テレビ東京の石川一郎社長が30日に定例社長会見を行い、昨年3月28日放送の番組内容に事実誤認があったことを謝罪し、番組の打ち切り終了を発表しました。
昨年3月28日放送回は『激録・警察密着24時！！ 薬物・凶器・詐欺…春のワル一掃大作戦SP』と題して、『鬼滅の刃』の商品に関する不正競争防止違反事件を取り上げ、この事件では逮捕された4人中3人が不起訴になっていたものの、番組ではその点に触れていませんでした。
番組ではさらに「逆ギレ」「今度は泣き落とし」などと煽るナレーションを多用したり、「“ニセ鬼滅”組織を一網打尽」というテロップも使用していたことに対してテレビ東京は29日に、配慮に欠いた行き過ぎた演出によって関係者の名誉を傷つけたとして公式サイトなどで謝罪しました。
＜↓の画像は、番組で鬼滅の刃のコピー商品販売事件を取り上げたシーンの写真＞
また、『鬼滅の刃』のキャラクターを描いた商品を業者が中国に発注していたなどと伝えていたものの、事前にそのような事実があったのかを確認しておらず、番組放送後に業者側から事実無根との指摘を受けたといいます。
この他にも、警察の強制捜査を受けた後も、業者が問題の商品を販売し続けていたと伝えたものの、それは第三者だったことが判明したほか、警察署内での捜査員同士の会話、会議の様子を放送したものの、これらは事件後に撮影したものだと明示しておらず、視聴者の誤解を招くものだったとして謝罪しました。
そして、テレビ東京の石川一郎社長は30日の定例会見で、『激録・警察密着24時！！』は外部の番組制作会社が手掛けたものだったとしながら、「責任はテレビ東京にあります。テレビ東京の社長としてお詫びいたします。申し訳ございませんでした」
と謝罪しました。
この問題はテレビ東京側の事前確認が不十分だったことに原因があるとし、再発防止のための研修プログラムを組んで明日から開始するといい、チェック体制の強化なども図るとのことです。
問題の調査は昨年夏から行っていたそうで、「きちんとした確認作業をしていなかった。当たり前のことをしていなかったのが最大の問題。全面的にお詫びを申し上げる」
と謝罪し、番組は今後も続くのか問われると、「もうやめます」と打ち切り終了を明言しました。
これに対してネット上では、
- 警察密着は好きだったのになぁ。別局に期待するしかないか。これくらいの事実誤認は事後の謝罪で十分なんじゃない
- 交通事故の怖さとか世の中に起きている犯罪とか、見ていて結構ためになる面もある。
これを見て警察官を志望する子供もいると思う。存在意義はあると思うのでなくさないほうがいいと思う。 - 過剰な演出、犯人役がいて、物語風に映像を流す。嘘の垂れ流しは駄目
- 数字の取れる企画物だから名前を変えてまた放送するでしょ
- 警察24時系は好きなんだけど、テレ東のはドキュメントというより演出過剰な感じが気になってたんだよな。
多分ファンは他局と同じような作りでも観るしリアル感を求めてるはず。余計なことしたなと思う。
などの声が上がっています。
警察に密着取材しながら様々な事件を伝えるドキュメンタリー番組は、テレビ東京だけでなく民放各局で放送しており、日本テレビでは『警察特捜』、テレビ朝日では『列島警察捜査網 THE追跡』、TBSでは『密着警察24時』、フジテレビでは『逮捕の瞬間!密着24時』といったシリーズを放送しています。
こうしたいわゆる『警察24時』モノは警察の協力を受けて制作しているのですが、昨年3月放送の『激録・警察密着24時！！』で、「悪質コピー商品の販売業者」として取り上げられた会社の弁護士は朝日新聞の取材に対して、番組制作サイドの事実誤認だけでなく、警察が番組の撮影に協力していることも問題視しています。
そして、テレビ東京は問題の指摘を受けて局側の非を認めて謝罪したものの、番組で放送した再現VTRに関しては事実に基づいて制作したもので、ヤラセは一切なかったと強調しています。
それならば今回の件に対する謝罪と再発防止対策を図った上で、番組制作を続ければいいのではとの声が少なくありませんが、警察サイドもこのトラブルを問題視し、今後は撮影に協力できないとなった可能性も考えられます。
テレビ東京では『激録・警察密着24時！！』の他にも、警察以外の緊急車両に密着した『緊急車両24時』という特番を2015年から現在まで不定期に放送していて、これも外部の会社が制作を手掛けているようなのですが、再び今回のような問題が発生しないように厳しく内容をチェックするなど、再発防止に努めてほしいものです。