10月から土曜日夕方に放送枠が移動した人気アニメ『ドラえもん』と『クレヨンしんちゃん』の視聴率低迷が続いており、枠移動は大失敗に終わっていると週刊誌『週刊新潮』のウェブ版『デイリー新潮』が報じており、ネット上でも放送時間変更に対して批判の声が上がり続けています。
そうした中で、テレビ朝日は26日に行った定例社長会見で2番組の視聴率について言及し、番組編成担当の西新・取締役総合編成局長は、「長年親しんで頂いたこともあり、(新たな枠への視聴の)定着に一定の時間が掛かると思っている。土曜のこの時間に定着できるようにしっかりPRなどを行っていきたい」
とし、今後は朝の情報・ニュース番組『グッド!モーニング』などの番組で、時刻表示やお天気コーナーにキャラクターを登場させるなど、様々なPRを検討しているとしています。
<↓の画像は、10月から枠移動した『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』の写真>
また、『ミュージックステーション』も金曜20時台から21時台に移動して以降、同様に視聴率が上がらず低迷状態が続いていることについては、「時間がズレたということで苦戦しているが、企画も生にこだわった色んなチャレンジをしているところです。いち早く定着してもらえるように頑張りたい。基本姿勢は変わっていません」
と答えています。
枠移動が物議を醸している『ドラえもん』と『クレヨンしんちゃん』は、今年9月まで金曜日19時台に放送されており、平均視聴率はそれぞれ6~7%台でした。
しかし、10月から『クレヨンしんちゃん』は金曜19時30分→土曜16時30分、『ドラえもん』は金曜19時→土曜17時に大きな枠移動が行われた結果、初回放送は『クレヨンしんちゃん』が4.9%、『ドラえもん』は6.0%となっています。
その後も、10月26日の3回目は『クレヨンしんちゃん』が2.9%、『ドラえもん』は3.8%、11月2日の4回目も2.5%と3.3%、9日の5回目は3.4%と4.1%、16日の6回目も3.4%と3.3%と、枠移動によって視聴率がおよそ半分にまでダウンしています。
<↓の画像は、枠移動前後『ドラえもん』と『クレヨンしんちゃん』の視聴率>
『クレヨンしんちゃん』と『ドラえもん』はかつて平均10%以上の数字を獲得していましたが、近年は平均6~7%台に下がっており、テレビ朝日側は枠移動について、「視聴率が非常に厳しい結果になっている。視聴習慣の多様化の中で今までの時間で見ていただくのが厳しくなったのかなと思い、週末の夕方の方が今の時代にしっかりとマッチし、視聴週間も持っていただけると思う。今の子どもは塾通いなどで活動的になっており、金曜19時はなかなか毎週見ていただくのは厳しいのかなと。家族で見ていただける土曜で新たな視聴習慣を持っていただけたらと思います」
などと説明していました。
ですが、実際には土曜日夕方の方が在宅率は低く、総世帯視聴率は金曜19時台が50%の一方、土曜夕方は30%台にまで落ちており、土曜夕方に在宅しテレビを視聴率している人、母数が少ないことから数字が落ちるのは当然で、テレビ朝日側もこれを把握した上で土曜夕方に移動させたのは間違いないとみられます。
土曜夕方は習い事だけでなく、家族揃って外出していることも多く、ネット上でも当初からそうした点を指摘する声が相次ぎましたが、テレビ朝日の早河洋会長兼CEOは『クレヨンしんちゃん』と『ドラえもん』の枠移動について、「テレビ朝日は現在、火曜と金曜がシングル(1ケタの視聴率)。日曜、月曜は改善していますが、金曜などの視聴率が大きく低下すると、週平均(視聴率)に影響してくる」
として、金曜ゴールデンはバラエティ番組を放送することを決定しました。
このように金曜の視聴率を上げるために『ドラえもん』と『クレヨンしんちゃん』の枠移動を行った結果、現在はそれぞれ平均視聴率3%前後と悲惨な状態になっており、これによってこれまで大ヒットを記録してきた劇場版の興行にも悪影響を及ぼすのではないかと危惧されています。
今年公開の『ドラえもん のび太の月面探査記』は累計興行収入50.2億円、『クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~』は20.5億円を稼いでおり、これに加えてブルーレイ・DVDなどの関連ソフト、グッズなどの売上もあり、局にとっては非常に重要なコンテンツとなっています。
そうした作品をないがしろにしているため、テレビ朝日が行った大改編は経営判断ミスとも指摘されているのですが、果たして今後どうやって視聴率アップを図っていくのでしょうかね。
テレビ朝日は枠移動にあたり、「土曜日の放送以外にも映画、イベントなど今までやってきたものをさらに強化して新しい試みを作業中」と明かし、子供たちの期待を裏切らないように努めていきたいとしているのですが、やはり放送時間帯を土曜夕方から土曜朝、もしくはゴールデン帯などに戻すなど、視聴者のことを考えた枠に再移動させる必要があるように感じます。