バラエティ番組『水曜日のダウンタウン』(TBS系 水曜22時)で行った企画のロケ中に、警察が出動する騒動を起こしていたことが判明し、現在ネット上では批判の声が噴出し炎上事態になっているのですが、TBSに危ない演出体質があると『東京スポーツ』(東スポ)が報じています。
警察が出動する騒動を起こした企画は、「数珠つなぎ企画で1番過酷なのジョジョの鉄塔システム説」の第2部で、第1部は5月30日にオンエアされ、お笑いコンビ『コロコロチキチキペッパーズ』(略称:コロチキ)のナダルさんがJR新横浜駅前で突然、目出し帽姿の2人に拉致されて倉庫内の檻に閉じ込められ、檻から脱出するためには身代わりとなる芸人を呼び出さなければいけないという内容でした。
<↓の画像は、拉致・誘拐されたナダルさんの写真>
この第1部では、突然呼び出され檻に閉じ込められた『マテンロウ』の大トニーさんが企画内容に激怒し、スタッフらに対して暴言を連発する場面もオンエアしており、これらの様子を見た視聴者らの間で物議を醸すことになり、「見ていて不快」「過激すぎる」「やりすぎでは?」などの批判が噴出していました。
<↓の画像は、マテンロウ・大トニーさんが企画内容にブチギレ激怒していたシーン>
しかし、6月13日の放送回では次週「ジョジョの鉄塔システム説」の第2部をオンエアすると予告し、視聴者らの間で注目を集めていたのですが、20日放送予定だったはずの同企画は別の企画に差し替えられており、その理由をめぐって様々な憶測が飛び交う事態となっていました。
そして、放送翌日の21日に『水曜日のダウンタウン』の収録中に警察沙汰を起こしていたことを『テレビ朝日』などがニュースとして報じ、警察沙汰になっていたことが原因で放送内容を変更していたことが判明しました。
<↓の画像が、テレビ朝日の報道>
警視庁渋谷署などの発表によると、5月22日19時過ぎに東京・渋谷区恵比寿のJR恵比寿駅前の路上で、「男の人が車に押し込まれて連れ去られた」という110番通報が相次いだことから、渋谷署が連れ去り事件として緊急配備を敷くなどして捜査を進め、周辺の防犯カメラを解析し車のナンバーなどから『水曜日のダウンタウン』の企画で使用された車だったことが分かったといいます。
渋谷署は23日に番組のディレクターら2人を渋谷署に呼び、口頭で厳重注意を行ったといい、TBSの社長室広報部は各メディアの取材に対して、「警察と関係者にご迷惑をおかけして誠に申し訳ありませんでした。当該企画は見直しを検討しています。今後、再発防止に努めます」
と謝罪しており、この企画はお蔵入りになると見られています。
なお、TBSの説明によると事前に道路撮影許可を取っておらず、許可を取らずに撮影できると判断してロケを行っていたとのことです。
こうしたトラブルが明らかになったことで、ネット上では多くの批判が寄せられている一方で、
- 地上波でお腹抱えて笑える数少ない番組 批判に負けないで
- 水曜日は唯一無二の番組。このまま自由にやり続けて欲しい
- ギリギリ限界の部分で勝負してるなどの事で本当に楽しみ。注意されてもあまりスタンスは変えないで欲しい
- これからもギリギリのところで踏ん張って欲しい
- 今回の件はやはり良くないし反省してほしいが、この番組自体は企画も内容もひさびさに当たりの番組だと個人的には思ってる。これからも続けてはほしい
- SNSでの炎上を恐れてどの番組も刺激がなくなって面白さがかけてしまった。そんな中過激さを追及しているのは水曜日のダウンタウンだけだと思う。面白い番組にお金を払わないと観れない今の時代にとってありがたい番組
など、今後も攻めの姿勢を崩さずに、ギリギリを攻めていって欲しいといった声も多く上がっています。
東スポによれば、5月30日の第1部オンエア後に大きな反響があったため、番組サイドは第2部の制作にゴーサインを出したといいます。
その結果、このような大きな騒動に発展してしまったわけなのですが、TBSにはあまり反省の色は感じられないとし、テレビ局関係者は第2部のオンエアを見送った経緯について、「先週13日の放送では大々的に告知されていた。警察の厳重注意は先月23日で、マズイと思ったらその時点で放送中止を決め、予告VTRは流さないはず。今月に入りSNS上で騒動が広まり、一部メディアが取材に動いたことで慌てて差し替えたのだろう」
と推測しています。
また、『水曜日のダウンタウン』では過去にも問題を起こしていると指摘しています。
2016年2月3日にオンエアした企画「水戸なら今でも印籠の効果あるんじゃないか説」では、人気時代劇ドラマ『水戸黄門』で使用された「印籠(いんろう)」が水戸市内では現在も効果があるかを検証し、水戸駅周辺にいたマナーの悪い人に注意を行い、反抗的な態度を取った場合に、印籠を出してその効果を見るというものだったのですが、検証の最後に出てきた若者がブチギレ激怒する姿をオンエアしました。
