだ春場所で十両優勝し、夏場所で2場所ぶりの幕内復帰を決めたのですが、現役引退することが判明しネット上では、
- 十両での優勝、特に朝乃山戦の土俵際のいなしかたみてたら幕内も楽しみだったのに…
- 腰痛じゃなくて親方とのゴタゴタだろ 帰化までしたのにどうすんの
- また酔って暴行事件起こしたか?揉み消すかわりに引退かな 酒癖悪すぎるんだよな
- おかみさんに暴力ふるうようなヤツは事件発覚後に辞めさせるべきだった
- 素材は超一級だったと思うが、格闘技向きのメンタルではなかったように思う。あとさすがに体重が多すぎたのかなと。
全てが揃う人なんていないだろうけど、未完の大器っていう感じがずっとありましたね。 - 勿体ないね。親方株もないままで… 日本国籍まで取得したのにね。腰痛はホントだろうが、暴行や親方との確執云々の騒ぎもあってモチベーションが保てなかったんだろうね。
引退後はプロレスとかの格闘技よりも芸能界かな?一時はCMとかも出てたから。 - 「黙ってても三役」「横綱確実」と言われた人だったのにな ただ稽古嫌いと腰痛は新人の頃からずっとだよな
フィジカル面では史上最強のポテンシャルだっただろうに もっとヤル気があればなあ、と周りの人間は皆勿体ながってた それでこれからどうするんかねえ
などの声が上がっています。
逸ノ城関は2010年3月に、2歳年上の横綱・照ノ富士関(本名=杉野森正山 31歳)と共に来日し、鳥取城北高校を卒業後の2014年1月に初土俵を踏み、夏場所で十両優勝しました。
秋場所では、横綱ら格上力士たちを次々に破って優勝争いのトップとなり、元横綱・白鵬の宮城野親方には負けて100年ぶりの新入幕優勝こそ逃すも、新入幕力士が横綱と大関2人を倒したのは史上初で、新入幕では最多タイ記録の13勝をあげて殊勲賞と敢闘賞を受賞し、九州場所で西関脇に昇進しました。
その強さから“モンゴルの怪物”等と呼ばれ、将来の横綱候補として大きな期待が寄せられていましたが、体重増加による腰痛の悪化、稽古不足などが原因で成績が伸び悩み、そして昨年11月には週刊誌『週刊文春』や『サンケイスポーツ』によって、湊親方との確執や女将さんに対する暴力疑惑を報じられ、大きな波紋を広げました。
その後、日本相撲協会は臨時理事会を開いて協議を行い、本人や親方等に事情聴取を実施した結果、女将さんに対する暴力疑惑に関しては、「一部、事実関係を確認したものの、悪意の暴行ではなく、いずれも5年以上前の出来事であり、それ以後の暴行はなかったこと、女将に処分感情が無いこと等から、今回の処分事由とはしていない。」
と、不問とすることを発表しました。
また、「女将に対する暴行以外にも、泥酔して物を壊したり、他の客と口論になるなどの粗暴行為があったようであるが、多くは日付や相手方が特定できず、しかも、いずれも数年前の出来事であって、直近のものでも4年近く前のことのようであり、その都度、湊親方が関係者に謝罪することで決着を見ており、関係者もその謝罪を受け入れて、逸ノ城を応援してくれているとのことから、今回の処分事由とはしていない」
との見解を発表しました。
ただ、日本相撲協会が設けたガイドラインを破り、2020年11月と2021年8月に無断でモンゴル料理店に出入りしていたことが問題視され、外出禁止ルールを破ったとして1場所の出場停止処分を受けました。
春場所の開幕前には湊親方との関係は徐々に改善していることを明かし、「もう終わったこと。自分が駄目なところもあった。10勝以上を挙げて1場所で幕内へ戻りたい」と語り、東前頭7枚目から東十両3枚目に番付を落として臨んだ春場所では、14勝1敗の成績で十両優勝を果たしました。
そして、夏場所での幕内復帰が決まっていた中で突然の現役引退、そして親方にもなれず、このまま日本相撲協会を離れるというのは残念ですね。
湊親方によれば、逸ノ城関からは今後の進路に関する相談や報告は無いといい、今後どういった道に進むのかは現時点で不明となっています。
逸ノ城関はアルコール依存症の疑いや、酒を飲むと性格が変わる酒乱とも報じられているだけに今後に対して色々と不安もありますが、これからまた新たな分野で活躍する姿を見せてほしいです。