TOKIO・国分太一さん(42)、女優・真矢ミキさん(53)がMCの情報・ワイドショー番組『白熱ライブ ビビット』(TBS系 平日午前8時)で、不適切な表現や取材方法があった点などがあったとして、番組公式サイトと3日放送の番組内で謝罪をしました。
問題となったのは、1月31日放送分で取り上げた多摩川の河川敷で暮らしているホームレス男性の特集。
番組側の説明によると、この男性は犬を多頭飼い(17匹)しているものの、国が「狂犬病予防法」として定めている予防接種などを受けさせずに、河川敷で飼育しているという問題点を伝えるほか、こうした暮らしをせざるを得なくなった境遇、心情に迫ろうと制作したものだといいます。
しかし、日本テレビのドキュメンタリー番組『NNNドキュメント』のディレクター、『スームイン!』の解説キャスターを過去に務め、現在は上智大学新聞学科教授でジャーナリストの水島宏明さん(59)らは、この特集でヤラセなどがあったことを指摘。
番組ではテロップで「“人間の皮を被った化け物”ボームレス 犬男爵とは!?」と煽り、その他にも多摩川河川敷のことを「多摩川リバーサイドヒルズ」、この場所で暮らしているホームレスのことを「多摩川リバーサイドヒルズ族」と揶揄しており、水島さんは「ホームレスの人たちへの差別や偏見を助長する”ヘイト放送”」だと糾弾。
<↓の画像は、番組のスクリーンショット>
水島さんは、特集に登場した“犬男爵”ことホームレス男性Sさん(70)のことを間接的に知っており、自身のゼミに所属していた女子学生が昨年、ドキュメンタリー制作のためにこの男性を数ヶ月にわたり取材していたことから、今回の件について話を聞くためSさんに取材を敢行。
Sさんは「やらせ撮影に協力させられた」と告白しており、番組では、リポーターの男性が取材しているのを見つけたSさんが「こらー、お前ら何やっているんだ、こら」 「何やっているんだ、勝手に入りやがって、このやろう~。」と怒鳴り、注意するという場面があるのですが、「この場面はTBSに頼まれた」、「カメラマンが向こうで待ち構えているところに『怒鳴って来てくれ』と頼まれて、言われた通りに演技した」と、ヤラセがあったことを明かしています。
<↓の画像は、Sさんがリポーターにキレているシーン>
こうした事が明らかにされたほか、あまりにも偏った編集から「ホームレスへの偏見を助長する」といった批判の声が上がっていました。
そして、今回番組内で謝罪するとともに、番組公式サイトで問題点を記し謝罪しています。
番組では、進行を務めている同局の吉田明世アナウンサー(28)が終盤に、「番組から視聴者の皆さまにお伝えすべきことがあります」と切り出し、「わたくしたちの番組では1月31日に多摩川で生活しているホームレス問題を取り上げました。この放送について、ホームレスの方々に対する差別や偏見を招くものであったという助長する、厳しいご指摘を頂きました。」と説明、視聴者らからクレームが寄せられたことを明かしました。
続けて、「放送内容と制作過程をあらためて検証し、取材した男性を傷つける表現や取材手法に、不適切な点があったと考えます。」と、番組側に問題があったことを認めた上で、「このような放送をしたことについて、視聴者の方々、関係者の方々、そして何より取材を受けていただいた方々に、深くおわび申し上げます。頂いたご指摘をしっかりと受け止めて、こうしたことが再び起きないように努めて参ります」と謝罪し、頭を下げていました。
また、番組公式サイトのトップページでは問題点の詳細を記し、同様に謝罪しており、以下が掲載されている問題点と謝罪コメントになります。
(1) 不適切な表現について
多摩川河川敷で犬の多頭飼育をしているホームレスAさんについて、「犬男爵」と呼んだり、別の男性Bさんのインタビューでの発言を引用して、イラストと共に「人間の皮を被った化け物」と呼んだりするなど、不適切な表現がありました。
また、多摩川のホームレス問題を扱った一連の企画の「多摩川リバーサイドヒルズ族」というタイトルも、不適切であったと考えています。
(2) 不適切な取材手法について
上記Bさんへのカメラインタビューは、ご本人の承諾を得ずに撮影されたものでした。
(3) 取材ディレクターと出会った場面で、Aさんが怒鳴ったことについて
取材ディレクターがAさんに初めて会ったのは撮影日の前日で、この際に取材の承諾を得ていました。
当日、取材ディレクターは、出会いの場面を撮影するにあたって、Aさんに対し「『お前らここで何やっているんだ』と言いながら歩いてきてほしい」と伝えました。
この出会いの場面は、Aさんを「すぐに怒鳴り散らす粗暴な人物」と印象付ける結果となり、不適切な手法でした。
このような放送をしたことについて、視聴者の方々、関係者の方々、そして何より取材を受けていただいた方々に、深くお詫び申し上げます。
いただいたご指摘をしっかりと受け止めて、こうしたことが再び起きないように努めてまいります。
そして、この件に対してネット上では、
- 報道であれば『やらせ』はあってはならないこと。報道番組という認識なら番組終了すべき!
- 制作手法がバラエティの『水曜日のダウンタウン』と全く同じ。水曜日のダウンタウンだったら笑いで済まされていたかもね。
- 報道・ドキュメンタリーとエンタメ・ドラマは違う。こっちの思う様な展開なんてなかなかならないでしょ。ワイドショーでやってる限り、報道って気持ちないのでしょうね。しかし内容なかなかの酷さ。
- こういう時って、いつもやらかした本人は謝罪せずにアナウンサーに謝罪させる。何て無責任なんだろう。
- 謝罪はするが反省はしていない。無論、罰は受けないし責任もとらない
- テレビ番組なんて、基本全てやらせだと思って見るべき。ニュースもドキュメンタリーも信用できない。
- これ以外にもヤラセは沢山有るんだろうな。下手したら出演料払って作りたい映像に仕上げるように演技させているかもな。
などのコメントが寄せられています。
番組によると、多摩川河川敷では現在600人ものホームレスが生活をしているそうで、国有地である河川敷を不法に占拠し、周辺住人にも迷惑をかけていることから以前より問題視されており、狂犬病などの予防接種を受けていない犬を多頭飼いしていることについても問題ではあります。
しかし、かといってホームレスらを悪者に見せるため、ヤラセをしたり偏向報道をしていいわけではありません。
今回は『白熱ライブ ビビット』の特集だけに批判が集まり、謝罪をしているのですが、TBS系で平日朝に放送の情報・報道番組『あさチャン!』(平日午前5時25分)の取材スタッフは、Sさんの周囲に監視カメラや暗視カメラを設置して撮影し、その映像を番組内で放送。
さらに、昨年12月に同じくTBS系で放送の報道・情報番組『Nスタ』(平日17時50分、日曜17時30分)も、Sさんの周囲にカメラを設置して映像を放送していました。
そして、一方的な報道によってSさんが飼育している犬の小屋などには、投石被害が目立つようになったといい、その他にも、周辺のホームレスが住むテントなどを狙ったような野火が相次いでいるそうです。
こうした偏った報道によって、さらに大きな事件に発展してしまう可能性も十分あることから、報道の仕方などには注意をしてほしいものですね。