アメリカ・ニューヨークで個展を開催中の写真家・現代美術家の“アラーキー”こと荒木経惟さん(あらき・のぶよし 77歳)の被写体を約15年務め、「ミューズ」(創作意欲を刺激する女性)と呼ばれていたダンサー・振付家のKaoRiさんが、アラーキーさんから受けた様々な被害をネット上で激白し大きな注目を集めています。
アラーキーさんの写真モデルを務めていたKaoRiさんは、幼少期からバレエや絵画などを習い、9歳の頃からダンスを活かしたモデル活動も行っていた方で、バレエダンサーとして国内外で活動していた中でアラーキーさんと出会い、2001年から写真モデルを務めるようになったそうです。
最初の撮影ではアラーキーさんが得意とする裸での写真撮影は無かったそうなのですが、その後は裸姿の写真も撮られるようになり、一緒に居る時は何をしていても写真を撮られていたといい、食事している時、お風呂に入っている時、絵を描いている時、寝ている時など、四六時中撮影されていたとのことです。
こうした撮影が始まった当初は、その写真がどのように使用されるのか全く知らされておらず、撮影同意書やギャラに関する話なども無かったといい、KaoRiさんがメイクさんに確認を行ったところ、「荒木さんはそういうのないなぁ」「日本ではそれが普通」と言われ、KaoRiさん自身も有名写真家のアラーキーさんだけに悪いようにはされないだろうと思っていたそうです。
しかし、アラーキーさんとの仲が深まっていき、言い出せない関係にまで発展したのが最大の過ちだったとKaoRiさんは振り返っており、関係が深まったことで忖度し、自身の思いを犠牲にするようになってしまったといいます。
<↓の画像は、KaoRiさんとアラーキーさんの写真>
その結果、アラーキーさんのお気に入りモデルの1人となり、「ミューズ」と呼ばれるようになっていった一方で、撮られた写真はアラーキーさんに良いように使われ、KaoRiさんに何の報告もなく写真集やDVDが国内外でリリースされていたとのことです。
さらには、アラーキーさんの仕事に同行し、個展のオープニングや取材に参加するなど、公の場にも出るようになり、ダンスパフォーマンスを披露することもあったそうなのですが、ギャラが一切出ないことも多々あり、貰えたとしてもお小遣い程度の報酬が手渡しされ、それ以外にはどれほど時間を拘束されても、写真集やDVDがリリースされても特に報酬は無く、モデル以外の仕事で生活費を稼がなければならなかったといいます。
このような状況にあったものの、「アーティストがお金の話をするのは恥ずかしい。それを乗り越えてこそいい表現ができる。」などと言われると何も言い出せず、アラーキーさんの「私写真」「写真は関係性」「LOVE」「ミューズ」という持論を信じ、自分なりに理解した上で、アラーキーさんに貢献していると思いモデルを続けたそうです。
こうしたことを続けていくうちに、KaoRiさんはアラーキーさんに洗脳されたような状態になっていたようで、「今振り返ると全てが過剰で過激でした。何かが麻痺していたとしか、思えないほど、普通ではないことを求められ、それをこなすことが当たり前になっていきました。」
と明かし、これによって精神的な疲労も蓄積していったとのことです。
そうした中で、アラーキーさんはメディアの取材に対して大げさな作り話をしたり、多くの人がいる前でKaoRiさんに過激なポーズをとらせ、自身の手柄のような言動をされたり、撮影と聞いてスタジオに向かったところ、アラーキーさんのプロモーション用の取材撮影で、何の相談も無く部外者を入れ、裸姿の写真撮影を強いられたことが何度もあったと明かしています。
また、NHKの番組撮影でアラーキーさんが「NHKで胸が出るといいなー」と発言したことにより、胸を出した瞬間の姿が編集され、自身の経歴と共に番組で放送されてしまったそうです。
そうした撮影をKaoRiさんが拒否すると、アラーキーさんは「KaoRiを撮ってるんじゃない、俺を撮りに来たんだ」といい、受け入れるしかない状況に追い込まれたほか、周囲からの嫌がらせ行為や日常的なストーカー行為にも悩まされ、ネット上には何の相談も無く自身の映像などもアップされ、その内容を信じた周囲からの視線などにより心を痛め、あまりのストレスにより飛行機内で意識を失い倒れてしまったことや、目を閉じたら誰かに殺されるかもしれないと思うほどの身の危険を感じた日も少なくなかったといいます。
