実写映画『先生の白い嘘』三木康一郎監督がインティマシーコーディネーター拒否問題を謝罪。主演の奈緒も騒動に言及

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奈緒主演の実写映画「先生は白い嘘」

男女の性暴力、性被害を描いた漫画『先生の白い嘘』が女優・奈緒さん(29)主演で実写映画化され、三木康一郎監督(53)が公開直前にインタビューで制作の舞台裏を告白し、奈緒さんが「インティマシー・コーディネーターを入れて欲しい」と求めたにも関わらず、それを拒否していたことを明かしネット上で物議を醸しています。

そうした中で、5日に行われた公開初日舞台あいさつに三木康一郎監督らが登壇し、騒動に発展した言動を謝罪しました。

『先生の白い嘘』は、漫画家・鳥飼茜さん(42)が2013~2017年に『月刊モーニング・ツー』で連載の同名漫画が原作で、男女間にある「性の不平等」を中心テーマとしながら、人々の根底にある醜さや美しさなどを描いた人間ドラマで、性暴力シーンなどが含まれていることから映画は「R15+指定(15歳未満は鑑賞禁止)」となっています。

主演の奈緒さんは、親友の恋人から性的暴行を受けた主人公の高校教師・原美鈴役を演じ、バイト先の人妻から性加害を受けた高校生・新妻祐希役を『HiHi Jets』の猪狩蒼弥さんが演じています。

男性経験がなかった美鈴に性的暴行を加え、その後も美鈴を脅し、性的関係を強要し続ける早藤雅巳役を風間俊介さん、早藤の婚約相手で美鈴の親友・渕野美奈子役に三吉彩花さんが起用されています。

新妻に近付いて相談相手となり、行動をコントロールする“ミサカナ”こと三郷佳奈役を田辺桃子さん、新妻と同じクラスのムードメーカーでチャラ男の和田島直人役を井上想良さん、その他に美鈴が通うメンタルクリニックの医師役を板谷由夏さん、新妻の祖父役でベンガルさんらが出演しています。

実写映画『先生の白い嘘』登場キャラクター紹介動画

この作品のメガホンを取った三木康一郎監督は、約10年前に原作を読んだといい、男性目線で性を描いた作品が多かった中で、鳥飼茜さんが女性目線で描いたこの作品に新鮮味を感じ、ぜひ映像化したいと思ったそうです。

<↓の画像が、三木康一郎監督の写真>
実写版『先生の白い嘘』監督・三木康一郎

そして、ドラマ『大切なことはすべて君が教えてくれた』、『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命 3rd season』、『透明なゆりかご』、『きのう何食べた?』、『G線上のあなたと私』、『おかえりモネ』などを手掛けた人気脚本家・安達奈緒子さんに脚本を依頼し、約10年前に脚本は出来上がっていたといいます。

しかし、作品の内容からキャスティングに難航し、奈緒さんに最終決定するまでに10人ほどの女優に出演を断られたといいます。

映画の撮影は2年前に行われたそうですが、性描写を含む内容であるため奈緒さんサイドは「インティマシー・コーディネーターを入れて欲しい」と要望したとのことです。

インティマシー・コーディネーターとは、性的描写を含むシーンなどを撮影するにあたり、弱い立場の演者側の意向をしっかりと反映するために制作サイドとの間に入り、双方の意向を確認したうえで調整を行う仕事です。

このインティマシー・コーディネーターという職業は、アメリカの映画界で大きな力を持っていたハーヴェイ・ワインスタインさんによる性加害事件が発端で巻き起こったMeToo運動がきっかけで、役者を守るために誕生しました。

ですが、三木康一郎監督はニュースサイト『ENCOUNT』のインタビューで、「奈緒さん側からは『インティマシー・コーディネーターを入れて欲しい』と言われました。すごく考えた末に、入れない方法論を考えました。間に人を入れたくなかったんです。ただ、理解しあってやりたかったので、奈緒さんには、女性として傷つく部分があったら、すぐに言って欲しいとお願いしましたし、描写にも細かく提案させてもらいました。性描写をえぐいものにしたくなかったし、もう少し深い部分が大事だと思っていました」と、インティマシー・コーディネーターの導入を拒否したことを明かし、バッシングの嵐となりました。

これを受けて5日に行われた初日舞台あいさつで三木康一郎監督は、「この度は、私の“不用意な発言”により、皆さまに多大なるご迷惑とご心配をおかけしたことを、この場をお借りして謝罪したいと思います。本当に申し訳ありませんでした。さらに、関係者、スタッフ、キャストにも大きな大きな苦しみを与えてしまったことをこの場で謝罪したいと思います。本当に申し訳ございませんでした。さらに、原作の鳥飼茜先生、この作品に尽力していただいたにも関わらず裏切るような形になり、本当に申し訳ございませんでした。」と、頭を下げて謝罪しました。

