安倍晋三元首相の国葬に、大手広告代理店『電通』が関与していると事実無根の発言をしたとして、テレビ朝日から謹慎処分を受けた報道局員・玉川徹さん(たまかわ・とおる 59歳)が、15日ぶりにレギュラー番組『羽鳥慎一モーニングショー』に出演し、番組降板は回避するも、レギュラーコメンテーターを降板することが明らかになりました。
玉川徹さんは9月28日放送の番組で、安倍晋三元首相の国葬を取り上げた際に、「自民党、内閣葬だった場合、テレビでこれだけ取り上げたりしない。国葬にしたからこそ、われわれは見る形になる」「これこそが国葬の意図」
と語りました。
また、友人代表として菅義偉元首相が弔辞を読み上げ、その内容に感動の声が多く上がっていたことについても、「僕は演出側の人間ですからね。テレビのディレクターをやってきましたから。それはそういう風に作りますよ、当然ながら。政治的意図が匂わないように制作者としては考えますよ。当然、これ『電通』入ってますからね」「菅さん自身は自然にしゃべってるんですよ。でも、そういう風に届くような人を人選として考えてるってことだと思います」
などと発言しました。
しかし、翌日の放送で玉川徹さんは、「(国葬に)電通は全く関わっていないということが分かりました。関係者の皆様、視聴者の皆様、訂正して謝罪致します。申し訳ありませんでした」
と謝罪し、その後も番組への出演を続けていましたが、10月4日にテレビ朝日が謹慎処分を発表しました。
そして、19日放送の番組で玉川徹さんはスタジオ外の場所から出演し、「私の事実誤認のコメントにより、ご迷惑をおかけした電通及び菅前総理大臣に対し、改めてお詫び申し上げます。慢心と驕(おご)りがあったからだと反省致しました。申し訳ございませんでした」
と、改めて謝罪しました。
<↓の画像が、19日放送『羽鳥慎一モーニングショー』出演の玉川徹さんの写真>
続けて、番組のレギュラーコメンテーターを降板し、現場取材担当に転身することを明らかにしました。
その経緯や理由については、「謹慎の10日間、私は事実確認の大切さ、テレビで発言することの責任の重さを考え続けました。そして事実確認こそが報道の根幹であると、その原点に立ち返るべきだと考えました。これまで私はスタジオで様々なニュースに対しコメントを続けてきましたが、これからは現場に足を運び取材をし、事実確認をして報告する。その基本に立ち返るべきだと考えました。そして、その結果はこの『羽鳥慎一モーニングショー』でお伝えする。そういう風な考えに私は今回至りました。報道局幹部とも話し合いを続け、このような私の考えを理解してもらいました。視聴者の皆さまにも、ご理解いただけるとありがたく存じます。今後、このような形で仕事を続けて参りますが、ご支援のほどよろしくお願い致します」
と説明しています。
- 19日放送『羽鳥慎一モーニングショー』玉川徹さん謝罪シーンの動画(Twitter)
これに対して司会の羽鳥慎一アナウンサーは、「基本に立ち返るというのは、玉川さんの思いであり、テレビ朝日の考えであり、私も同じ思いです。これから玉川さんは現場に足を運びまして、取材をして、玉川さん独自の目線で取材、そして分析をして番組で報告をするという形をとらさせていただきます。番組をご覧になっている皆さまの信頼を回復できるように、これからもしっかりと番組作りを進めて参りたいと思います」
と語りました。
テレビ朝日によれば、玉川徹さんは今後も番組内での肩書きは「コメンテーター」のままとし、番組出演方法については、「基本的に現場で取材したものをスタジオでリポートする形になる。場合によっては現場からもあるかもしれない」
と語っています。
今後の番組出演頻度は“不定期”といい、玉川徹さんが企画、取材したものを番組で伝えていく予定とのことです。
そして、玉川徹さんの番組降板回避、レギュラーコメンテーターから現場取材担当への転身発表を受けてネット上では、
- とりあえずウクライナの最前線に取材に行こうか
- 報道番組で裏取りもせず嘘撒き散らす人間を雇用し続けるテレビ朝日 大丈夫かこの局
- 慢心とおごりがあると、なぜ事実に基づかない発言をすることに繋がるの?
- 具体的な社名までだして嘘をついたのかが説明されなかったのかは残念。日頃説明責任と強くメッセージを出してきた側が説明放棄なんだもの
- これを機会にフリーランスを選ばなかったんだから、定年後も嘱託でテレ朝にぶら下がるつもりだろうな
- 退職しなかったのは退職金満額もらうつもりだからだろ
- 優先順位が高いのが電通なんだな 本来、菅前総理への侮辱だからそっちへの謝罪が先だろ
電通に対してはその仕事をやったというコメントで事実誤認ではあるが侮辱はしてない
スポンサー様をとってきてくれる親分の電通には頭が上がらないということだな - 政治家に対しては捏造した嘘、偏向報道を繰り返してきたがお咎め無し 電通に同じことやったら即降板 これが日本の報道だ
- 電通って1企業であると同時にテレ朝の取引企業でもあるだろうに。取引企業のありもしない悪口を全国放送で言ったらそりゃプンプンやろ
などの声が上がっています。
玉川徹さんの今後を巡っては様々な情報が飛び交っており、13日にはニュースサイト『NEWSポストセブン』が、番組降板の意向を固めていると伝えていたのですが、テレビ朝日側は玉川さんの番組降板をキッパリ否定していました。
テレビ朝日の社長は謹慎処分を発表した時点で、玉川徹さんの番組降板を否定し、謹慎期間が明けたら番組に復帰すると発表しており、これを巡っては物議を醸していました。
週刊誌『週刊文春』によると、謹慎処分発表の2日後にテレビ朝日が開いた定例の放送番組審議会でも、外部有識者たちからは玉川徹さんの発言に対して批判的な声が上がり、「コメンテーターという形では、もう画面には出ないほうがいいと思う。徹底した取材をしてニュースのVTRを作る、裏方に回る方が、説得力が出るのではないだろうか」
との意見もあったとしています。
テレビ朝日側も、「最終的な事実関係の確認ができていなかったという完全なる事実誤認で、情報を扱って、それを伝えるプロの水準には到底達していない状況であった。報道局を挙げてファクトチェックを強化している途上でこのような事態となり、痛恨である」
とコメントするなど、玉川徹さんの発言を問題視していたとのことです。
ただ、玉川徹さんは『モーニングショー』の好視聴率を支えている重要な出演者であるため、テレビ朝日側は番組降板まではさせないだろうとも推測されていました。
そして、最終的に玉川徹さんは番組を降板することなく現場取材を担当し、今後も不定期ながら番組に出演する予定といい、この対応を巡っては賛否両論となっていますが、番組に出演するからには今後事実関係の確認をしっかり行い、憶測などではなく事実に基づく情報を視聴者に伝えていってほしいと思います。