26・27日放送の『24時間テレビ40 告白~勇気を出して伝えよう~』(日本テレビ系)に、フィギュアスケート男子の羽生結弦選手(22)が出演し、「2歳から喘息(ぜんそく)を持っています」と、小児喘息を患っていることをテレビで初告白したのですが、番組公式Twitterアカウントが登場前にツイートした内容が物議を醸しており、炎上状態になっています。
羽生結弦選手は番組で「2歳から喘息を持ってます」「いつも持ち歩いてます。いつ発作が起きてもいいように」と語り、もしものために薬を常備していることを明かし、子供の頃に喘息の発作が起きた時にはほとんど眠れず、幼稚園にもあまり通うことが出来なかったと告白しました。
また、成長するにつれて喘息の症状は改善されたものの、現在も喘息による発作で練習が出来なくなることもあるそうなのですが、「苦しいは苦しいですけど、僕ら喘息持ちの選手からしたらそれが普通。自分が喘息持ちだからこんなにも競技がしんどいとか、そういう思いはほとんどなかった」と、持病にも負けずにこれまでフィギュアスケートを続けてきたと語っていました。
そんな羽生結弦選手の励みになった選手というのが、1998年の長野五輪で金メダルと銅メダル、2002年のアメリカ・ソルトレークシティ五輪で銀メダルを獲得した元スピードスケート選手の清水宏保さん(43)だったと明かし、清水さんは小児喘息を抱えながらもトップアスリートとして活躍し、2011年には『ぜんそく力 ぜんそくに勝つ100の新常識』という本を出版しているほか、喘息関係の学会などにも招聘(しょうへい)されるなどしています。
羽生結弦選手は、そんな清水宏保さんと15歳の時に会う機会があり、その時に「僕も金メダルを獲りたい。でも、喘息を持っている」と話し掛けたところ、「大丈夫。肺が弱い分ハードな練習をしなければいけないけれども、それを乗り越えれば世界を相手に闘えるようになる」と激励されたと明かしていました。
番組ではこのようなエピソードが明らかにされたのですが、番組公式Twitterアカウントでは、羽生結弦選手が番組に登場する前に、「この後は2歳の時に小児ぜんそくと診断された羽生結弦選手が、病気を言い訳にせず世界のトップで戦い続ける思いをテレビで初告白。」というツイートが投稿されました。
<↓の画像が、24時間テレビ公式Twitterアカウントのツイート>
そして、この投稿に対しては、喘息の子供を持つ方や喘息を持っている方などから、
- 喘息は治療が発達した現代においても時に致死的になる疾患です。『喘息を言い訳にせず』という言い様は喘息という疾患を過小評価する物言いであり、仮にも慈善事業めいた肩書きを冠した番組のアカウントが言うべきではありません。即刻謝罪・訂正すべきです。
- できることは思い切り、難しいことはできる範囲で、みんな頑張ってるんだよ 病気は克服するものじゃなくて、うまく付き合うことが大切なのになんでそれを『言い訳』にするかなぁ。
- 病気、障害は言い訳じゃないんだよ。やりたくてもそれが理由でできない。動きたくても動けなかったり、話したくても話せなかったり、聞きたくても聞こえなかったりするんだよ。本当に病気、障がい持ちの方を応援したいなら言葉を慎重に選んで下さい
- 病気を言い訳ってどういう意味ですか?病気に負けずなら分かります。病気を言い訳にして何かをしていないわけではありませんよ。病気だろうと例え死ぬリスクを犯してでも何かをしろってことですか?極端なこといえば、そばアレルギーを言い訳にせずそば食えってことですか?
- 結局、あなた達は病気や障がいを小馬鹿にしてるんだな。いい加減やめたら。ランナー当日発表にしないと視聴率も取れないくらい追い詰められてるならやる必要ないよ。
- もう日本テレビの電波停波で良いだろ。ついでに免許も取り上げた方が良い。毎年死者出してる病気を『言い訳』って何様だよ。
- 自分も子供の頃は小児喘息で入院の記憶しかありません。今も発作は起きます。『言い訳』って言葉なにか引っかかります。なりたくて喘息になっていません。ペースなど考えず、全速力で走りたい。吸入治療の時間があれば何ができるのか考えたい。発作がなければ…と未だに思います。
などの批判コメントが殺到しており、炎上状態になっています。
その一方、この炎上騒動に対してネット上では、
- 受け取り方はいろいろありますが、そういう意図ではないのでは?
- そんな意図ではないのは普通にわかるはず。いちゃもんにあげあし取りはやめて欲しい。
- 言葉選びが大事ではあるけど、この反応はちょっと過敏に過ぎると思う
- 全員の顔色うかがわなきゃいけない今の時代は大変だな。非難してる視聴者も、日々の生活で必ず誰かを傷つける行動、言動を図らずもしているはず。他者だけじゃなく、自分にもその厳しい目線を向けないとね
- 命がかかるほどの発作があって大変なことなのは、羽生選手が一番よくわかってる。ただ、自分にとって普通と言ってるだけ。患ってる方々へ無理に運動しろなど頑張ろうなど言ってないから。お願いだから放送された内容をよく見てくれ。叩くなら編集サイドへ。下手に同情すると逆差別になるし、大変な世の中だよ。
などのコメントが寄せられており、賛否両論となっています。
番組のツイートは決して、病気を患っている方に対して悪意を持って「言い訳」という言葉を使ったわけではないと思いますが、誤解を与えかねない言葉で、現にこの言葉に引っ掛った方から多くの批判が寄せられており、「病気に負けず」「病気と闘いながら」などの表現にすればこうしたトラブルは避けられたのではないかと思います。
『24時間テレビ』は、健常者だけでなく障がい者や難病患者、被災者などに着目し、そうした方々が様々な挑戦をする姿を写して勇気などを与えており、今回の件では賛否両論あるものの、誤解を与えないよう慎重に言葉選びをした方がいいかもしれないですね。
ちなみに、羽生結弦選手や清水宏保さんの他にも、喘息を持ちながらも活躍しているスポーツ選手は多くおり、プロ野球『阪神タイガース』の藤川球児選手、五輪の柔道女子63kg級で2度金メダルを獲得している谷本歩実さん、元メジャーリーガーの石井一久さん、元マラソン選手の谷川真理さん、元競泳選手・山本すずさん(旧姓=千葉)も子供の頃から喘息を持っています。
また、“霊長類最強の女”と呼ばれている女子レスリングの吉田沙保里選手は、小児喘息ではなかったものの2015年に喘息と診断されており、その他にもサッカー日本代表の岡崎慎司選手、女子プロトライアスロンの庭田清美選手らも大人になってから喘息を発症しています。