男子ゴルフの片山晋呉選手（かたやま・しんご 45歳）が5月30日開催の『日本ツアー選手権 森ビル杯』プロ・アマチュア大会で、共にラウンドした招待客に対して不適切な行動を取ったとする問題で、国内男子ツアーを主管する『日本ゴルフツアー機構（JGTO）』が27日に定例理事会を開きました。
理事会終了後にはJGTOの青木功会長、副会長・ジャパンゴルフツアー選手会長の石川遼選手らに加えて、当人の片山晋呉選手が会見を行い、具体的にどのような行為をしたのかを明らかにした上で、すでに課している制裁金30万円に加えて、厳重注意処分を下したことが明らかにされました。
＜↓の画像は、会見で頭を下げた片山晋呉選手らの写真＞
JGTOが設置した調査委員会が行った関係者らへの調査によれば、プロアマ大会が開催された5月30日は、集合時間が午前8時半に設定されており、集合時間ギリギリで一番最後に姿を現した片山晋呉選手は、招待客らに挨拶もしてラウンドをスタートさせたものの、移動のカートに乗っている時にはハウスキャディとの会話に終始し、招待客に自ら声を掛けることは無かったとのことです。
また、ラウンドのスタート地点となる13番ホールに到着後、グリーン上で招待客がパッティングをしている最中に、手に持っていたティーを3つほどグリーン上に投げ、それをカップに見立てて自身のパッティング練習を始めたそうです。
こうした行為をする際に、片山晋呉選手は招待客にひと声かけたり、承諾を求めることもなく練習を行っていたことが明らかにされています。
そして、招待客たちのパットが外れた後に、パッティング練習を一度止めてプレーに戻ったそうなのですが、片山晋呉選手は13番ホールが終了後もそこで練習を続け、招待客らが14番ホールに移動後もアプローチの練習を行っていたため、不快感をあらわにした招待客のA氏が片山選手に対して「早く上がってきてくださいよ」と伝えたといます。
それを受けて片山晋呉選手は小走りで14番ホールに移動したものの、前の組がまだティーショットを終えていない状態だったため、片山選手が独り言のように「まだ前の人がいるんだ」とつぶやいたそうです。
この独り言がA氏の耳にも入ったようなのですが、「なんで呼びつけるんだ」などと文句を言っていたように聞こえたそうで、A氏は「片山プロは自身の練習で、同伴アマチュアへの配慮が不足している」と怒り、この時点で片山選手は「すみません」と一言謝罪したそうです。
しかし、その後ティーショットを打った後に、A氏が突然「帰る」と言ってハウスキャディと共にカートへ乗り、クラブハウスに戻ってしまうハプニングが発生したものの、その場で片山晋呉選手はA氏に謝罪などすることなく、他の招待客らと18ホールをラウンドし、同様にパター練習なども行っていたそうなのですが、その後トラブルは特に起きなかったとのことです。
なお、片山晋呉選手が招待客に対して、侮辱的な発言をしたり、暴言を発するなどの行為は一切取っていなかったとし、今回の件に対してはJGTOが定める懲戒・制裁規程に基づき制裁金30万円に加えて、「厳重注意」の処分とすることを決定したと報告しています。
非常に大きな問題として取り上げていたものの、最終的には厳重注意という甘さが感じられる処分内容となっているのですが、それについては不適切な対応があったことは間違いないものの、暴力的行為や侮辱的な発言を行ったなどの事実が認められないことや、片山晋呉選手自身がツアーへの出場自粛を発表するなど、一定の制裁を受けていることが理由の1つとして挙げています。
また、片山晋呉選手の行為に対して怒りをあらわにした招待客A氏も、すでに本人からの謝罪を受け入れており、片山選手のツアー復帰を望んでいることから、「懲戒処分に該当する出場停止の処分を科する必要まではなく、厳重注意処分を科することが相当と判断いたしました。」と説明しています。
その他にもプロアマ大会において、プロの行為の規定やガイドラインを特に設けておらず、これまで招待客に対する応対方法の具体的な指導も行ってこなかったJGTO側にも責任の一端があるとし、「その責任を偏に片山プロに押し付けることもできないものと考えられます。」と説明しています。
その上で、今後の対策としてプロアマ大会におけるプロの行為の規定・ガイドラインを設けたり、応対方法の指導や研修会を行っていくとし、さらに懲戒・制裁規程の見直しや制裁内容の厳罰化を図るとのことです。
そして、厳重注意の処分を受けた片山晋呉選手は会見で、「ゴルフを支えて下さっているすべての関係者、ファンの皆様、こういう騒ぎになってしまい、申し訳なかったと思っています」「自分の至らなかった点を反省し、やるべきことを見極めてゴルフ人生の糧にしていきたい。今回はこのような騒動になり申し訳ございませんでした」と謝罪しました。
＜↓の画像が、会見に出席した片山晋呉選手の写真＞
トラブルが発生した日のことについては、「朝一のホールということもあって、（同伴アマチュアと）コミュニケーションが取れていなかった。すぐに（アドバイスなど）何かできるという状況ではなかった。たまたま、打つ時に（練習を）やってしまった。許される範囲の中では今までもやっていた。今回、やったことはいつもと変わらなかったと思います。（アマチュアが怒るようなことは）今までなかった」
と振り返っています。
今後については、「このようなことになってしまったし、自分が何かできることは、きちんと猛省をして、試合に出ないってことを決め、処分を素直に受けますってことが本当の自分の気持ちでした」「自分の中でトーナメントプロとして、生活の中で（試合出場を）自粛しているというのが自分の中の一番の重み。それが自分の中で一番の気持ちかなと思います」
