ダウンタウン・松本人志さん(60)の性加害疑惑を巡る騒動で、周囲の芸人たちの言動や吉本興業の対応をラジオ番組で痛烈に非難し、注目を集めている吉本の大ベテランコンビ『西川のりお・上方よしお』の西川のりおさん(本名=北村紀夫 72歳)が、『日刊ゲンダイ』のインタビュー取材で改めて一連の騒動に言及しており、ネット上で大きな反響を呼んでいます。
西川のりおさんは、先月18日放送のラジオ番組『ますだおかだ増田のラジオハンター』(ABC朝日放送ラジオ)と、同30日放送の『生島ヒロシのおはよう定食・一直線』(TBSラジオ)にゲスト出演し、後輩である松本人志さんの性加害疑惑騒動について第三者の立場で語り、松本さんが週刊誌『週刊文春』との裁判を理由に活動を休止したことを疑問視し、吉本興業の初動対応ミスなども指摘した上で、松本さんや吉本興業は記者会見を開いてしっかりと意見を表明するべきだと提言しました。
また、周囲の芸人たちが松本人志さんを擁護するような発言をしていることについても、「ちょっと内側から寄りのコメントはやめておいたほうがいい。『昔、お世話になった』『尊敬していた』とかのコメント入れますよね。僕は悪いけど入れない方がいい」「『お世話になった』とかっていうのは、その本人との問題。(本件とは)関係ないことですよね。争点、論点を間違ってるんですよね。今、直面してる事例のことを話さなければ意味がない」
などと持論を展開し、芸人たちの言動も非難していました。
これらの発言に対して賛否の声が上がる中で、西川のりおさんは日刊ゲンダイのインタビュー取材で改めてこの騒動に言及し、週刊文春を訴えると宣言し表舞台から姿を消した松本人志さんについて、「僕ら芸人はマスコミで生きてます。一種の公人ですから『公の場で答える義務があるんちゃうか』というのが正直な気持ち。都合のいい時だけのマスコミじゃない。不都合になったらダンマリはダメ。大阪・関西万博のアンバサダーにもなり、あれだけの公の仕事を引き受けて。急に裁判しようって、モノの順番が違います。」
と語っています。
<↓の画像は、日刊ゲンダイの取材に応じた西川のりおさんの写真>
松本人志さんの今後について、もしテレビから撤退しても劇場に戻ってくる可能性を問われると、「僕の勘では戻らない気がします。もともと、テレビの文化で売れた人ですから。僕らみたいな劇場から出た芸人は劇場に帰りますけど。劇場とテレビの漫才は別物です。スタジオに用意されたお客さんと劇場の客層はまるで違う。言葉のニュアンスで笑わすネタは劇場ではウケません。」
としています。
松本人志さんの性加害疑惑を巡っては、後輩芸人たちが松本さんのために女性を集めて“上納”するというシステムが構築されていた、こうしたアテンドによって後輩たちは松本さんとの関係を築き、仕事に繋げていたとも報じられていることについては、「最近よく聞くのが『誰々にハマってる』って言葉です。『気に入られているから、あの番組に呼んでもらえる』とかね。確かに『なんでテレビに出てるの?』ってヤツ、おるでしょう。するとMCが『こいつ、エエやつやねん』って、わざわざ公の電波で言う。そら知らんがな。アンタらの関係を押し付けるなよ。」
と語っています。
続けて、「“オモロかったら売れる”が、魅力あるホンマの芸人の世界だったんですけど、偉い人に気に入られようと損得だけ考えて。政治家やサラリーマンの世界と同じになっています。」
と指摘しています。
こうした構造は昔からあったものの、1980年代初頭の漫才ブームのころは無派閥だらけになっていたと振り返り、「それが政界と一緒で今の方が昔に近い。後輩諸氏も『世話になった』『憧れてます』とコメントしてますけど、今はそんな話はしてません。論点がズレています。内向きな守るような発言なら、しない方がいい。」
と苦言を呈しています。
これらの発言を受けてネット上では、
- わかりやすく、ひとつひとつ納得いく
- なんか「お笑い業界」だけじゃなく「日本のエンタメ業界」全体に”響く言葉”が多すぎる…
- のりおさんって、ちょっとお馬鹿なキャラだと思ってけど、それは芸風だったんだ…。
内容は賛否はあるんだろうけど、まっすぐで誰かへの忖度がない言葉って気持ちいいな。 - 裁判するのはいい、でも仕事は放り投げて、関係者には何もなく、現場の混乱わかるだろうに。ましてや、仕事できない期間の賠償請求もあっての訴訟とか?自分から言い出したことの責任とらずこれか?
