リリー・フランキーさんが主演で今年公開だった映画『一茶』(吉村芳之監督)が、プロデューサーの自己破産や大口出資者の支援打ち切りにより、公開できない状態に陥っていることが明らかになったと『東京スポーツ』(東スポ)がスクープしています。
リリー・フランキーさんが主演する『一茶』は、直木三十五賞など様々な文学賞を受賞し、紫綬褒章も受章している作家・藤沢周平さんの同名小説が原作で、俳諧師・小林一茶の生涯を描いた作品となっています。
リリー・フランキーさんの他に、継母・さつ役を中村玉緒さん、父・弥五兵衛役を石橋蓮司さん、一茶思いの異母弟・仙六役を伊藤淳史さん、一茶の最初の妻・菊役を佐々木希さんが演じ、さらに水川あさみさん、立花美優さん、高橋かおりさん、内野聖陽さん、奥田瑛二さんなどの豪華なキャストが顔を揃えています。
<↓の画像は、映画『一茶』のワンシーン>
撮影は小林一茶の故郷・長野県を中心に行われ、昨年9月15日にクランクイン、同11月にクランクアップしており、今年8月から開催の「第41回モントリオール世界映画祭」への出品も予定していると昨年10月の時点では発表されていました。
しかし、トラブルが相次いだことで公開できない状態になっていると今回東スポが報じており、当初はKADOKAWAの配給で10月12日から公開予定だったそうなのですが、編集作業などを残した状態で、公開のメドも立っていないといいます。
『一茶』の監督を務めた吉村芳之監督は、今年2月に心不全のため70歳で死去しており、今作が遺作となりました。
『一茶』の脚本を手掛けた脚本家・柏田道夫さんは東スポに対して、公開のメドが立たなくなった原因を明かしており、「制作会社、オフィスティーエムが資金難からスタッフ、キャストらへの未払い金の支払いができず、倒産したため」と激白しています。
<↓の画像は、吉村芳之監督&脚本家・柏田道夫さんの写真>
また、『オフィスティーエム』の代表で映画のエグゼクティブプロデューサー・松田貢さん(63)に泣きつかれ、柏田道夫さんが最低額で了承したという脚本料についても、現時点で5分の1ほどしか支払ってもらっていないそうです。
この映画に約3億円の出資を約束していた財団法人『日本機構』は、実際に支払ったのは最初の数千万円のみで、「以後『来月は間違いなく払う』と繰り返し続け、ついに入金がなされず今日に至っている」「松田氏の報告によると、日本機構に何度催促しても支払われないまま、ということだった」といいます。
エグゼクティブプロデューサーである松田貢さんは、9月まで関係者には「全部払う」などと話していたそうなのですが、突然自己破産してしまったとのことです。
約3億円の出資を約束していた『財団法人日本機構』は、元民主党衆院議員・加藤尚彦さんが理事長を務め、加藤さんは自身のYouTube公式動画チャンネルで、「小林一茶の映画の製作をお手伝いしております。日本機構という財団法人ですけれども、その理事長をしております。資金提供をしたり、あるいは文部科学省からの補助金を取ったり、そんなことが私の仕事としてやっております」「5月ごろの角川文庫、つまり角川映画で日本全国150館で放映されると思います。その後しばらくして、全国5万校の小中学校にDVDを配信できればいいなぁというふうに思います」といった告知をしていたようです。
<↓の画像が、財団法人『日本機構』の前理事長・加藤尚彦さんの写真>
東スポが加藤尚彦さんに取材したところ、「友人から『応援してくれ』って頼まれて、松田さんを日本機構に紹介したのは僕。松田さんを文化庁(文科省の外局)に連れてって、課長さんたちに紹介し頼みに行った。文化庁は、(映画が)完成すれば助成金を出すという話になった」と経緯を語り、「僕自身は年金生活者だから、お金は出せない」と資金援助は断ったそうです。
その上で「全ての経緯を知る人物」として、『日本機構』の代表理事を務めているという柳橋廣地さんの名前を挙げ、出資を打ち切った理由については、「松田さんのお金の使い道を柳橋さんが弁護士を使って精査したところ、不正があったので、今後支援するかどうかは使途不明金の行方が明らかになった段階で、ということになったと聞いた。もっとも松田さんは『どこに不正があるのか言ってください』と柳橋さんに迫っていた」と明かしています。
