プロフィギュアスケーター・織田信成さん(おだ・のぶなり 35歳)が、フィギュアスケートの濱田美栄コーチ(はまだ・みえ 63歳)から陰口や無視などのモラルハラスメントを受け、母校・関西大学のアイススケート部監督・コーチを辞任に追い込まれたとして損害賠償を求めていた裁判の判決が下され、織田さん側の敗訴となりました。
織田信成さんは2017年に関西大学アイススケート部の監督兼コーチに就任し、2019年春に2年契約を新たに結んでいたのですが、同年9月に突然退任が発表されました。
関西大学側は退任理由について、織田信成さんから「(多忙で)監督としての時間が十分に取れない」との申し出があり、退任したとしていました。
一方で織田信成さんはその後ブログで、「多忙を理由に監督を辞任したわけではなく、また関西大学との話し合いの場で『多忙で監督として十分な時間が取れない』とは一言も話していません。」
と、関西大学側の説明をキッパリ否定しました。
その上で退任理由について、「リンク内で私に対して嫌がらせやモラハラ行為があり、その影響で今年春頃から体調を崩すようになり、辞任するまでの3ヶ月間リンクに行く事が出来なくなった事と、それに対する関西大学の対応が誠意あるものに思えなかったからです。」
などと説明し、これにより関西大学でコーチを務めていた濱田美栄コーチにモラハラ疑惑が浮上しました。
<↓の画像は、濱田美栄コーチと織田信成さんの写真>
しかし、濱田美栄コーチは週刊誌『週刊文春』の直撃取材に対して、「そんなこと全然無いですよ!挨拶し忘れたことはあったかもしれないけど」と完全否定していたのですが、織田信成さんはその後『週刊新潮』の独占インタビュー取材で濱田コーチのモラハラを主張しました。
同11月には、濱田美栄コーチによるモラハラが原因で精神的苦痛を受け、体調が悪くなり監督を継続できない状態になったとして、慰謝料など1,100万円の損害賠償を求めて民事訴訟を起こし、記者会見では涙ながらに関西大学の監督兼コーチを退任した経緯や理由を語り、大学側の対応にも問題があったと訴えていました。
こうして2019年から裁判が始まったのですが、濱田美栄コーチは一貫して織田信成さんに対するモラハラを否定しており、翌年には濱田コーチ側が織田さんの主張は名誉毀損にあたるとして謝罪や330万円の損害賠償を求めて反訴し、泥沼の争いに発展していました。
そして、大阪地方裁判所で2日に開かれた判決公判で、裁判長は織田信成さん側の訴えを棄却した上で、織田さんが濱田美栄コーチの名誉を毀損したことを認め、損害賠償として220万円を支払う判決を下しました。
裁判費用は織田信成さん側が9割負担となることも決定し、織田さん側の全面敗訴に近い結果となっています。
裁判を終えて濱田美栄コーチは、ゼネラルマネージャーを務めているフィギュアスケーターの育成所『木下スケートアカデミー』を通じてコメントを発表し、「こちらの主張を裁判所に認めていただいてよかったと思っております。引き続き選手の育成に専念し、アカデミーの運営に邁進してまいります」
としています。
こうした判決を受けてネット上では、
- ハラスメントを立証するのって難しそう。しかもモラハラなんてなおさら
- 織田くんの負けなんだ意外…
- 濱田先生のこの騒動からコーチしてもらってた有名な選手が次々と、離れていったのを見ても言えなくても色々あったんだな…とは察する。
周りの人たちも自分の生活が大切だし、日本フィギュアスケート界ではかなりの権力者だし、この後のこと考えたら証言するのにも勇気が必要だし難しいだろうな。 - 敗訴が妥当かどうかの判断はできないけど、仮にモラハラが事実だったとしても、ちょっとカッコ悪い。
訴訟時の号泣の会見は、正直ひいてしまった。女々しさを感じるし、もっと男らしくいてほしい。 - これ関大が悪いよなー。指導方法違うだろうし、お互いプライドもあるだろうし、お互いの意思や今後の展開聞いてよく考察してから入れるべきだった。どちらにとっても後味悪いしイメージダウンになる。
- 結局織田信成氏は面倒くさい人、濱田コーチはパワハラモラハラのイメージが付き。
その当時生徒だった紀平梨花は大事な大会前に大騒ぎになって可哀そうだったし誰一人得しない裁判になってしまった。
などの声が上がっています。
裁判所側は2021年時点で両者に対して和解案の提示を勧め、和解に向かっているとの報道もありましたが、結局は和解に至らずに裁判が続き、昨年12月に行われた口頭弁論には織田信成さんと濱田美栄コーチも出廷し、それぞれ当初と変わらない主張をしており、織田さんは「医者からは適応障害と診断され、濱田コーチからハラスメントを受けたことが原因だと言われた」と主張。
一方の濱田美栄コーチは「人をおとしめることは犯罪。ちゃんとした裁判所の結果が欲しい」と訴えていました。
そして、今日の判決公判で大阪地裁は織田信成さんの訴えを退けた理由について、「ハラスメントだと主張する行為は、元々濱田コーチに対して有している印象や、その時々の織田さんの心理状態、主観的な捉え方や受け止めにも左右される恐れがある」「織田さんは監督として、異なる立場の濱田コーチから選手の指導方針や部の運営方針などについて批判的な意見や対応などを受けるのも、社会通念上許容されるものである限り受忍すべきで、直ちにハラスメント行為に当たるとは認められない」
としています。
その上で、織田信成さんが週刊誌や会見などで語った内容に関しては、「濱田コーチがハラスメント行為や嫌がらせを行う人物であるかのような印象を抱かせ、社会的評価を低下させた」
として、織田さんに損害賠償の支払を命じています。
織田信成さん側は裁判で、濱田美栄コーチが手掛けていた選手の実名を出しながら、モラハラ、パワハラ的な行為をしていたと主張し、これに対して濱田美栄コーチ側は、選手に強い言葉を使うこともあるのは事実としながら、あくまでも指導の範囲内で侮辱的な言動はしていないとしていました。
織田信成さんがこのような裁判を起こしたことにより、複数の選手にも悪影響が及ぶことになったことから、織田さんに対する批判も多く上がっていましたが、最終的に織田信成さんの主張は認められずに敗訴となり、誰も得をしない後味の悪い結末を迎えたのは残念です。
判決を受けて織田信成さんはまだコメントは出しておらず、自身の主張は退けられ、逆に濱田美栄コーチに対する名誉毀損が認められたことについてどう受け止めているのでしょうかね。