KaoRiさんが受けたストーカー行為は付きまといだけでなく、家宅侵入された上で写真集を盗まれ、ゴミをあさられ、ポストに消印が無い奇妙なハガキをポストに投函されるなどといったことで、それが原因でセキュリティが高い家に引っ越さなければならなくなったものの、アラーキーさんは「俺のせいなの?何かの間違いじゃないの?なんで鍵がないのに家に入れるの?」などと言ってストーカー被害を信じず、警察に行くこともできなかったため、高額な探偵依頼費用や家賃などは全て自己負担だったとのことです。
KaoRiさんはアラーキーさん側に何度も改善を求めたそうなのですが、「知らない」「忘れた」「言ってない」「俺は関係ない」「編集者が勝手に書いた」「携帯もパソコンもないから知らない。見るのが悪い。気にするのが悪い。」などと言い訳し逃げるの繰り返しただったといい、KaoRiさんはアラーキーさんについて、「自分の名前と行動がどのくらい世間的に影響力のあることで、どのように私を傷つけているかということには一切聞く耳を持とうとはせず、モノのように扱い続け、行動を改めようとすることはありませんでした。」
と綴っています。
そして、我慢の限界が来たKaoRiさんは2016年2月、アラーキーさん側に改善を求める手紙を送付したところ、「連絡すっから」という連絡だけで数ヶ月も放置された上に逆ギレされ、「有限会社アラーキーに対する名誉毀損と営業妨害に当たる行動を今後一切いたしません」という文章を作成され、そこにサインするように強要されたことを明かしています。
KaoRiさんはサインを何度も拒否したそうなのですが、アラーキーさんから「俺は体調が悪いんだから気を遣え」「サインしないと俺がやっていけなくなる」「でしゃばるな」などと言われ、最終的にはサインしなければならない状況に追い詰められたとのことです。
その後、2016年6月には予定していた撮影が打ち切られ、モデルも突然クビにされてしまったといい、色々な思いから自殺することを真剣に考え、だいたいの日程を考えて行動していた時もあったそうです。
しかし、自殺することを思いとどまったKaoRiさんは、弁護士を通じて今年2月に「今後一切公開しないでほしいとは言わないけれど、するならルールを決めたい、いくらなんでもやり過ぎだったことを認めて欲しい。そのための話し合いの場を設けてほしい。」と申し出をしたところ、3月になって返ってきた回答は、「あなたが撮って欲しいと言って事務所に尋ねて来たからモデルにしただけ。『私写真』は広く批評家にも認められている独自の表現方法であり、その関係はビジネスではないから、ルールも同意もそもそもない。全部自分が決めること。そうでなければ、自分の芸術は成り立たない。だからやり過ぎたことがあるはずがない。今後の写真の取り扱いなどについても話し合う必要はない」「敵対的な書面のやり取りではなく、話し合いの上で円満に終わらせたい。でも、もうあなたをモデルにする気力は喪失しました。」
という内容だったと明かしています。
このような一方的な回答にKaoRiさんは失望し、情けない気持ちになり、最終的には自分にも非があったと思い、全く話を聞く姿勢が無い人にこれ以上言っても無駄で、話し合う必要はないと思い気持ちを切り替えたようです。
KaoRiさんはこのような告発をネット上で公開し反響を呼んでおり、同じくモデルとして活動しているモデル・女優の水原希子さんはインスタグラムを更新し、KaoRiさんの告発に触れながら、自身も経験した写真撮影時の無理強いを明かし、ネット上では様々な声が上がっています。
<↓の画像は、水原希子さんの写真>
水原希子さんはインスタグラムのストーリー(24時間で投稿が消える機能)を使い、「かおりさん 長い間どれ程苦しかったか、想像するだけでも心が痛みます。勇気をもってこの話をシェアして下さった事に感謝します。この業界にいる若いモデル そして女性、男性にもこの記事を読んでほしい。モデルは物じゃない。女性は性の道具ではない。みんな同じ人間。心を交わし合う事を忘れてはいけない」
と綴った上で、自身が受けた被害を告白しています。
水原希子さんが受けた被害は、某企業の広告撮影の際に上半身裸で胸を隠した状態になったそうなのですが、その時だけ企業の上層部とみられる男性が20人ほどスタジオに訪れ、水原さんが「裸だから撮影中は見られたくない」と伝えたものの、写真を確認したいからという理由で拒否できず、多くの男性たちが見ている中で上半身裸姿の撮影を強いられたとのことです。