<↓の画像は、公開初日舞台あいさつ登壇の三木康一郎監督と出演者の写真>
先生の白い嘘出演者と三木康一郎監督
(左から) 三木康一郎監督、猪狩蒼弥さん、奈緒さん、三吉彩花さん、風間俊介さん

これに対して奈緒さんは、「私としては、ここにいる誰も心を痛めるようなことなく、一緒にいたいと切に願っております。なので一言『私は大丈夫です』。それだけは伝えようと思っていました」と語りました。

また、「私自身、原作に心から惚れ込み、出演することを自分で決めました」としたうえで、「その中で色々なやり取りがあり、すれ違いがあったことは事実です。でもそれは当人同士の問題として、権力に屈するようなことは一切無く、対等な関係でお話をしましたし、言いたいことは伝えました。伝えた上で、どうしても現場に対して不十分だと思う部分が正直ありました。そこは私たちも未熟で、この映画を公開するにあたって、もっと傷つけない言葉を選んで、ちゃんと自分たちの真意を宣伝でお話しできなかったことが、皆さんを不安にさせる結果を招いてしまったのかもしれない。私自身は自分の事として深く反省しています」などと語っていました。

そして、三木康一郎監督の謝罪、奈緒さんのコメントなどを受けてネット上では、

  • 発言自体を謝罪するということは、やはりコーディネーターを拒否した行為は間違っていないという意識なんだね。こういうポリシーの方は時代に合っていないのでは
  • 「私は大丈夫」で済まされないことだと思う。こういう創る際の配慮がなかったエピソードを聴くと映画を見たくなくなる。
  • 不用意な発言を謝罪するのではなく、俳優の心と体を守るための措置を却下したことを謝罪したほうがいいと思うが。何かいまだにズレてる。
    奈緒さんとしては、頑張って撮影した作品たし、大丈夫というしかないよなあ。
  • 監督がコーディネーターをいれたら俳優と気持ちが通じにくくなる、という認識を持っている事が問題。本来の役割はその真逆。
    俳優が自分の意に沿わぬ事を無理矢理やらなくてはいけないような現場にせず、気兼ねなく監督や現場に意思を示す事ができるようになるために必要な役割
  • 不用意な発言が問題ではない。言わなきゃ良かったじゃない。一俳優への、一女性への配慮の無さが度を超えている大問題だということ。
    原作を読んですごく心を痛めた一読者として、これを実写化した責任、演じる俳優への配慮の欠片が何一つない点については、怒りしかない

などの声が上がっています。

インティマシー・コーディネーターの導入は、『先生の白い嘘』の撮影が行われた2022年にも大きな注目が集まっており、水原希子さんと『ゲスの極み乙女。』のドラマーで女優・さとうほなみさんがW主演した映画『彼女』(Netflix)の撮影で、インティマシー・コーディネーターが導入されており、そのきっかけはプロデューサーによるセクハラ言動だったことなどを水原さんが『週刊文春』のインタビューで告白し、当時大きな話題になりました。

昨年放送のNHKドラマ『大奥』では高嶋政伸さんが、娘に性的暴行を加える父親役を演じるにあたり、共演者の心情に配慮してインティマシー・コーディネーターの導入を要望したと明かし、「作品に関わる全ての人間の心に寄り添い、人間の尊厳を守りながら、この異常なシチュエーションをベストに撮影するためには絶対になくてはならない存在です」と明かしていました。

しかし、『先生の白い嘘』の撮影では三木康一郎監督の要望によりインティマシー・コーディネーターは導入されず、奈緒さんは「大丈夫です」と気丈に振る舞っていたものの、「現場に対して不十分だと思う部分が正直ありました」とも語っているため、インティマシー・コーディネーターを拒否したのは不適切な対応だったと言わざるを得ず、ネット上ではこれもパワハラにあたるといった指摘が相次いでいます。

奈緒さんは自ら進んで出演を強く望んでいたことや、監督にしっかりと自身の意見を伝える精神力があったからこそ、大きなトラブルに発展することはなかったのかもしれませんが、こうした前例ができてまかり通ってしまうのは大きな問題です。

今後ほかの作品で役者が嫌なことを無理強いされるといった問題が発生しかねないため、映画業界全体でインティマシー・コーディネーターの導入について議論し、ガイドラインを設けるなどの対応を取ってもらいたいと思います。

2件のコメント↓コメント投稿
  1. 1
    匿名
    ID:ZGFkMWJjMm

    結局ズレがあった訳だから入れた方がって話かな

  2. 2
    匿名
    ID:NmE2M2JlN2

    謝る所はそこじゃない気がする
    自分が撮りたい気持ちを優先したって事だよね

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