『第75回 NHK紅白歌合戦』に出場する歌手・俳優の星野源さん(ほしの・げん 43歳)が26日、歌唱曲目として発表された『地獄でなぜ悪い』の歌唱を取り止め、『ばらばら』に変更することを発表し、その理由を巡って物議を醸しています。
NHKは23日に出場歌手の曲目を発表し、星野源さんは2013年発売の6枚目シングル『地獄でなぜ悪い』を弾き語りバージョンで披露するとしていました。
曲目が発表後に星野源さんは自身のインスタグラムで、10年以上前の曲を歌唱する理由について、「NHK紅白の演出の方に、今年この曲を歌って欲しいんです。この曲をテレビを観ている“あなた”の一人一人に届けて欲しいんです。と、その熱い想いと共にオファーをいただいたとき、あまりに予想外で本当に驚きました。そして、血が湧き上がるような感覚にもなりました。弾き語り、一生懸命に、“今”の気持ちで歌いたいと思います。大晦日、よろしくお願いします!」
と、NHKサイドからの熱烈オファーによるものだったと明かしていました。
しかし、この曲は性加害疑惑を報じられた園子温監督の映画『地獄でなぜ悪い』の主題歌ということで、ネット上ではNHKと星野源への批判が噴出し炎上、曲目変更を求める声が上がっていました。
<↓の画像は、性加害疑惑を報じられた園子温監督の写真>
こうした騒動を受けて、NHKは26日に紅白の公式サイトを更新し、『地獄でなぜ悪い』の歌唱を巡って様々な意見が寄せられているとしたうえで、同曲をオファーした理由については、「今回のテーマである『あなたへの歌』のもと、この楽曲に込められた思いやメッセージを、テレビをご覧になる『あなた』へお届けすることで、今さまざまな時間を過ごしている人たちを勇気づけたい、という思いから、楽曲の選定を行い、オファーしました。」
と説明しています。
続けて、「アーティストはもちろん、NHKも性加害は決して許さないという姿勢であることは言うまでもありません。しかし、曲目発表後の反響を受け、あらためて紅白制作チームとアーティストサイドで協議を行い、番組全体の構成や演出面などから判断し、星野源さんの歌唱曲を、デビューアルバムに収録されている『ばらばら』に変更することを決定しました。」
と、異例の曲目変更を発表しています。
NHKの発表を受けて星野源さんも公式サイトなどを更新し、炎上騒動に発展した『地獄でなぜ悪い』を制作した経緯について、この曲は2012年にクモ膜下出血で入院中に作詞し、詞の内容は個人的な経験・想いをもとに執筆したもので、映画のストーリーをもとに表現したものではないと説明しています。
ただ、「性加害疑惑を報道された人物が監督した映画の主題歌であること、映画タイトルにある『地獄』というワードにヒントを得たこと、映画タイトルと同名の楽曲であることもまた事実です。この曲を紅白歌合戦の舞台で歌唱することが、二次加害にあたる可能性があるという一部の指摘について、私たちはその可能性を完全に否定することはできません。」「オファーの意図から離れ、真逆の影響を与えうるのであれば、それはオファーを受けた私たちの想いに反してしまいます。私たちは、あらゆる性加害行為を容認しません。」
として、『地獄でなぜ悪い』の歌唱中止を報告しています。
最後に、「この曲が多くのファンの皆様に愛していただいている楽曲であることを、私たちはよく理解しています。また、星野自身もとても大切にしている楽曲であることはこれからも変わりません。紅白制作チームと協議の結果、今回は曲目を変更し、『ばらばら』を弾き語りします。ご期待いただけますと幸いです。」
と綴っています。
そして、異例の曲目変更とそれぞれの声明発表を受けてネット上では、
- そもそもそういう曲を選ぶなって話だわな
- 星野が感動するほど熱心に「地獄でなぜ悪い」を熱望したNHKの人間は、これが何の主題歌か本当に知らなかったのかね
- いつ曲が性加害をしたんだ? こんな事をしてたらこの曲はもう永遠に禁曲になってしまうぞ
- 曲には罪はないけど、そもそものチョイスの意図がわからない
- その曲で押し通して延々ネガティブな事言われるより変えて正解
- 紅白の選曲基準がよく分からない。今年ヒットした歌なら分かるけど、この人何歌ってた?何でこの歌?ての多いし。またこの歌で出るの?て人もいるし
- ファン以外の人は源さんがどんな思いで作った曲か知らないし、タイトルだけでビックリする人もいる ライブで歌ってくれれば十分!
- スタッフがファンなんだろうけど、この曲で園子温の名前がチラつかないのが、ジャニーズ出そうとしてた紅白スタッフらしいところか
などの声が上がっています。
園子温監督の性加害疑惑は2年前に週刊誌『週刊女性』が報じ、その後も複数の女優らが園監督から被害に遭ったとする告発が相次ぎ、大炎上騒動に発展しました。
週刊女性の報道に対して園子温監督は、「映画監督としての自覚のなさ、周りの方々への配慮のなさを自覚し、今後のあり方を見直したいと思っております」
としながら、記事には事実と異なる点が複数あるとして、損害賠償と謝罪広告の掲載などを求めて提訴し、最終的に週刊女性が記事を削除することで和解が成立しました。
ただ、園子温監督サイドも性加害自体が事実無根とのコメントは出しておらず、「事実と異なる点が多々ある」としていたことや、園監督らからの性被害を訴えていた元女優・千葉美裸さん(享年36)が、ネット上で誹謗中傷を受けるなどして2022年末に自宅で自殺するなどしているため、園監督の映画主題歌である『地獄でなぜ悪い』を紅白で歌唱することに対して、疑問や批判の声が上がっていました。
ちなみに、『地獄でなぜ悪い』は映画の主題歌として書き下ろされた楽曲で、当時の報道によると、園子温監督からのオファーを受けて映画と同タイトルの曲を制作し、曲を聴いた園監督は「星野源は、俺の愛そのものになった、あいつは、俺、俺は、あいつ」とコメントしていました。
曲には一切罪はありませんが、制作から10年近く経って園子温監督が複数の女優等に対して、自身の作品への出演をエサに性加害をしていた等の報道、告発が相次ぎ、この騒動後に園監督は表舞台に姿を現すことなく雲隠れし、疑惑が払拭されていない状況から、紅白での歌唱を取りやめるというのは妥当な判断かと思います。
そして、『地獄でなぜ悪い』に代わり披露するのはソロデビューアルバム収録の『ばらばら』で、ファン以外には馴染みが薄い曲ということから、この選曲を巡っても疑問の声が上がっていますが、今回の騒動を払拭するような素晴らしいパフォーマンスを是非披露してほしいです。