『日本中央競馬会(JRA)』が13日に、永野猛蔵騎手(ながの・たけぞう 22歳)の引退を発表し、その原因を巡ってネット上で物議を醸しています。
永野猛蔵騎手は10月7日に騎乗停止処分が発表され、その原因は同5~6日にかけて東京競馬場の調整ルーム(レース前に騎手が宿泊する施設)に、八百長の防止などを目的に持ち込み禁止となっている通信機器(スマホ)を持ち込み、通信をしていたためでした。
それも永野猛蔵騎手は偽装工作をしていたことも発覚しており、昨年6月以降は調整ルームへの入室時に、玄関にある専用ロッカーに通信機器を預けることが義務付けられているのですが、永野騎手はスマホを2台持ち、1台だけロッカーに預けて入室していました。
こうした行為が10月に発覚し物議を醸していたのですが、永野猛蔵騎手は13日に騎手免許の取消を申請し、免許取り消しが決定しました。
JRAの発表によると、永野猛蔵騎手は昨年5月26日から今年10月6日までの1年4ヶ月にわたり、継続的に偽装工作をしてスマホを不正使用し、外部の複数の人物と通信や通話をしていたそうです。
さらに、永野猛蔵騎手は2022年2月と7月に落馬して鎖骨を骨折し、計2ヶ月休養していたのですが、休養中に親族に対して1回、馬券予想行為もしていたとのことです。
ただ、馬券予想したレースには永野猛蔵騎手が過去に騎乗した馬や、所属厩舎の管理馬はいなかったことで競馬法には抵触しなかったものの、遵守事項には抵触していたとしています。
これによって裁定委員会は13日に、来年10月7日まで1年間の騎乗停止処分を内示し、永野猛蔵騎手は13日に免許取消申請をしたといい、永野騎手は聴取段階から引退の意向を示していたそうです。
JRAはこの他にも、横山琉人騎手(21)が3月と5月に、調整ルーム入室義務期間中だった永野猛蔵騎手と通信をしていたことや、10月に不正使用が発覚の小林勝太騎手(21)がLINEで外部と通信している場に佐々木大輔騎手(20)が同席し、通信行為に間接的に関与していたとして、横山騎手と佐々木騎手の騎乗停止も発表しています。
<↓の画像左から、横山琉人騎手、佐々木大輔騎手>
なお、聴取に対して佐々木大輔騎手は、「覚えていない」「スマホを手にしていることは本人に注意した」と話しているそうです。
そして、永野猛蔵騎手がスマホの不正使用問題がきっかけで引退したことに対してネット上では、
- スマホ中毒すぎるな
- 若手はモラルぶっ壊れ過ぎ
- もうめちゃくちゃだよ
- 永野の件はこいつをクビにして済む話じゃないだろこれ
- これでもスマホ規制は時代遅れとか言うやついるんだろうか 予想はアウトでしょ
- スマホ利用はまあ時代的に仕方ない部分があるのはいちおう分かる 予想行為はありえんわ
- タケゾー親族に競馬予想ってヤバいな 公正競馬完全に違反してるじゃねーか
- 休業中に予想業をしているような永野と通信していた横山琉か これはガチアウト系かもしれんな
- つい最近も再三スマホの件で複数の騎手が処分を受けた中、また違反とはルール崩壊してますよ。
JRAはもっと厳しく教育しなければならないし説明責任や対策もファンに示すべき
などの声が上がっています。
10月には週刊誌『週刊文春』によって、女性騎手のパイオニアだった藤田菜七子さんが、調整ルームにスマホを持ち込み、複数の知人男性と連絡を取っていたことを報じられ、それが事実だと判明したことで騎乗停止が決定し、そして正式な処分が下される前に、騎手引退を決断したことで大きな波紋を広げました。
<↓の画像は、10月に引退した元騎手・藤田菜七子さんの写真>
これに続いて、永野猛蔵騎手も偽装工作によるスマホの継続的な不正使用、さらには親族に対して競馬予想行為もしていたというのは深刻な問題で、引退はやむなしといったところです。
ちなみに、公営ギャンブルの競馬などは公正確保のために、現役の騎手、調教師、厩舎関係者、競馬主催者などの競馬関係者が、馬券を購入することは競馬法で禁じられているほか、馬券予想などの予想行為を公表することも事実上禁じされています。
こうした不正行為によって引退した永野猛蔵騎手は、2021年に競馬学校を卒業して騎手デビューし、デビュー戦で勝利(JRA史上48人目)を飾り、この年は29勝を挙げて『民放競馬記者クラブ賞』を受賞、翌年にも30勝を挙げたほか『フェアプレー賞』も受賞しました。
その後、2023年は自己ワーストの24勝となりましたが、今年は現在までに28勝を記録しており、今後のさらなる成長と活躍に期待が寄せられていた若手騎手の1人でした。
しかし、かなり悪質な不正行為が次々に発覚しており、永野猛蔵騎手以外にも複数の騎手がスマホの不正使用などで処分を受けていて、JRAは今日の会見で、「通信機器に関しては厳しい方向に向かっていくと思います。(農水省の)競馬監督課からは強い指導をいただいており、厳しい方向に向かわざるをえないと理解をしております」「主催者であるJRAの責任は重たいと思っています」
などと語っていました。
相次ぐ騎手の不正行為など様々なトラブルで、騎手たちの倫理観の欠如があらわになり、それに対するJRAの対応などが不十分だと感じる部分が多く、競馬ファンたちはJRAに対する不信感も募らせています。
JRAの対応が後手後手に回っている状況で、競馬全体のイメージ悪化に拍車をかけていますし、今後あらゆる対策の強化を図っていってもらいたいです。