<↓の画像は、「水戸なら今でも印籠の効果あるんじゃないか説」のキャプチャー>
そして、この企画を放送してから1ヶ月後の3月2日までに、茨城県水戸市は『放送倫理・番組向上機構(BPO)』に「視聴者に水戸市は粗暴な若者が多く、治安も悪いと誤解させた」という意見書を提出するというトラブルに発展しました。
水戸市側は企画に登場した若者たちはエキストラであると主張し、それを番組では伝えていなかったことを“虚偽”だと問題視しており、番組放送後には視聴者から「治安の悪さから観光を取りやめた」「イメージが最悪になった」という苦情が寄せられたことを明らかにしました。
この問題に対してBPOは「審議対象にしない」という判断をしたものの、TBSの武田信二社長は同23日に行った定例会見で、「水戸市、および水戸を愛する人に大変不快感を与えてしまったと、反省しているし、申し訳なく思っています」「バラエティーはもっと楽しい方向で作ってもらいたいと常々思っている。ああいう印籠を出して反応を取るという、そのこと自体は悪くはないのでしょうが、どうしてああいうシュチュエーションなのかと、個人的には思う。非常に残念」
とコメントしました。
この他にも、2015年には「ブックオフの福袋買うヤツどうかしてる説」という企画に協力した店側が、事実とは異なるヤラセ行為をしていたことなどをツイッター上で告発し、番組内で謝罪するというトラブルを起こしています。
さらに、BPOに訴えられてから2ヶ月後の2016年5月には、お笑いトリオ『安田大サーカス』のクロちゃんをある部屋に閉じ込め、ツイッターユーザーとのやり取りだけで救出してもらえるかという企画「クロちゃん、どこかに閉じ込められてもTwitterさえあれば助けてもらえる説」では、誤った情報がツイッターで拡散された結果、関係のない住宅のインターホンを企画参加者が鳴らしたことで警察が出動するトラブルが発生し、企画が中止となりました。
最近では、今年2月末に放送の企画「『ベッドの中に人がいる』が結局一番怖い説」で、女性お笑いコンビ『尼神インター』の誠子さんが帰宅前にベッド内に人を潜り込ませ、どのようなリアクションをするのかという検証を行ったのですが、誠子さんは絶叫した後に腰を抜かし、玄関まで必死に這いつくばりながら逃げる姿を放送したところ、視聴者からは「トラウマになる」「やり過ぎて笑えない」「女子にこのドッキリはない」などの批判が殺到する事態となっています。
こうしたトラブルを起こしている中で、再び警察沙汰になるような騒動を起こしていたことが判明し、東スポの記事では「“攻めすぎ”と“やりすぎ”をTBSは履き違えている」と指摘しているのですが、ネット上の反応を見てみると、
- 笑いは見極めが大事で番組なら何でも許されると思っているなら大間違い。正直自分も見てて不快になった
- なんか、どんどんエスカレートしていくどこかのユー・チューバーと変わらないな。ユー・チューバーはほとんど素人だけど、テレビ局は映像のプロ集団なんでしょ?大の大人がモラルの境目がわからないのは恥ずかしい。
- こういう行為がBPOが更に厳しくなる原因だと思うけどね。調子乗りの悪質なユーチューバーと同じだ。撮影かと思い本当の誘拐時に通報されなくなるよ。
- 一番驚いたのは、警察から厳重注意を受けた後に企画の予告をOAしていたこと。反省は口先だけってことですよね?まったく笑えない。
- ダウンタウンも若手芸人をいじめてその反応を見て笑っているようになりましたね。とんねるずみたいになってきた。そういうのはお笑いではないと思う。コントでも漫才でもいいから、芸で笑わせていただきたい。
などのコメントが寄せられています。
『水曜日のダウンタウン』が続けている攻めの姿勢は評価されている点で、近年はテレビ局側が番組のスポンサーへのクレームなどを恐れて守りに入り、自制をしていることでどんどんつまらないものになっている部分が確かにあるため、今回の反省を踏まえてまた新たに面白い企画を生み出してほしいです。
番組MCのダウンタウン・松本人志さんも以前、番組のヤラセなどが問題視された後に『ワイドナショー』(フジテレビ系 日曜午前10時)で番組側の非を認めた上で、「この番組は、最近の番組では唯一チャレンジしている番組。こういうことで、急に保守的になったら嫌やなあって、そこだけ心配してる」と語っていました。
しかし、TBSは他の番組でもヤラセ行為などを指摘され、大きな騒動に発展していることから、番組単位ではなく局自体の印象もかなり悪化している状況にあり、そうした中で今回非常に大きな問題に発展してしまったため、『水曜日のダウンタウン』の制作サイドに対して色々と規制を設けられる可能性は十分あるとみられます。
その結果、当たり障りの無い無難な企画が増えていき、視聴率も右肩下がりになって打ち切りきり終了となることも考えられなくもないのですが、果たして今後も攻めの企画を行っていくのかどうか見守っていきたいですね。