情報ワイドショー番組『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)で19日に、取材相手の顔出し放送を巡りトラブルに発展していた件に初言及し、謝罪をしたのですが、ネット上で物議を醸しています。
8日放送の番組では、東京・上野恩賜公園に花見客が殺到し、迷惑行為などのトラブルも起きていることを伝え、その中で迷子になった女の子が交番に連れて来られ、その後父親が走って迎えに来る場面などを顔出しで放送しました。
その翌日に、ラジオ番組『霜降り明星のオールナイトニッポン』や『ナイツ ザ・ラジオショー』などを手掛けるニッポン放送の野上大貴ディレクター(31)が、モーニングショーの取材を受けたことをX(旧ツイッター)で明かした上で、「インタビューのお願いをされた時、一度お断りしましたが、『絶対に顔を映さない』という条件で、どうしてもということで、お受けいたしました。ですが、実際のオンエアでは私に加え、一緒に取材を受けた2歳の娘の顔もハッキリと映っています。一生懸命頑張っている現場のディレクターさんの姿を見て、善意で出演したのですが、非常に残念です。」
と、番組の対応を批判しました。
<↓の画像は、ニッポン放送の野上大貴ディレクターの写真>
続けて、「自分の肖像権については全く気にしておらず、むしろオイシイぐらいに思っています」としながら、「家族で話し合い、“子供の顔が判別可能なレベルでハッキリと映ってしまっていること”を重く受け止め、抗議することと致しました。」
とし、テレビ朝日に対しては厳重抗議と共に然るべき措置をとると表明しました。
<↓の画像が、野上大貴ディレクターのX投稿写真>
それから10日が経ち、19日放送の番組でテレビ朝日の草薙和輝アナウンサーがこのトラブルについて説明し、「ご指摘の点について、社内で取材担当者から複数回聞き取りを行いましたが、その結果、男性に取材をお願いした際に、顔を映さないと約束したという事実は当社としては確認できませんでした」
と報告しました。
ただ、「男性は迷子のお子さんと再会したばかりという特殊な状況下で、そのような場合、心情に配慮してインタビューの条件について念を押して確認するなど、より丁寧な作業を心掛けるべきだったと考えています。今回取材に応じていただいたにも関わらず、男性並びにご家族にご不快な思いをさせ、ご指摘を受けるような事態を招いてしまったことを深くお詫びいたします」
と謝罪しました。
この謝罪を受けて野上大貴ディレクターはXを更新し、「『モーニングショー』にて行われた謝罪に関しまして、謹んでお受けいたします。また、番組担当プロデューサーの誠意ある対応を受け、今後、この件は不問とさせていただきます。」
としています。
<↓の画像が、野上大貴ディレクターのX投稿写真>
テレビ朝日の謝罪コメントを受けてネット上では、
- テレ朝は、口約束は平気で破るとw
- 確認出来ないなら顔出すんか 何様だよ
- 謝る体で攻撃するスタイル さすがテレ朝さんや
- いつも政府の責任を追求してんのに、自分たちの不祥事は認めないばかりか責任も取らない
- 要約すると「証拠ねーだろ、ウチは悪くねぇ!文句あんならかかってこいや!!」て事?
- まぁ録音とかなければ水掛け論になるわな
- 必要なのは顔出す許可であって出さない約束ではない
- 映さない約束じゃなくて、映していい許可を署名付きで取るべきべあって。取ってないなら全部映しちゃだめだと思います
- 要するに撮られた側が、放送しないよう又は顔を隠すよう言わないと流すって事なんだよね。凄くゴーマンな対応かと思う。
- テレビクルーに取材に対しての条件を書面で残すよう一般人側から言わないとアカンのか? 局側が必ず用意しとけよ
などの声が上がっています。
『放送倫理・番組向上機構(BPO)』の「放送と人権等権利に関する委員会」の元委員長で、『自由人権協会』の代表理事などを歴任した三宅弘弁護士は、BPOの委員長を務めていた2014年に顔出しインタビューに関する談話で、「知る権利に奉仕する取材・報道の自由の観点からは、取材・放送にあたり放送倫理における、事実の正確性、客観性、真実に迫る努力などを順守するために、顔出しインタビューを原則とすべきである。」「あくまで例外として顔なしインタビューを認めるという点について、テレビ局各局は、放送関係者だけではなく、一般社会においても認知されるよう努力すべきである。その際、取材対象となる市民との信頼関係に基づく十分な意思疎通が必要である。」
としていました。
しかし、本人から承諾を得ずに顔出し放送した場合、権利侵害にあたる可能性があり、詐欺未遂事件で逮捕された男性(後に不起訴)が、顔出しNGを条件にTBSの取材を受けたにも関わらず、その約束を破って『あさチャン!』などの番組で顔を公開され、さらに犯人と決めつけるような報道をされとして名誉毀損や肖像権侵害で訴え、昨年に東京地裁はTBSに対して550万円の損害賠償を命じる判決を出しています。
また、昨年10月にはハロウィンの話題で『報道ステーション』(テレビ朝日)の取材を受けた女性が、「顔出しNG」を条件に取材を受けたものの顔出し放送され、その映像やスクリーンショットが各SNSなどで拡散され、容姿に対して誹謗中傷を受けていると訴えていました。
その女性は過去に他局の取材を受けた際には署名をしたものの、報ステの取材では署名は求められなかったといい、「こちらも無知だったのですが、報道局ですと署名は要らないみたいですね。バラエティ番組等は必ず署名するみたいです こちらは顔出しNG、放送されなければ取材だけはOKということはハッキリと伝えています。帰り間際だったのですが歩いているとカメラやマイクをすぐに向けられ強制取材のような形でした」
と説明していました。
それと同様にモーニングショーも勝手に顔出し放送したとみられますが、それが原因でSNSアカウントを特定されて誹謗中傷を受けるなど、様々な悪影響を及ぼす可能性があるだけに、インタビュー取材などを行った際には顔出しOKか否かをしっかりと書面で確認し、今回のようなトラブルを防止する必要があると感じます。