国民的アニメ『サザエさん』(フジテレビ系 日曜18時30分)で、1969年の放送開始以来、“タラちゃん”ことフグ田タラオの声を担当の声優・貴家堂子さん(さすが・たかこ 本名=堀内堂子)が、5日に亡くなられていたことが明らかになりました。87歳でした。
貴家堂子さんの訃報は、所属事務所『東京俳優生活協同組合(俳協)』やフジテレビが10日に伝え、「通夜葬儀に関しましては遺族の意向により、近親者のみにて相済ませました。ここに生前のご厚誼に深謝するとともに、謹んでご通知申し上げます。尚、お別れ会につきましては、執り行う予定はございません。親族への取材、弔問はご遠慮いただきますよう重ねてお願い申し上げます。」
とし、死因など詳細は明らかにしていません。
フジテレビの発表によると、貴家堂子さんは2月26日放送予定の『サザエさん ひな祭り1時間SP』が最後の出演となり、後任は現在検討中とのことから、特に重い病気などは患っておらず、老衰などによる突然の訃報だったと予想されます。
そして、貴家堂子さんの訃報を受けて、『サザエさん』で共演していた声優陣がフジテレビを通じてコメントを発表し、フグ田サザエ役の加藤みどりさん(83)は、「『サザエさん』の初回放送から50年以上、ずっと一緒に家族として歩んできた貴家ちゃん。“貴家ちゃんがいるうちは私も頑張らなきゃ”と思っていたので貴家ちゃんがいなくなって本当に寂しく、悲しい気持ちです。心よりご冥福をお祈りいたします」
と、突然の死を悼んでいます。
<↓の画像は、フグ田サザエ役・加藤みどりさんの写真>
また、『サザエさん』スタッフ一同として、「放送開始から53年もの間、貴家さんが演じ続けてこられたタラちゃんは、いつでも3歳の子供が初めての世界に触れた時のような新鮮な喜びに溢れていて、タラちゃんの目線で見るサザエさん一家には、いつも優しくみんなが見守ってくれている安心感がありました。タラちゃんと一緒に笑ったり泣いたりしながら大人になっていく私たちのとなりで、次の世代の子供たちとずっと“はじめの一歩”を歩み続けてくださった貴家さん。貴家さんが見せてくれたタラちゃんの目線を私たちが大事に受け継いで、これからも大切に描き続けていきたいと思います。長い間、本当にありがとうございました」
と追悼しています。
貴家堂子さんは東京・北区で病院を経営する家に生まれ、高校卒業後にTBS放送劇団に入団、その後1960年代ごろから声優としての活動をスタートさせ、1969年10月からスタートした『サザエさん』でタラちゃん役、『ハクション大魔王』のアクビ役、『天才バカボン』シリーズのハジメちゃん役、『リボンの騎士』のチンク役、『ウッドペッカー』のチリー・ウィリー役、『スヌーピーとチャーリー』のサリー・ブラウン役など、数多くの作品に出演。
代表作の『サザエさん』は50年以上にわたって出演を続け、放送開始から声優が変更されていないのは、タラちゃんとサザエさんのみとなっていました。
『サザエさん』は長寿番組の宿命により、長年メインキャラクターを演じてきた声優陣の交代が少し前から相次ぎ、放送開始から磯野波平役を演じていた永井一郎さんが2014年に亡くなり、磯野フネ役を演じた麻生美代子さんは2015年に降板し2018年に死去、2代目・フグ田マスオ役を演じていた増岡弘さんは2019年に降板、翌年に亡くなりました。
その他に、磯野カツオの友人・中島弘役などを演じていた白川澄子さんは2015年に亡くなっています。
そして、多くの視聴者に親しまれているタラちゃんの声を担当の貴家堂子さんも亡くなり、年齢的にも仕方がないことではあるのですが、あの聞き慣れた声を3月以降の放送では聞けなくなると思うと寂しさがこみ上げてきます。
貴家堂子さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。