東京ローカルのテレビ局『東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)』で、昨年1月~3月に放送された深夜バラエティ番組『欲望の塊』でトラブルが発生していることが判明し、ネット上では批判の声が噴出し炎上状態になっています。
この番組は、極楽とんぼ・山本圭壱さんと元AKB48・SDN48の小原春香さんがMC、他に俳優の小沢仁志さんがレギュラー出演し、東京・新宿歌舞伎町で働く20人のホストたちが、2000万円相当のランボルギーニ社のスーパーカー獲得を目指して、様々なゲームに挑戦するという内容となっていました。
しかし、番組終了から1年近く経っても優勝者にスーパーカーが渡っておらず、優勝した人気ホスト・実業家でYouTuberの“噂のりっくん”こと一陸斗さん(はじめ・りくと 31歳)によると、企画に参加したホストたちは参加費用として約150万を支払ったといい、「放送局なので信頼していたが、まさかこんなことになるとはショックです」と『朝日新聞』の取材に話しています。
<↓の画像が、番組で優勝した“噂のりっくん”こと一陸斗さんの写真>
『朝日新聞』や『スポーツニッポン』(スポニチ)などの取材に対して番組を放送したTOKYO MXは、番組制作と企画を手掛けたのは外部の会社だとした上で、「車が優勝者に贈られていないことは把握している。番組は制作会社に任せており、事実関係を調査している」などとコメントしています。
番組を企画した会社の責任者によれば、参加者からは「宣伝費」という名目で参加費を徴収、そのお金はスーパーカー購入や番組制作費用に充てたそうです。
また、責任者は商品のスーパーカーを売りにして参加者を集めたこと、優勝者に現在も賞品を渡していないことを認め、「優勝者の希望に沿って、換金したいと車屋に伝え、預けたままにしている。車屋に催促しているが、答えがあやふやなままになっている」
などと答えています。
優勝者の一陸斗さんは取材に対して、「優勝した後、管理費がかかるため、換金して受け取る約束をした。放送後、番組側に何度催促しても賞品の提供がされず、昨年末からは関係者と連絡が取れなくなった」「優勝すればランボルギーニが受け取れると聞き、150万円という高い金を払った」
と語っています。
一陸斗さんは自身のツイッター上でも詐欺に遭ったと訴えており、「2019年2月から話をずっとそらされ、約束の期日も何度も無視。何かと言い訳をつけて、ランボルギーニの実物すら見せてもらえない。」「みんなから集めた2000万円近くはどこに消えたのか。すごく悲しいです」
と綴り、すでに弁護士にも相談していることを明かしています。
また、「番組出演広告宣伝費」という名目で支払った146万円の請求書のほか、番組出演承諾書の写真を公開しており、宣伝費の請求会社は『株式会社P-style』、番組著作は『五行株式会社』となっています。
<↓の画像が、一陸斗さんが公開した請求書の写真>
<↓の画像が、番組出演承諾書の写真>
そして、この問題について『毎日放送』の元プロデューサーで、同志社女子大教授の影山貴彦さんは、優勝者に賞品が渡っていないことはもちろんのこと、出演者に「番組出演広告宣伝費」という名目で約150万円の支払いを求めたことについて、「個人を宣伝する広告費のようで、公共の電波を預かっている番組の中でやることではない。テレビとして好ましくない」
と指摘しています。
さらに、TOKYO MX側は番組制作にはノータッチとしていますが、「外部スタッフが作っていようと、局は最終的に責任を負わなければいけない。考査をしっかりやっていたのか。放送してはいけない企画だったのでは」
と局側にも責任が求められるとしています。
このトラブルに対してネット上では、
- 公共の電波使っての新手の詐欺ってことか
- 参加費で150万取っといて、優勝しても1年以上何もなしって、詐欺じゃないの?ゲームだと賭博行為になるのか?
