昨年は中止となった野外ロックフェスティバル『フジロック・フェスティバル』が、8月20日から3日間にわたって新潟県湯沢町の苗場スキー場で開催され、3日間の延べ入場者数は約3.55万人に上り、新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されていますが、主催者側は24日に公式サイト上で現時点では陽性者が出ていないと報告していました。
ただ、フジロック参加者の中から陽性者が出たとの情報も飛び交っており、ネット上で物議を醸しています。
コロナ禍に初開催となった今年のフジロックは、入場者制限によって延べ来場者数は例年の3分の1以下で、出演者も国内のアーティストのみとなっており、新型コロナ対策として、会場行きのシャトルバスへの乗車や入場時には検温や消毒が必須とされ、会場内での酒類の販売は無いほか持ち込みも禁止、常時マスクの着用、飲食も個食や黙食を呼びかけていました。
また、抗原検査キットを配布して入場者に事前の検査を呼びかけるなどしていましたが、抗原検査についてはあくまでも任意で義務ではなく、当日の体温が37.5度未満であれば入場可能でした。
週刊誌『週刊女性』の取材に応じた参加者の男性は会場内の様子について、「客の声出しを促して場を盛り上げるのもアーティストのパフォーマンスのひとつですが、今年はそういった“煽り”はナシ。盛り上がって声をあげる観客もいませんでしたよ。マナーが良かったといった印象ですね。前列付近には客の立ち位置を示した“バミリ”のようなものがあり、一定の距離は保たれていたと思います」
と明かしています。
また、今年は飲酒禁止とされていましたが実際の状況については、「ペットボトルなどにお酒を入れて持ち込んでいる場合はさすがにわかりませんが、“明らかに酔って騒いでいる”といった他のお客さんもいませんでしたよ。ただ、ごくわずかですが、荷物検査場では空になったアルコール類の缶を何本か見かけました」
と語っています。
このようにいくらでも抜け道がある中でフジロックは開催され、『NTTドコモ』の携帯電話位置情報から集計のデータによれば、3日間の合計で東京からの来場者は約58%、神奈川からは約16%、埼玉からが約9%、千葉からが約4%となっていました。
特に新型コロナ感染者が多い首都圏から人が流れ、クラスターの発生が懸念されている中で、24日にフジロックを主催する『SMASH』の代表・日高正博さんは公式サイト上で、「フジロックとしても日々変化する感染状況と向き合い、開催に対する賛否両論の声も真摯に受け止め、講じるべき対策を組み立ててきました。開催が近づくにつれ、予想以上に感染が拡大する状況を受けて、全ての方々に検査を強いる結果となりましたことは、大変申し訳なく、またご協力いただけましたことに感謝いたします。現在のところ、会期中の会場においては、ひとりの陽性者も確認されていないことを、まずはご報告させていただきます。」
と、24日時点で新型コロナ陽性者はゼロだと報告しています。
そして、来年の7月29日から3日間にわたって、フジロックを開催することがすでに発表されているのですが、23日にはあるツイッターユーザーが、「金曜日のフジロックから帰宅後、一昨日の夕方頃からこれまでに経験した事のないような倦怠感と38.8℃の発熱。昨日PCR検査を受けコロナ陽性が判明しました。会場内で誰かに感染させてたらと思うと辛いです。。。私と同じような人他にもいるのかなぁ。」
とツイートしました。
このユーザーはさらに、「会場内では不織布マスクを二重にきちんと鼻まで覆う形で常に装着し、飲食も周りに注意しながら所定のエリアで短時間の黙食で済ませてます。会場内での感染は考えにくいです。」「味覚嗅覚の障害って本当なんだなぁ。。。私の場合、フジロックが感染経路の可能性は限りなく低いんだろうけど」「数日前に自費で検査も受けて陰性だったし抗原検査も陰性で体温も平熱だったから完全に安心しきってた」
などとツイートしていました。
ただ、このユーザーは一連のツイートをすでに全て削除し、さらにアカウントに鍵をかけて非公開にしており、このユーザーの過去のツイートなどから、注目を集めるためにウソをついたのではないかと疑いの目も向けられています。
<↓の画像は、自称・フジロック参加者のツイート写真>
そのため、真偽のほどは定かではないのですが、コロナ禍でのフジロック開催などを巡ってネット上では、
- 陽性者いませんと公言するのであれば、帰宅後に実施するPCR検査キットを配布し、帰宅後検査して郵送してもらうなどの対応は必要だと思う。
会場でも任意だから体調悪い気がするかりやめたかって人もいるだろうし。 - 実際にフジロックでどれほど感染が広まったかなんて証明しようがないし、フジロック行った人が実際に感染しても「フジロックいきました」なんて堂々と明かす人なんて皆無だろうな
- フジロックで感染したとしたら、検査で陽性がでるのは最速でも3日後ぐらいだと思うので、昨日「感染者まだいません」とドヤ報告してたのを見て、コロナわかってないのに大規模イベント開催したんだなと危機感が。
「陽性だけど無症状だしこっそり行っちゃった」とか「水筒はOKだからお酒入れて持ってった」なんてツイを見かけたって噂も流れていて、真偽はともかく、モラルの相当低い人たちが参加していたんだなってことだけは伝わってきた - 数万人が集まって、感染場所ともかく陽性ゼロなんてあり得ないだろ。もし本当なら、東京都の感染者はもっと少ないはず。
陽性者ゼロと発表する主催者が異常だが、それをそのまま報道するマスコミも異常。 - フジロックは『やっぱ野外でも音楽イベントはやらせられないよね、ルール守らない客も多いし、運営がそもそもちゃんとした感染防止対策を取る気がないもん』という世論形成に一役買ったと思う
- あれだけ密になって踊れば感染するのは普通に想定内だと思う。フジロックのせいで感染爆発が起きれば主催者の責任は重大だと思う。なぜこの時期にライブなのか主催者の感覚を疑う。もし感染爆発が起きれば来年の開催は差し止めるべきと思う。
などの声が上がっています。
もし参加者全員がイベント当日にPCR検査や抗原検査を行い、陰性の結果が出ていたとしても実際には感染している可能性は十分あり、主催者側は24日時点での陽性者はゼロとしていますが、これもしっかりと調査をしたわけでもないでしょうし、今後どうなるかは分かりません。
イギリスでは、8月11日から5日間開催された音楽フェス『ブロードマスターズ・フェスティバル』で、5万人の観客の中から4,700人の感染者が出た可能性があると地元メディアに報じられています。
なお、このフェスの主催者は入場者に対して、2度のワクチン接種完了の証明、もしくは簡易検査によって陰性となった証明を提示するよう求めていましたが、このような大規模クラスターが発生しています。
フジロックでは感染拡大防止対策として様々なルールを設けていましたが、事前の検査などはあくまでも任意となっていましたし、首都圏から多くの人が集まっていただけに、クラスターが発生したとしても全く不思議ではありません。
主催者側は昨年イベントを中止したことで大きな損害が生じており、そうしたこともあって今年は強行開催したのではないかと思いますが、来年も開催するかどうかについては、その時の状況を見て慎重に検討してほしいものです。