東京五輪の開会式音楽の作曲担当と発表されていたミュージシャン・小山田圭吾さん(おやまだ・けいご 52歳)が、大会組織委員会に辞任を申し入れたことをツイッター上で発表しました。
小山田圭吾さんは自身のツイッターに文書を投稿し、「この度の東京2020オリンピック・パラリンピック大会における私の楽曲参加につきまして、私がご依頼をお受けしたことは、様々な方への配慮に欠けていたと痛感しております。関係各所に調整をさせて頂き、組織委員会の皆様へ辞任の申し出をさせて頂きました。皆様より頂きましたご指摘、ご意見を真摯に受け止め、感謝申し上げると共に、これからの行動や考え方へと反映させていきたいと思っております。この度は、誠に申し訳ございませんでした。」
と綴っています。
<↓の画像が、小山田圭吾さんの辞任表明コメント写真>
小山田圭吾さんは、1994年に雑誌『ロッキング・オン・ジャパン(ROCKIN’ON JAPAN)1994年1月号』、1995年に『クイック・ジャパン(Quick Japan)1995年8月号』へ掲載されたインタビュー記事で、小学校から高校にかけて障害を抱える複数人の同級生らをイジメていたこと等を堂々と告白し、笑い話にしていたことが蒸し返され、ネット上で大炎上状態になっていました。
また、この問題は複数の海外メディアにも取り上げられ、国際的に問題視される事態となり、開会式の音楽制作を担当することが発表されてから2日後の16日に、小山田圭吾さんは自身のツイッター上に謝罪コメントを投稿しましたが、開会式の音楽担当からは辞任しないことを明らかにしていました。
また、大会組織委員会サイドも、「ご本人が発言について後悔して反省しておられると、お詫び文を掲出した。我々は現在は高い倫理観を持って創作活動するクリエーターと考えている。開会式の準備における小山田氏の貢献は大変、大きなものであり、組織委としては引き続き、開会式へ向けて最後まで準備を尽くしてほしいと考えている」
などと、留任の方針であることを強調していました。
こうした対応に対しては多くの批判が寄せられ、知的障害者の権利擁護や政策提言等を行う『一般社団法人 全国手をつなぐ育成会連合会』が、小山田圭吾さんの過去の言動に強く抗議する声明を発表するなど、より大きな騒動に発展していました。
そうした中で、小山田圭吾さんが開会式の音楽担当からの辞任を申し入れたことを明らかにし、この対応を受けてネット上では、
- 当然ですね。組織委はきちんと説明すべき
- 任命者責任も同時にあると思う
- さっさと辞任するべきと言うか、まず受けるなよ。こうなるのは分かり切ってたことだし、こんな人にオファーする組織委員もダメダメ
- タイミングを逃した感じと、謝罪の仕方に姑息さしかなかったな。これからのアーティスト活動に重大な影響が出るだろ。馬鹿な事をしたな
- 組織委員会が何も動かないことには失望した
- 謝罪して辞めないなんて最悪の悪手だって。結局こうなるんだから。
それが良いとか悪いとかではなく、世間の感情というものを見誤ってはいけない - 「いかなる差別も禁止する」という五輪憲章に、明らかに違反しているのに、続投させようとした自民党の橋本会長以下は全世界の障害者の方へ謝罪してもらいたい。
- 酔った高橋大輔に無理やりキスした橋本聖子が性犯罪にも問われず、時効まで逃げ切り会長を務めているオリパラ東京大会。
コンプライアンス意識の低さが露呈してしまった結果であり、選出側の責任追求も免れないだろうな。 - 本人は過去の発言や行動を認識してたにも関わらず、オリンピック、パラリンピックに関する仕事を引き受けるなんて、なんと図太い。
本人は反省なんかしてないんじゃないかな。反省してたら、引き受けないでしょ、普通は
などの声が上がっています。
19日にはさらに、小山田圭吾さんのイジメ告白記事を掲載した『クイック・ジャパン』を出版する『太田出版』が、公式サイト上で謝罪文を出しています。
『太田出版』は岡聡社長名義で、「1995年刊『Quick Japan 第3号』は<いじめ紀行>というシリーズの第1弾として、小山田圭吾氏へのインタビューをもとにした記事を掲載しました。この記事が、表現方法、記事の影響についての思慮そして配慮が足らないままに世に出たことにより、被害者の方をはじめ多くの方を傷つけたことを深くお詫びします。」
と謝罪しています。
また、イジメ体験の告白記事を掲載した経緯や事実確認などを当時のスタッフに行い、改めて記事の内容を検討した結果、「この記事が被害者の方を傷つけるだけでなく差別を助長する不適切なものであることは間違いないと判断しました。」
としています。
そして、「この検討は出版後26年を経てのものであり、この間、2012年にはいくつかの号が復刊される機会があり、この第3号も100部の復刊を行っています。最初の出版段階での判断のみならず、その後再検討のないまま時が過ぎたことも、出版社としてその姿勢が問われるものであると考えます。今回の反省は、継続的に今後の出版活動を顧みる機会とするべきと考えます。『Quick Japan』のみならず、弊社の出版活動全体を改めて再検討し、その都度振り返ることにより同じことを繰り返すことがないように努力してまいります。」
と締めくくっています。
小山田圭吾さんのイジメ告白はファン等の間では有名な話で、過去にも何度かこのインタビュー記事が蒸し返され、物議を醸していたのですが、小山田圭吾さんはこれまで世間の声を完全スルーし、東京五輪開会式の楽曲制作オファーも受けていました。
一方、大会組織委員会は小山田圭吾さんの過去の問題言動を調べること無く、五輪憲章や東京五輪のコンセプトに反する小山田さんを作曲担当に起用し、これまで擁護を続けてきたわけですが、オファーを受けた小山田さんはもちろんのこと、起用した側にも大きな問題があると指摘されています。
小山田圭吾さんが辞任表明後もネット上では炎上状態が続き、大会組織委員会の責任を追及する声も噴出していますが、小山田さんだけを切って大会組織委員会は責任逃れをするのか否か、今後の対応を引き続き見守っていきたいですね。