『日本ボクシング連盟』の内田貞信会長が11日、生放送の報道番組『サンデーモーニング』(TBS系 日曜午前8時)に出演の元プロ野球選手で、野球解説者・評論家の張本勲さん(はりもと・いさお 81歳)が女性ボクサーを蔑視する発言をしたとして、TBSに抗議文を送ったことを発表しました。
『日本ボクシング連盟』が問題視しているのは8日放送の『サンデーモーニング』内での発言で、東京五輪の女子ボクシング・フェザー級で入江聖奈選手が、日本女子ボクシング史上初となる金メダルを獲得したことなどを取り上げた際に張本勲さんは、「女性でも殴り合いが好きな人がいるんだね。見ててどうするのかな。嫁入り前のお嬢ちゃんが顔を殴り合ってね。こんな競技好きな人がいるんだ」などと語りつつ、最後は「それにしても金だから、あっぱれあげてください」と称賛していました。
この発言は視聴者等の間でも物議を醸し、ネット上では批判が殺到し炎上状態になっており、日本人初となる世界5階級制覇を達成しているプロボクサー・藤岡奈穂子選手もSNS上で、「どこ目線から発している言葉なのか。偏りがあり知識のない人を炎上商法として使っているのだろうかテレビ局は。そしてボクシングは『殴り合い』ではない」
などと怒りの声を上げていました。
そして、『日本ボクシング連盟』の内田貞信会長は、張本勲さんの一連の発言は「女性及びボクシング競技を蔑視した」と思わせるものだったことから遺憾の意を示し、TBSに抗議文を送付したことを11日に発表しています。
内田貞信会長は抗議文書を出した理由について、「ボクシングを愛している方々のためにも、女性ボクサーを誤解されたくないため、抗議文を出した」と説明しています。
『日本ボクシング連盟』の公式サイト上では、TBSへ送付した抗議文書の内容を公開しており、女子ボクシングはヘッドガードを装着した上で試合を行うなど、安全面に配慮しながら実施されているとし、「当連盟でも、女性も楽しめる・活躍できる競技でなければ競技の普及や発展に繋がらないと考え、世界に倣って啓発と普及に努めてきました。その結果が、入江聖奈選手と並木月海選手という2人の女子選手の大躍進に繋がったと考えております。両者ともに競技の強さのみならず、謙虚な立ち居振る舞いや、他人への配慮ができる素晴らしい人です。競技を通じて痛みを知っているからこそ、他社を尊重し、人に対して優しくできるのではないでしょうか。男性だから、女性だからではなく、ボクシング競技を通じて『人間力』が養われた結果であると考えております」
と、ボクシングはただ単に殴り合うだけのスポーツではないと訴えています。
続けて、「ボクシング競技が単純な暴力的な殴り合いではないこと、技術を駆使した競技であることをご理解いただき、また女性だからそんな競技に取り組むべきではないという、多様性を否定するような番組内での発言を、視聴者の皆様に対して訂正をしていただきたい」
とし、今後も番組では全てのスポーツの楽しさ、価値を伝え続けていってほしいとの思いを記しています。
この問題に対してネット上では、
- 張本さんの時代は、女性でボクシングをやられてる方はほとんどいなかったんだと思いますけど、時代が違いますからね。
もう少し柔軟に対応して欲しいですね。たまたま観てましたけど、一瞬でやってしまったなと思いました。 - しっかり反省すべきでしょうね。女性差別はどうしようもないですが、それ言ったら、女子柔道もレスリングも格闘技は全て嫁入り前の女性がすべきなのかって話になりますね。
スポーツとしてはボクシングはメジャーであり、張本氏の出身母体である野球のようなローカルスポーツとは比べ物にもなりません。 - 張本勲って思い付きで発言しているように感じる。だから、後先を考えていないのではないだろうか。
プロ野球OBだけど、他のスポーツに関しては素人だから、ご意見番的な出演はやめさせた方がいいと思う - サンデーモーニングもいつまで張本さんを使ってるんだ?元々大沢親分と対になる形で成立してたのだし、最近の発言には世間とのずれが見える。
そろそろゆっくりして頂いた方が、視聴者も本人にもいいと思う。このままだと晩節を汚すよ - 元々、保守的だけれど、この発言で本当の意味で時代に合わない番組になってしまった。
老の張本をきるか、番組が終わるか、保守的な一部の人が溜飲を下げる有料番組に切り替えるかして欲しい。
素晴らしい金メダリストを見下している。見下されるのはどちらなのか? - サンモニのコメンテーター陣は、男女差別やLGBTQへの偏見をなくさなきゃいけない
日本は遅れた国だと言い続けてるのに、この張本さんの発言には何も言わなかったのかな。
痛烈に批判するべき発言だと思うけど。結婚にまで踏み込んだセクハラ発言でもあるし。
などの声が上がっています。
『サンデーモーニング』で司会を務める大ベテラン司会者・関口宏さん(78)、「週刊御意見番」担当の張本勲さんの番組内での発言は度々メディアに取り上げられていますが、考え方が古かったり、偏りがあって独断と偏見に満ちた言動が問題視されて炎上することが多く、特に張本さんの発言は頻繁に非難の的になっています。
8日放送の番組内でも、「女性でも殴り合いが好きな人がいるんだね。見ててどうするのかな。嫁入り前のお嬢ちゃんが顔を殴り合ってね。こんな競技好きな人がいるんだ」などと、入江聖奈選手ら女性ボクサー、競技自体を蔑視する言動をしており、『日本ボクシング連盟』がブチギレ激怒して抗議文を送付するのも当然かと思います。
そして、今回の問題を受けて張本勲さんの番組降板など、何かしらの処分を求める声も少なくありませんが、TBSは今後どのような対応をするのか見ものです。
ちなみに、4月に週刊誌『週刊新潮』のWeb版『デイリー新潮』が報じた記事によれば、報道局が制作する『サンデーモーニング』は現在も平均世帯視聴率が14%前後で推移し、同時間帯トップクラスの数字を獲得しているものの、視聴者の年齢層が高いことで打ち切りや大幅リニューアルが囁かれているそうで、今回の騒動が番組打ち切りや、リニューアルに拍車をかけることになるかもしれないですね。