『CHAGE and ASKA』のASKA容疑者(本名=宮崎重明 58歳)が11月28日、覚せい剤取締法違反(使用)の容疑で再び逮捕され大きな話題になっていますが、ASKA容疑者が逮捕される直前に乗車していたタクシー内の映像、会話がテレビ番組などで公開されており、現在ネット上などでは「プライバシーの侵害なのではないか」と物議を醸しています。
公開されている映像は、ASKA容疑者が警察に身柄を拘束される前の28日18時ごろに、東京・恵比寿で乗車したタクシーのドライブレコーダーが撮影した映像で、ASKA容疑者と運転手の会話と映像が克明に記されています。
その映像では、マスクをして顔を隠した状態のASKA容疑者が路上でタクシーを止めて乗車し、「駒沢通りわかりますよね?駒沢通りを真っずぐ環七を越えてください」とルートを指示。
向かう途中にASKA容疑者はスマホをいじったり、窓から外を見たりしている様子が映っており、ASKA容疑者はその後も運転手に「ワケやって家の前、人がいっぱい集まってると思うんですけど、ギリギリに止めてください。速やかに止めてドアを開けてください」などと、早口で運転手に指示していました。
また、目黒区内にある自宅に近付くと「ゆっくり、ゆっくり行ってください。きついなあ…」「ここを右に曲がってください。この先を…。あそこの赤い棒で立ってる人いますね?あの手前の家なんですよ」「速やかに止めてください。すぐ降りますんで。(道路の)右側に止めてください。人がいっぱいいますんで。まだ先です!人がいますんで!」と、再び早口で指示する様子が映っています。
- テレビ各局の情報・ワイドショー、報道番組で流れたタクシー内部の映像(YouTube)
こうした映像は民放各局の情報・ワイドショー、報道番組で流されていたのですが、事件とは全く関係の無いタクシー内の映像が公開されたことに対してネット上では
- ASKAの件では、タクシーの車内映像とかタクシー会社のコンプライアンスいったいどうなってるんだ&それ使うテレビは放送倫理として問題は無いのかの方が社会的な大事件だと思うわ
- タクシー会社もそうだが、普通に放送したテレビ局も相当問題
- ドライバーが金ほしさで売ったんだろうけど 、プライバシーは守られるべきものです。タクシー会社と運転手は処罰を受けるべきと思いますよ!
- 地図で家の場所までのルート出してた。これは完全にアウトでしょ!
- タクシー会社完全アウト。普通で考えてもダメでしょ。ベンツのエンブレムの破損といい、映像流出、楽曲流出、このあたりはASKA側はきちんと出すとこ出した方がいい
- ドライブレコーダーの画像をテレビ局にいるという行為は流石にアウトでしょう!これがOKなら怖い世の中
- 薬やってたとしたらそれはそれで罪に問われるべきだけど、飛鳥もこの件に関してはテレビ局訴えてもいんじゃないか?!
- 今後もタクシーを利用する乗客に対して、絶対に会社を特定すべきであり、説明すべきだ。そうじゃなきゃ安心してタクシーに乗れない。
- 映像を提供したタクシー会社もだけど、それを買って放送したTV局も問われるべきだと思う。報道の自由とか知る権利って範疇を超えて、これじゃ何でもありのモラルハザード状態だよ。
などと批判的なコメントが殺到しています。
また、“裁判ウォッチャー”でお笑い芸人の阿曽山大噴火さんは自身のツイッター上で、「え?え?え?ASKAが乗ってたタクシーのドライブレコーダーの映像が公開されるってどういう事?まさしく、盗聴盗撮が巷で横行してるというASKAの指摘通りなんですが」とツイートをするなど、物議を醸していました。
そして、この件についてニュースサイト『ねとらぼ』が報じている記事によると、弁護士にこの件について話を聞いたところ、ドライブレコーダーの映像を第三者に提供することは「明らかなプライバシーの侵害」で問題あるという見解だったとのこと。
また、日本最大級の弁護士/法律ポータルサイト『弁護士ドットコム』は、関東地方のタクシー会社を監視している国土交通省・関東運輸局の担当者に取材したところ、「映像が公開された29日以降、『タクシー会社がそんなことをしていいのか』『タクシー会社を指導しろ』といった苦情が複数入ってきている」と回答し、さらに「(映像提供が)どういう法律に違反しているか、はっきりいえない。関東運輸局内でも、対応を検討中だ」などと回答していたそうです。
さらに、東京都内のタクシー会社が加盟している業界団体『東京ハイヤー・タクシー協会』にも取材したところ、ドライブレコーダーの映像を提供する基準について、「法令上の規定に基づく内容や、捜査協力の一環として外部提供は認めているが、それ以外については認めていない」などと話し、「事業者がどこかわからないが、少なくとも捜査協力の一環ではないと理解している。大多数のタクシー事業者は、この運用基準以外で提供することは普通考えられない」と強調していたといいます。
このような大きな騒動に発展していたのですが、30日にタクシー会社『チェッカーキャブ』がドライブレコーダーの映像をテレビ各局に提供していたことを認め、同社のサイト上で謝罪声明を発表しました。
その声明文では、「この度、チェッカーキャブ加盟会社の車内映像がテレビ等マスコミ各局にて放送されている事態となっております。」とし、「外部への映像提供にあたっては、刑事訴訟法の規定に基づく捜査機機関からの文書による照会に応じて提供する場合、ならびに事故やトラブルの状況及び原因を明らかにするために、その当事者、保険会社、捜査機関に提供する場合のみとしております。」と説明。
その上で、「現在、マスコミ各社にて放送されている映像は、当グループ加盟の1社よりマスコミへ提供されたものでございますが、これは上記のような映像提供の事案には当たりません。映像提供を行った社に対しては、グループとして厳罰をもって対応し、記録映像の管理徹底を図らせる所存であります。」とし、「放送された映像の関係者の皆様におかれましては、大変なご迷惑とご心配をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。また、平素よりチェッカーグループをご利用いただいております皆様におかれましても、多大なるご迷惑をおかけいたしましたことを重ねてお詫びいたします。」と謝罪しています。
ちなみに、ニュースサイト『BuzzFeed Japan』は大手タクシー会社各社に取材を行っており、『日本交通』、『国際自動車』、『大和自動車交通』、『帝都自動車』は、ドライブレコーダーの映像を第三者に提供することについて、基本的に「警察などの捜査機関から公的な文書で申込みがあった場合のみ」と回答していたと報じています。
報道番組などでは、ドライブレコーダーが撮影したタクシー強盗や事故の映像が流されることはありますが、事件とは全く関係の無いプライベートなやり取りが各テレビ局で流されるというのは問題があり、今回の事を深く反省して二度と同じような事が起こらないよう努めてほしいですね。