30年以上活動し、これまで様々なアーティストコラボしてきた人気のスカパンド『東京スカパラダイスオーケストラ』が、ロックバンド『銀杏BOYZ』のボーカル&ギター・峯田和伸さん(40)をゲストボーカルに迎え、2月21日にニューシングル『ちえのわ feat.峯田和伸』をリリースします。
そして、18日にはCDジャケットが公開されたのですが、ジャケットに使用されたイラストに対してネット上で、「盗作」「トレース(意味:なぞる、写す、複写)」「パクリ」という声が相次ぎ物議を醸しており、23日には公式サイト上で急遽ジャケットのデザイン変更が発表されました。
<↓の画像は、公式サイト上でのジャケットデザイン変更発表>
『ちえのわ feat.峯田和伸』のジャケットに使用されたイラストは、2013年からイラストレーターとして活動しているハシヅメユウヤさん(1983年生まれ)が描いたものでした。
<↓の画像は、ハシヅメユウヤさんの写真>
<↓の画像が、ハシヅメユウヤさんが描き下ろした『ちえのわ feat.峯田和伸』変更前のジャケット写真>
このイラストに対して、『ASIAN KUNG-FU GENERATION』のCD・DVDジャケットなどを手掛けている人気イラストレーターの中村佑介さん(40)が自身のツイッター上で、「藤子・F・不二雄プロと小学館にきちんと許可取ってる…んだよね!?これがもし無許可で『行っちゃえー』って感じなら、絵を描いてるみんなに相当ヤバい時代が到来してしまう。。」とツイート。
その後も、「ハシヅメさんの作品には、オマージュやパロディという作者の意図とは別に、作品制作の過程として、藤子F作品(主に『エスパー魔美』『SF短編』『T・Pぼん』等)の1コマをそのまま拡大コピー(トレース)して、髪型、ファッション、色を変えただけのようなものも多く見受けられます。」などと指摘しました。
これらのツイートがネット上で拡散され、大きな注目を集めることになり、ハシヅメユウヤさんが製作した多くの作品に、トレースなのではないかと疑われるものが多くあるとして、藤子・F・不二雄さんが描いたものとハシヅメユウヤさんが描いたものを比較する検証画像も拡散されています。
<↓の画像が、藤子・F・不二雄さん作品とハシヅメユウヤさん作品の比較写真>
(左側がハシヅメユウヤさんのイラスト)
(画像一番上が藤子・F・不二雄さん、中央がハシヅメユウヤさん、下はトレース検証)
これらの比較からハシヅメユウヤさんの作品は、藤子・F・不二雄さんの絵からインスパイアされたものというよりも、元の絵をトレースしデザインや色を少し変更しただけと感じられることからネットでは、
- パロディや二次創作なら解る でもタッチそのまんまでビジネス良くない 数年前からこーゆーの流行ってんの?日本のアニメ漫画からインスパイア云々っていうアート気取りがなんか凄いムカつくんだけど..
- スカパラのジャケは完全にアウト。俺の予想だとアミューズ経由で藤プロにプレッシャー掛かって提訴の後、回収だな。おそらくレア盤必至。
- ふじこせんせいとハッキリ認識できる絵でいっぱしのアーティスト気取りしてる奴を採用したスカパラが、なんだかなぁ…と今回のジャケ絵はモヤモヤ
- ハシヅメさんっていう人今まで全く知らなかった!!知らないままだったら藤子プロが何かかわいいの描いてるんだ〜で終わってたな。
- これらの模写に近いものを、無許可で発表しお金をもらっているなら(もらってないならいいとかは思わないが)それは悪であろうと考える
- ハシヅメ氏は警告されるのを待つというチキンレースでもやっていらっしゃるのでしょうか。小学館への迷惑行為はやめていただきたいものですね。まったく許しがたいことです
- どう見ても藤子不二雄先生のとしか思えないんだけど? これをもし、オリジナルって言えるんなら、厚顔無恥としか思えない
などと批判の声が上がっていました。
そして、23日にはスカパラの公式サイト上で、ジャケットデザインの変更が発表されたのですが、ジャケットのデザインを変更した理由などについては特に記されていません。
今回トレースを指摘されたハシヅメユウヤさんは、10日にウェブマガジン『TABI LABO』が配信したインタビュー記事で自身の作品について、「最終的に僕の絵が売れても売れなくてもどっちでもいいんです。きれいごとに聞こえるかもしれないけど、僕の作品をきっかけに、藤子先生の作品の魅力に気づく人が増えて欲しい。僕の絵が本当にいいって言うなら、オリジナルを見てみてってはなしで。僕の絵を買うよりも、ドラえもん全巻買って見てみて欲しいです。本当にかっこいいから。それで、みんなで『やっぱりかっこいいよね〜』っていう話がしたいなって思います。」
と語っています。
さらに、「日本人は藤子先生の作品を崇高なものにしたがるでしょ。ドラえもんって、ミッキーとかスヌーピーに負けない世界的に人気なキャラクターになれると個人的に思ってるんですけど、日本人がファンのルールをきっちり決めてしまうから、日本をなかなか飛び越えられないんだろうなって。もっと内容どうこうじゃなくて、シンプルに、『やっぱすごいよね』ってことをみんなで言い合いたいっていう想いだけで、こういうことをやってるんです。」
と説明しています。
ハシヅメユウヤさんはこのように、藤子・F・不二雄さんの絵の魅力をより多くの人に知ってもらうために、こうした絵を描いていると説明しているのですが、ただ単に趣味で描いている程度なら特に問題は出てきませんが、ハシヅメユウヤさんはこれらの作品を展示した個展を全国各地で開き、作品を売るなどして収入を得ています。
スカパラのジャケットに関しても、それ相応のお金を貰っているとみられ、今後も変わらず藤子・F・不二雄さんの作品をトレースしたような作品で商売を続けた場合、どのような言い訳をしても著作権侵害などで訴えられる可能性は十分あるのではないでしょうかね…。