アニメ制作会社『スタジオジブリ』の取締役で、アニメーション監督・宮崎駿さん(76)が現在制作中の新作アニメのタイトルが28日に発表され、『君たちはどう生きるか』に決定したことが明らかになりました。
このタイトルは、編集者・児童文学者などとして活動した吉野源三郎さんが1937年に発表した同名小説から取ったもので、新作の内容については「その本が主人公にとって大きな意味を持つという話です」と明かし、「完成には3年か4年かかる」としています。
宮崎駿監督は28日に、早稲田大学で開催されたイベント「漱石と日本、そして子どもたちへ」に出席し、参加者たちの前でスタジオジブリの新作『君たちはどう生きるか』について語っていたとのことです。
宮崎駿監督は2013年に自身が原作を描いた漫画『風立ちぬ』をアニメ映画化し、この作品をもって長編アニメ制作からの引退を発表。
引退後は、三鷹の森ジブリ美術館の企画展示『クルミわり人形とネズミの王さま展』の企画・制作・監修を手掛けたり、ジブリ美術館用の新作短編3DCGアニメ『毛虫のボロ』を制作するなどの活動をしていました。
そして、今年2月に『スタジオジブリ』の代表取締役プロデューサー・鈴木敏夫さん(69)が、宮崎駿監督が長編アニメ制作に復帰したことを明かし、すでに制作に着手していることが判明しました。
その後4月にイベントに出席した鈴木敏夫プロデューサーは、新作の公開時期について2019年ごろに公開かという質問に対して、「そんなことはできるわけがない。」と噂を否定した上で、「今、絵コンテを描いています。全然進捗状況が良くない」などと語り、その後5月に新作を制作するためのスタッフ募集が行われました。
ちなみに、宮崎駿監督が引退を撤回した理由について、今年5月の復帰発表の際に「(引退発表以降)この間、昔からの大切な仲間を何人も亡くし、自分自身の終焉に関してより深く考える日々が続きました。」「作るに値する題材を見出したからにほかなりません。年齢的には、今度こそ、本当に最後の監督作品になるでしょう」としていました。
しかし、10月に放送された『日曜美術館』(NHK)に出演した鈴木敏夫プロデューサーは、新作について「孫のために作ってますよね。おじいちゃんはあの世に行っちゃうけど、作品を残すって」と明かしており、実際には孫の存在が原動力となり復帰を果たしたようです。
何はともあれ、これまで数多くの名作を生み出した宮崎駿監督が、自身最後の長編アニメとしてどのような作品を作り上げるのか楽しみですね。
ネット上の反応を見てみると、今回発表された新作のタイトルやおおまかな内容から、初期の作品のような大人も子供も楽しめるようなファンタジー作品ではなく、『風立ちぬ』のようなメッセージ性が強いものになるんだろうなという声が多く、あまり期待はしていないという方が多い様子なのですが、世代を越えて楽しめるような作品になっていることに期待したいところです。