長寿番組『笑点』(日本テレビ系 日曜17時30分)でピンク色の着物を着用している落語家・三遊亭好楽さん(さんゆうてい・こうらく 71歳)の3番弟子で、5月に真打ち(落語家の最も高い身分)に昇進する三遊亭好の助さん(こうのすけ 35歳)の襲名が、取り止めとなるトラブルが発生していることを『スポーツ報知』が報じています。
<↓の画像は、真打ちに昇進する三遊亭好の助さんの写真>
記事によると、三遊亭好の助さんが真打ちに昇進することを機に、三遊亭好楽さんの前名である「林家九蔵(はやしや・くぞう)」を3代目として襲名することが昨年末に発表されたのですが、2月に入ってから9代目・林家正蔵さん(前名=林家こぶ平 55歳)が異議を唱えたそうです。
これに対し三遊亭好楽さんは熟慮した末に、3番弟子の三遊亭好の助さんに「3代目・林家九蔵」を襲名させることを取り止め、現在の名前のまま真打ちに昇進させることを決めたとのことです。
<↓の画像は、三遊亭好の助さんと三遊亭好楽さんの写真>
林家九蔵という名は三遊亭好楽さんが1983年まで名乗っていた名前で、好楽さんは1966年に林家彦六さん(8代目・林家正蔵)に弟子入りし、9番目の弟子ということでこの名前を授けられました。
それから林家九蔵を名乗っていたのですが、1982年1月に彦六さんが86歳で亡くなったことを受けて、約1年後の1983年に現在の『5代目圓楽一門会』へ移籍し、それから現在の三遊亭好楽という名で活動をしています。
そして、三遊亭好楽さんは真打ち昇進が決まった三遊亭好の助さんに前名を襲名させることを決め、林家彦六さんの遺族や兄弟子・林家木久扇さん(80)に相談し、了解を得られたことから襲名に向けた準備を進めていたそうです。
しかし、現代の林家正蔵さんと母・海老名香葉子さん(84)から物言いがついてしまい、香葉子さんからの連絡を受けて3時間にわたって直接話し合ったものの、理解を得られなかったとのことです。
<↓の画像は、林家正蔵さんと母・海老名香葉子さんの写真>
『スポーツ報知』の取材に対して三遊亭好楽さんは、「お話ししたけれど(香葉子さんに)『ダメですから』と言われた」と明かし、それでも3代目・林家九蔵を襲名させようとも考えたそうなのですが、「落語の世界で一度、ゴタゴタした名前は良くない。かわいい弟子の門出だし、将来を考えて、(襲名せずに)好の助のまま真打ちに昇進させることにしました」と経緯を説明しています。
また、林家九蔵を襲名するはずだった三遊亭好の助さんは、「今は師匠が悲しそうな顔をしているのが一番辛いです。師匠が名付けてくれた『好の助』の名前にも愛着を持っているので、一生懸命頑張ります」とコメントしています。
一方の林家正蔵さんはこのトラブルについて、「三遊亭に行かれたんだし、その一門で林家はおかしいでしょうというお話はしました。(落語)協会を出て行った方ですし、落語界であしき前例を作るのは良くないとは申し伝えました。名前を取り上げるとかそういうことは言っていません」と説明しています。
<↓の画像は、3代目・林家九蔵をめぐる落語家の相関図写真>
そして、このトラブルに対してネット上では、
- こぶ平ごときが生意気になったもんだ。落語で何の実績もないのに名門の出自というだけで偉そうに今では大師匠気取り。根岸がそんなに偉いのか?
- 話を根岸に通してなかった好楽さんにも問題はあるが正蔵さんも大人げないと思う。
- 打診や根回しをしてなかった好楽さんに事の原因はあるけど、親の七光りで立派な名前を引き継いでも、実力がついてこなかったら、そっちの方が恥ずかしい。
- もともと落語の名跡は血筋じゃないよね。面白くもない落語家が血筋だけで御託を並べるのはファンが減るよね。ただ、素人は同じ名前だと師弟関係か血筋だと思うから違う名前の方が将来的には正解でしょ。反対に下手くそに名前継がせちゃいけないねぇ。
- これはさすがに好楽師匠が調整と根回しを、慎重に詰め切れなかった結果に尽きる。記事には書かれていないが、根岸以外からも苦言や物言いがあった故の襲名断念だと思う。
などのコメントが寄せられています。
『デイリースポーツ』も三遊亭好楽さんに取材を行っており、林家正蔵さんから「三遊亭さんで林家の名を継ぐのはおかしい」とクレームを受けたことを明かしています。
また、三遊亭好の助さんの真打ち披露公演などに出演する笑福亭鶴瓶さん(66)が、わざわざ電話をかけてきてくれたことも明かしており、鶴瓶さんは電話で「好楽兄さん、ぼくは兄さんの怒ってる顔は見たくありません。鷹揚に笑ってる顔が好きなんです。もめるのはやめましょう。『好の助』って、兄さんの弟子らしくてええ名前やないですか」などと助言されたことを明かしています。
三遊亭好楽さんは30年以上も前に林家一門から抜けており、かつて名乗っていた林家の亭号が付いた「林家九蔵」という名を継承させるのは確かにおかしいように感じるのですが、落語の襲名は、師匠が名乗っていた名前や一門で代々継がれている名前(名跡)を継ぐケースがほとんどで、師匠が亡くなっている場合は、遺族や一門の了承を得ることが多いとされています。
そのため、林家彦六さん(8代目・林家正蔵)の遺族や林家木久翁さんから了解を得た上で、林家九蔵を襲名させることが決定したとのことで、そこに横槍を入れて襲名を阻止するというのはどうなのかなと感じます。
今回こうしたトラブルが発生していたことが表沙汰となり、林家正蔵さん、海老名香葉子さんに対して批判的な声が多く寄せられており、さらに大きな騒動に発展しそうな気もするのですが、真打ちに昇進する三遊亭好の助さんに何か悪影響が及ぶようなことにならないことを願うばかりですね。