のりお師匠の発言には仰せの通りと言いたい。ダウンタウンは都合の悪いことには常にダンマリ。いい機会だ、テレビ界も一掃してほしい。 - ダウンタウンがブレイクしたのはそれ以前の旧態依然とした業界体質を破壊したからだけど、ダウンタウンも旧態依然としたものに成り下がってる
- 見事なぐらい老害で草 あと、弱ってる人間を叩く人間ていう人間性もバレて草
- ここぞとばかりに吠えてるが、それを松ちゃんが元気な時に言ってたらアッパレだと思うが、今それを言っても逆にダサく見える
- 違和感だらけ。先輩からの苦言なら直接言えば良い。連絡先知らないなら、後輩に聞けば良い。所詮、この人の言動も週刊誌向けの個人パフォーマンス
- 人がやったことを後から見てこれがアカンあれがアカンとダメ出しするだけなら誰でもできる。
一意見として言うなら普通に聞くけど、何もかも批判ありき、それも政治色強めでやられるとどっかの政党の運動員みたいな印象しか持てない。
などの声が上がっています。
吉本興業の芸人で、ここまで忖度なしに松本人志さんや吉本興業を批判しているのは現時点で西川のりおさんぐらいで、他にはビートたけしさんが1月に『TVタックル』(テレビ朝日系)で、「(自分は)団体で遊んだことなんかない。素人の人をそんなに呼んで、飲んだ、交通費は2~3000円とかって、それがセコいよ」「それで(週刊誌に)やられたら、記者会見をすぐやるべきだよ。『そういうことしました』って言えばいいんだよ、お笑いなんだから」
と語っていました。
これに対しては賛同の声が多く上がる一方で、ここぞとばかりに出てきて松本人志さんの言動を非難していることに対して疑問や批判の声も上がるなど、賛否両論となっています。
西川のりおさんと松本人志さんの関係は元々あまり良くないようで、性加害疑惑が報じられる約1ヶ月前には『酒のツマミになる話』(フジテレビ系)で、松本さんが「昔は仲悪くて今は仲良しな先輩」について問われた際に、「昔、のりおさんにめちゃくちゃ怒られて」「(ラジオ番組の)ヤングタウンの2部みたいなところでダウンタウンがやってて。早く1部のほうに上がりたいなと。1部ではさんまさんとか紳助さんとかやってるのよ。『一番弱いのは、木曜日ののりおのとこやな』って俺がラジオで言ったら、のりおさんがえらいキレて」「のりおさんと舞台の袖で会って、めちゃくちゃキレられて」
という若手時代のエピソードを振り返った上で、「別に今も仲良くはない」と語って笑いを誘っていました。
一方の西川のりおさんは、松本人志さんが審査員を務める『M-1グランプリ』などのお笑い賞レースに対してかねてから否定的な立場を取り、今回の日刊ゲンダイのインタビューでも「賞レースには反対の立場です」とし、「お笑いって勝ち負けやないと思う。格闘技やないねんから。人生をかけるにしても、芸人は表に出したらアカン。見てる方を緊張させてどうすんねん。肩こりますやん。」などと語っています。
2人はお笑いに対する姿勢、考え方などにも隔たりがあり、こうした背景もあって西川のりおさんは松本人志さん等の言動を痛烈非難しているとみられますが、多くの芸人たちが松本人志さんを擁護したり、奥歯に物が挟まったような発言をする中で、のりおさんのようにハッキリと物を言う方はかなり貴重な存在とも思いますし、今後も忖度なしに一連の問題について語ってもらいたいです。