このような事態になり、加藤尚彦さんも「骨を折るつもりだった」そうなのですが、本編の関係者向け上映会で「激しい性描写の多さ」が引っかかったといいます。
松田貢さんは「直します」とは言っていたものの、編集にも当然お金がかかるので、松田さんは最終的に自己破産し、編集作業はストップした状態のままで公開もメドが立っていないとのことです。
加藤尚彦さんの主張によれば、今回の件は約束した3億円の出資をしなかった『日本機構』側にあるといい、今年1月末日付の映画支援の契約書には当時の加藤理事長名になっているそうなのですが、この契約書について加藤さんは「全く知らない。柳橋さんの独り相撲。私の名前を勝手に使って作った報告書だと思う」と話しています。
さらに、加藤尚彦さんは「日本機構に『経理上の不正があるから』という結論を出され、支援を打ち切られた松田さんは、通帳から何から見せて『どこに問題あるのか』と柳橋さんにたびたびメールしたが、返信が一切なかったと言ってた。映画を世に出すためいろんなとこから借金して、個人でも約7000万円出資したと聞くし、僕は松田さんを信用している。彼に難癖つけて悪者にしたのは日本機構の方」だと語っています。
東スポは松田貢さんに直接話を聞くことは出来なかったそうですが、近い関係者に取材を行い、『日本機構』側が出資打ち切りの理由として挙げている松田貢さんの不正経理疑惑について、「あまりにもウソ。真実ではない」「時間がたって弁護士の許可が出れば、必ず真実をお伝えします」と反論しています。
一方の『日本機構』側は今回の件について、「我々からお話しできることはございません」という対応だったとのことです。
これに対してネットでは、
- 亡くなられた監督のためにもぜひ公開してあげて欲しい。
- これだけのキャスト揃えながら、結局契約書に基づいて製作しなかったのが最大の失態ですね。3億と言えば、それだけで映画1本作れる金額ですから、その出資金が振り込まれる前に2ヶ月も撮影してしまうとは、あまりに雑です。監督ではなくプロデューサーに責任ありです。
- 日本機構なんて名前は聞いたこともないけど、名前からして胡散臭そう。支援しないのなら完全撤退ということで退場していただき、、今からでも別のスポンサーを探して、是非公開にこぎつけてほしい。それだけの配役の映画なら、支援者が今からでも現れるのでは?
- ホリエモンあたりに相談すれば、金になりそうなら権利ごと買い上げてくれるんじゃない?仕事した人たちにお金いかないのはかわいそうだな
- 事前に内容の確認をしなかったことも落ち度があるけど、そもそも製作側がしっかりプレゼンしてどういうコンセプトで作るか説明してない可能性もある。小中学校にDVDとして配布するつもりで紹介したという点から、明らかに初めから誤解した状態で話が進んでる。小林一茶の映画を作りますだけで出資を頼んでたのなら勘違いするのも仕方ないし製作側が悪い。
などのコメントが寄せられています。
脚本家の柏田道夫さんなど、この映画に関わった方たちも自身のフェイスブックなどでこのトラブルについて綴っており、製作側はこのトラブルの元凶は『日本機構』にあるとしています。
また、自己破産したエグゼクティブプロデューサーの松田貢さんにも甘さがあったようで、このような最悪な展開を迎えてしまっているようなのですが、それなりに豪華な俳優・女優が揃っており、監督を務めた吉村芳之監督の遺作ということから、今後しっかりと話し合いをした末に映画を公開するという形にしてほしいものですね。
プロデューサーの松田貢さんは9月9日に福島県で特別講演会「藤沢周平作品『一茶』を映画化して」を行っており、映画については「一茶の生き方は若者に衝撃を与えるのではないか。中年には前向きに生きる意欲を、高齢者には人生の再スタートへのメッセージを伝えられる」などと語っており、このようなトラブルになった原因は少なからず松田さんにもあることから、映画を公開できるようこれから尽力してもらいたいですね。