と胸の内を明かしています。
また、招待客が帰ってしまった時のことについては、「14番でティーショットを打った後に帰られた時はどうして帰るんだろうとしか思わなかった。分からなかったんです」「プロアマが盛り上がっている中、大変なことをしてしまったなと思いました。こういう騒動になって、これは大変なことになっていると分かりました」
と明かし、復帰時期については、「今日、処分を受けたばっかりなんで、復帰した時、どうなのかは今は全然、考えてないです。持ち帰って、周りの方に相談し、スポンサーなど支えて下さった方と相談して決める時期だと思っています」
と語っていました。
なお、片山晋呉選手は招待客とのトラブルが公表されてから9日後の6月15日に、自身の公式サイト上で謝罪コメントを発表し、大会特別協賛社の『森ビル』を訪問して直接謝罪したことを明らかにした上で、「自らの意思として、当面の間、トーナメント出場を自粛させて頂くことにいたしました。」と活動自粛を発表していました。
そんな片山晋呉選手に対して、JGTOは懲戒として設けている除名や出場停止処分ではなく、制裁として設けていた制裁金30万円と厳重注意の処分を下すにとどめたわけですが、これに対してネット上の反応を見てみると、
- 時間かけた割には甘い
- 甘い甘すぎる。再犯確定。
- やっぱり身内に甘いんだね。これじゃ男子プロなんてどんどん人気なくなるよ。
- 本人はどう思ってる？社会奉仕活動くらいさせた方がいいよ。感謝の気持ちが欠けてる。
- 5年間出場停止くらいが妥当かな？態度悪いの治らないと思うけど。
- 永久シード剥奪で1からやり直させた方がいいと思うけど
- 若手選手ならまだしも、片山選手ほど有名で永久シードを持っている人なら1年間の出場停止くらいしても良いと思いますけどね。今回の決定を受けて1つ言えるのは、これから男子プロのスポンサーは減っていくでしょう。
- ゴルフ界に汚点作って３０万円か。大してスポンサー引っ張って来れないのに甘いね。
- 男子プロは終わったね。スポンサーも離れるだろうからツアーも少なくなるよ。いずれテレビ中継は女子プロだけになるだろうね
- 片山晋呉プロにすれば安いもんだよね。このようなトラブルの前例が無いから処分は確かに難しいかも知れないけど、JGTOの本当に危機感あれば処分をもう少し考えなきゃね。除名処分までは厳しいかも知れないけど、厳重注意だけってのも考えものだよね。せめて永久シード剥奪位してマンデーから若手の厳しさもう一度考えてもらう位しなきゃね
などと、処分が甘過ぎるとして批判的な声が多く上がっています。
女子ゴルフのツアーは現在も人気がある一方で、男子は国内で現在活躍している人気選手が少なく、スポンサー離れによって試合数がピーク時と比較すると半分にまで減り、女子と比較しても10試合以上も少なく深刻な状態にあることからプロアマ大会は重要視されていました。
ちなみに、プロアマ大会はトーナメント主催者やスポンサーがそれぞれのクライアントをもてなし、親睦を深めるイベントで、トーナメント開始日の前日もしくは前々日に開催され、プロ1人とアマチュア3人が1組となって組ごとのベストスコアなどで争うのですが、ツアー開催にあたって重要な資金を得るために行う重要な接待ゴルフです。
しかし、片山晋呉選手は接待客とあまりコミュニケーションも取らずに、黙々と自身の練習を続けていたようですし、トラブル当日のプロアマ大会に参加していたという『日本サッカー協会』の相談役・川淵三郎さんは自身のツイッター上で、「“帰る”なのか“帰れ”なのか大きな怒声が聞こえた。片山選手の組。後で聞いたらゲストとして扱わない片山選手の非礼な態度にゲストが怒って帰ったとの事」と明かしています。
10年ほど前に一緒にラウンドしたことがあるというタレント・大桃美代子さんは、「片山晋呉プロはみなさんとまわると言うより、ご自身が使っているクラブメーカーの方が付ききりでクラブチェックをしたり、修正点をメーカーさんと話していたり」と明かし、以前から塩対応だったことを暴露しています。
三男がキャディーをしているという元プロ野球選手の金村義明さんは、プロアマ大会に出たくないという選手も中にはいるとし、その急先鋒だったのが片山晋呉選手だったといい、そのため協会側からは「プロアマ出ないなら試合に出さない」と厳しく言われていたと語っています。
この他にも各週刊誌が片山晋呉選手の“素行不良”を報じており、『フラッシュ』によると、ナイキと契約していた時には試合後に「合わない」として、シューズをゴミ箱に捨ててスポンサー契約を解除されたことがあったほか、ファンにサインした色紙を投げ返すという「サインブーメラン事件」を起こしたこともあったといいます。
一方の『週刊女性』は、プライベートでも女性問題によって泥沼離婚調停が長期間続くなどトラブルが少なくなかったとし、数年前には飲食店でかなり横柄な態度を取り、私生活でもマナーが悪かったと伝えています。
以前から片山晋呉選手の評判は良いとは言えず、実際に酷い態度をしていたという報告が複数上がっていたので、JGTO側も片山選手の態度は問題視していたのではないかと思います。
それにも関わらず、これまでこれといった対応をしてこなかったJGTO側にも問題があるかと思いますが、とりあえず今回のトラブルを受けて、選手の徹底指導や規定の厳罰化などを図るとのことなので、今後少しずつ男子プロの対応などが変わっていくことに期待したいところです。