パリパラリンピックの陸上400mで銀メダル、100mで銅メダルを獲得したパラ陸上の佐藤友祈選手(さとう・ともき 35歳)が、練習中の接触事故によってケガを負ったとして、岡山商科大学附属高校(旧・吉備高校)の陸上部顧問ら6人を業務上過失致傷罪で刑事告訴し、この事件を巡って様々な声が上がっています。
佐藤友祈選手はパリパラリンピック前の7月12日に、岡山県総合グラウンドのトラックを周回する練習をしていたところ、岡山商科大学附属高校・陸上部の部員数人が高跳び用マットを乗せた台車を押しながらトラックを横切り、佐藤選手と接触しました。
<↓の画像は、高跳び用マットを乗せた台車のイメージ写真>
この事故によって佐藤友祈選手は転倒、頭や肩を打撲したほか、パリパラリンピックで使用予定だった本番用車イスのホイールなどが破損しました。
破損箇所の修理が本番までに間に合わなかったため、佐藤友祈選手は練習用の車イスで大会に出場することになり、東京大会では金メダル獲得の男子400mは銀メダルとなったものの、3大会連続で2つのメダルを獲得しました。
<↓の画像は、競技用車イスに乗る佐藤友祈選手の写真>
そして、大会を終えて佐藤友祈選手がX(旧ツイッター)を更新し、岡山商科大学附属高校・陸上部顧問を刑事告訴し、今月5日付で岡山県警西警察署に告訴状が受理されたことを伝え、代理人弁護士によるコメントを公開しました。
弁護士は告訴事実の要旨で、被告人となった岡山商科大学附属高校の教師でもある陸上部顧問6人について、「部員を指導監督し、事故防止に留意すべき業務上の注意義務があったのに、これを怠り、部員たちが高跳びマットの運用に際して、ふざけ合いながら高跳び用マットを乗せた台車を加速させるなどしてトラックを横断しようとしたため、競技用車イスでトラックを時速20km弱の速度で走行中の告訴人(佐藤選手)と接触して同人を転倒させ、よって同人に加療約5日間を要する頭部打撲、左肩打撲の傷害を負わせた」
としています。
一方の高校側はNHKの取材に「交渉中のためコメントできない」としています。
佐藤友祈選手側のコメントなどを受けてネット上では、
- 悪ふざけっていうのは最悪。管理する側は何してたんだ?
- 高校生側だけが悪いの? 顧問が不在だからって。じゃあこの人には介添人はいたのだろうか?
- 学校や保護者から謝罪と車椅子の賠償がなかったのかな。誠心誠意謝っていて刑事告訴だったら厳しい気がするけどどうだったのだろう。
- 高校生ならやっていいことの良し悪しは分かるはず。これは高校生達自身の責任だと思う。顧問に責任を問うのは違う気がする
- 高飛び用マットの高さは自分の身長ほどになるので周りはよく見えません。
車椅子の方ならなおのこと。進行方向前側の人、もしくは第三者が周囲を確認すべきでした。 - 私は長距離選手でトラックでポイント練習していますが、急に走者の前を横切ったりされたり、棒高跳びのマット片付けに邪魔される事が多々有ります。
短距離選手はスピードが有るので、下手すれば大怪我、死亡事故に繋がりかねないです。
トラックを使用するにあたって、ルールを周知徹底する必要が有ると思います
などの声が上がっています。
佐藤友祈選手は接触事故によって本番用の車イスが使えなくなり、そして軽傷ながらケガを負い、大事な大会前に練習にも支障を来したと思われます。
それにしてもこの事故で刑事告訴までするのはどうなのか、さすがにやり過ぎなのではないかとの声もかなり多く上がっています。
ただ、佐藤友祈選手はこの事件に対してXで「先方の対応、誠に残念でなりません。」と綴っていることや、事故発生から刑事告訴まで2ヶ月近くの間が空いていることから、これまで高校側と何度も協議を重ねたものの、誠意ある対応が得られなかったのだろうと思います。
<↓の画像は、佐藤友祈選手のX投稿写真>
高校サイドは現時点でコメントを出しておらず、佐藤友祈選手側の主張しか表に出ていないので、まだ何とも言えない部分があります。
佐藤友祈選手側の主張通り、部員がふざけながら台車を押してトラックに侵入、前方不注意によって発生した事故ならば、部員を指導監督する立場にある顧問が責任を負うのは当然かと思います。
佐藤友祈選手側は刑事だけでなく民事でも高校側を訴えている可能性がありますが、果たしてどういった決着を迎えるのか注目したいです。