ちなみに、水原希子さんは2013年に化粧品業界最大手『資生堂』のモデルを務めており、上半身裸姿で胸を手で隠している姿を披露しているのですが、水原さんが明かした企業の広告撮影が『資生堂』だったのか定かではありません。
<↓の画像は、水原希子さんがインスタグラムへの投稿>
自身も経験した無理強いを告白した水原希子さんは最後に、「荒木さん あなたにとって女性とは一体何なんですか? 何故、長期に渡ってあなたのミューズであったかおりさんを精神的に追い込む必要があったのか。精神的に追い込んでいた事にさえも気づいてなかったのかもしれないけど、、私も何度も撮影して頂いたこともあったからこそ、シンプルに、残念極まりないです。」
と綴っています。
そして、KaoRiさんの告発や水原希子さんの投稿に対してネット上では、
- 企業のおっさんたち、ゲスいなぁ…
- 芸術という名を借りたセクハラですね。名が通ったら何でもありなんでしょうか?お互い表現者として、尊厳を分かち合えないといい作品はできないと思うけど。
- 荒木経惟って昔からセクハラの噂が絶えない爺だったと聞いた。荒木経惟の反論を是非聞きたい
- 昔、藤田朋子の騒動の時も写真家はアラーキーだったよね。あの時は、藤田朋子がおかしい人扱いだったけど、藤田朋子は正しかったのかもね。
- それでもモデルになりたい人は沢山いるだろうし、脱ぐことも厭わない人もいるんだろうね。買い手市場だと、無理な要求を平気でしてきそう。そして断ると二度と仕事が来ないとか・・・多分、誰がどんな声を上げたところで、代りはいくらでもいる業界だから、何も変わらないと思う。そういう覚悟がある人しか、業界にはいられないのかも。なんか、やるせない。。。
- アラーキーの写真はどこかに陰りがあると思っていたけど、単に嫌な行為を強要されたのを我慢していてああいう表情になっていたのかと納得。しかもその表情を引き出すためにそうしたんだと居直った態度だったとはな。
- 元アイドルの河田純子さんは、マツコの番組で、荒木さんに撮影時、いきなりキスされたと語っていました。いまならとんでもない話。
などと、アラーキーさんの行為や水原希子さんが受けた無理強いに対し、同情の声が多く上がっています。
その一方で、水原希子さんは自身のインスタグラムなどでセクシーな姿などを自ら公開しており、お尻を半分見せているものや胸の一部を披露しているものもあることから、
- 自分で脱いでおいて被害者気取りですか?
- 水原希子はこの件について発言しない方がいいね。インスタに下品な写真を自ら上げてる時点で説得力がない…
- トイレ踏ん張り写真とかケツ出した写真公開してる奴が言うことでは無いな
- さすが嬉々として便所で気張ってる写真インスタに上げてる奴は言う事が違いますなぁ!
- 自らSNSでお尻丸出しの画像とか上げてるくせに、セクハラガー商法とか笑うしかないわ
- こいつはすぐに『私は被害者だから』アピールをするな
といった批判的な声も多く上がっています。
まずKaoRiさんが綴った長文を読み、アラーキーさんが普段見せない裏の顔を垣間見て非常に残念な気持ちになりましたね。
これはKaoRiさんが一方的に訴えているものであるため、全てを鵜呑みにすることはできませんが、過去にアラーキーさんのモデルを務めたことのある別の女性も性的虐待を受けたことを明かしており、その方は他にも犠牲者がいることを知っているとし、これは本当の話だと訴えています。
そのため、アラーキーさんがこれまでに様々な問題行為をしていたという話はウソだとは言い切れず、業界では有名な方だけに被害を訴えずに泣き寝入りしているモデルは多くいるのかもしれません。
KaoRiさんへの対応を見る限り、今後態度などを改めるとは思えませんが、今回の告発を受けて対応を少しは改善していってもらいたいものですね。
続いて水原希子さんの無理強いに関しても酷い話だと思いますし、わざわざ現場で20人もの男性社員が撮影を見守る必要は無く、こうした環境での撮影が普通に行われ、精神的苦痛を味わっているモデルがいるというのは問題だと思います。
しかし、水原希子さんの場合は自ら肌の露出が多いセクシーな写真をSNSなどでも公開しているため、イマイチ説得力に欠ける部分があり、今回言及したのは便乗だと批判されても仕方がないのかもしれませんね…。