どちらにしろ裁判でガッツリやっつけた方が良い案件だと思う。 - 事実上逃げ回ってるからには、MXと下請け関係会社含めてを相手取り裁判すればいいでしょ
- 許可して放送した局の責任はどうなるの?番組に出る為に150万も支払った事も変な話なんだけど。
- 制作会社が悪いのは当然として、TV局側の責任はどうなるだろうか
TV局側が依頼して作った番組なのか、制作会社が枠を買ったかによっても違うのかな - 番組の趣旨と内容を把握して(一部していなくても)放送してる局の責任は逃れられないと思うよ。
これで責任無いなら、TV局ってなんなのって話じゃん。
高い広告費を貰っておきながら放送された番組で問題あっても『いや、作ったの下請けの制作会社だし』って言って終わるならば、それこそ、そのTV局は電波使用する権利を剥奪されるべきでしょ。 - こういうのってもっとありそうですよね。発送を持って発表になんて信用できない。
昔からこういうやり方だから、そろそろ変えたほうが今の時代に即してると思う。TV業界のいいかげんさが表れるいい例。
などのコメントが寄せられています。
3月放送の番組最終回では、MCの山本圭壱さんがスーパーカーの手続きが色々とあるとして、実物ではなくパネルを渡すという形となっていました。
<↓の画像が、『欲望の塊』最終回のワンシーン>
『朝日新聞』の取材に対する番組責任者の話によれば、車自体はあるそうですが、一陸斗さん側から車を換金したいとの申し出があり、それを車屋に伝えたところ回答があやふやで、トラブルに発展しているというものの、この説明もかなり怪しく番組制作サイドにも大きな問題がありそうです。
スポニチの取材にも応じた一陸斗さんは、番組出演オファーがあったのは2018年10月のことだと明かし、ホスト専門誌を扱う会社関係者から、「150万円の出演料を払えば、地上波で3ヶ月で十数回の露出が見込める」との説明を受けたといいます。
一陸斗さんは地上波番組だったことで信用し、約150万円を指定の振込先に入金、そして番組の企画で優勝して賞品を受けることになり、陸斗さんはその後番組責任者と話をして、車を所有しても管理費などがかかることから換金して受け取る約束をしたそうです。
しかし、そのお金の支払いも何度も先延ばされ、昨年11月末に電話で責任者に催促をしたところ、「車を換金する人に任せて自分も確認できない」などと言われ、これが責任者との最後のやり取りになったそうで、「これは地上波を使った詐欺。なぜこのような事態になったのか。なぜ責任者と連絡取れなくなったのか。局側や制作側には納得できる説明をしてほしい」
と激怒しています。
現在は番組制作会社を相手取り法的措置も検討しているとのことです。
スポーツ紙の取材に対してTOKYO MXは、「(『欲望の塊』は)外部の制作会社から持ち込まれた企画で、制作・著作も外部の制作会社」
と説明しており、この番組枠は外部の番組制作会社に貸し出し、番組も外部の制作会社が手掛けていたとのことです。
スポニチはさらに、番組制作会社が出演タレントや現場スタッフへのギャラ未払い問題も報じており、番組MCの山本圭壱さんにも出演料が支払われておらず、出演者の1人も番組スタッフから「自分も報酬が支払われていない」と聞いたそうで、それに対する説明も制作会社から一切ないとのことです。
さらに、番組責任者であるプロデューサーとも昨年12月から連絡がつかない状況が続いているそうで、このトラブルに関しては番組を放送したTOKYO MXも責任が問われると指摘されています。
こうしたローカル局の番組では過去にも同様のトラブルが起きており、2015年11月に突如終了したテレビ埼玉(テレ玉)の番組『くうちゃん まーちゃん 俺達バカ社長』、『サガラとキヨトの乃木坂ぷぷぷ』などを手掛けていたエグゼクティブプロデューサーが、番組制作費5億円を持ち逃げしたことによって番組打ち切りとなっています。
この事件では、番組スポンサーなど計35人がプロデューサーを刑事告訴するために調整中と2015年12月に報じられており、この番組もテレ玉ではなく外部の番組制作会社が番組制作を手掛けており、制作費を持ち逃げした人物は制作会社の所属ではなく、東京都内でウェブ制作などを手掛ける会社を経営し、制作スタッフ一覧にはエグゼクティブプロデューサーとして名を連ねていました。
この人物は、番組制作会社への給料だけでなく、自身が経営する会社にも給料を支払っていないとの話もあると報じられていました。
TOKYO MXでも昨年5月に、ロンドンブーツ1号2号・田村淳さんがMCの番組『超ビットミュージアム』が突如放送中止になったものの、番組スポンサーだった仮想通貨関連会社の社長が勝手に自身の有料会員制サイトで番組を公開、この人物は2017年までの5年間税務申告をせず、合計約3.3億円の申告漏れを指摘されていた曰く付きの人物でした。
こうしたトラブルが度々ローカル局では発生しており、『欲望の塊』に関してもその1つと言えますが、番組制作会社だけでなく番組を放送したTOKYO MXにも責任があることから、しっかりとトラブルに至った経緯や原因などを調査して解決に導き、今後再び同様のトラブルが発生しないような対策を講じてもらいたいですね。