大相撲の第69代横綱・白鵬関(はくほう 本名=白鵬翔、ムンフバト・ダヴァジャルガル 36歳)が、現役引退の意向を固めたことが明らかになりました。
各報道によれば、白鵬関は6場所連続休場明けの7月場所を自身16回目となる全勝により、45回目の優勝を果たしましたが、9月場所は所属する宮城野部屋で新型コロナウイルス感染者が出た影響で全休し、横綱として通算900勝まで残り1勝に迫る中で、古傷の右膝の状態が思わしくないことから現役引退を決断したそうです。
白鵬関は昨年11月場所の後、『横綱審議委員会(横審)』から休場の多さを指摘され、「引退勧告」に注いで重い「注意」の決議を受け、今年1月には新型コロナに感染し1月場所を休場、3月場所で復帰を果たしましたが、2日目の取り組みを終えた後に右膝の違和感を訴え、3日目から途中休場しました。
『日本相撲協会』には、医師による「右膝蓋大腿関節軟骨損傷、関節水腫で手術加療を要する。術後、約2ヶ月のリハビリテーション加療を要する見込み」との診断書を提出し、宮城野親方によると白鵬関は膝に水が慢性的に溜まる状態にあるといい、医師には「この状態で取ったら、もう相撲を取れなくなると言われた」と、ドクターストップがかかったことを明かしていました。
そして、3月19日に右膝の内視鏡手術を受けてリハビリを開始し、7月場所に進退をかけて臨み、見事全勝で優勝を果たしました。
白鵬関は優勝後のインタビューで「右膝がもうボロボロで、言うことを聞かなかった」と明かしつつも、「横綱としてこれで899勝。あと1勝で900勝なので、1勝目指して頑張っていきたい」と意欲を見せていたのですが、その後も右膝の状態は芳しくなく、9月場所も全休となったことで引退を決意し、これから最終的な話し合いや手続きなどを行うと見られるとのことです。
白鵬関の現役引退報道を受けてネット上では、
- なんと!直近優勝しても引退か!そんなボロボロの膝の人に勝てないと他の力士は不甲斐ないなぁ。
白鵬お疲れ様でした。長い休場の後、最後土俵に立てて、引退かけた場所でも優勝できて良かった。 - 結局は白鵬に引導を渡す力士は現れずと。昔に比べたらレベルは大分落ちてるね。横審に現状、どう感じてるのか聞いて欲しいわ。
- 今回はコロナのための休場だったけど、場所初めには舞の海さんが、白鵬にとっては幸いだったかもしれませんと言ってたのを思い出す。それだけ状態が悪かったのでしょう。
今場所の照ノ富士の活躍を見届けて決心がついた部分も大きかったかも - 照ノ富士が優勝して角界の看板背負える力士になったと思った事も大きいと思う
でも直接引導を渡されたわけじゃないし、日本人力士で安定して横綱を張れる力士が白鵬の現役中に出てこなかったのは情けない
照ノ富士も怪我持ちだし、そんなに長くやれないだろう。次の看板力士が早く出てきて欲しいね - お疲れさまでした。長きに亘りの歴代最強最長の実績。彼の記録は不倒。
だが彼は後進の強者によって主役交代という去り方ではありませんね、自身の体の限界によっての引退。
照ノ富士がやはり体に限界を抱えている横綱であるので、どうも今後の角界に不安を感じてしまう。部長や係長しかいない会社みたいなもん。
などの声が上がっています。
モンゴルの首都・ウランバートル出身の白鵬関は、モンゴル史上初の五輪メダリストで、元レスリング選手の父親を持ち、2000年に初来日して宮城野部屋への入門が決まり、2001年の3月場所で初土俵を踏み、2006年の3月場所で21歳の若さで大関昇進を果たしました。
2007年の5月場所は自身初となる全勝で優勝を果たし、横綱への昇進が決定、22歳2ヶ月の横綱昇進は歴代3位の年少記録でした。
横綱昇進後は、史上最多タイの7連覇や史上2位タイの63連勝、2年連続で歴代最多タイの年間86勝、通算勝利数や優勝回数なども歴代最多で、大相撲の記録を次々と塗り替え、通算成績は1187勝247敗253休(2021年9月場所終了時点)となっています。
このように素晴らしい記録を残していますが、ヒジ打ちのようなかち上げ、先手の張り差し等が物議を醸し、横審から苦言を呈されることもあったほか、土俵内外での言動を巡って騒動に発展することも少なくありませんでした。
今年7月には、土俵上でのガッツポーズや雄叫びが問題視されたほか、8月には『日本相撲協会』の許可を得ることなく、東京五輪の柔道会場に無断で訪れていたことが発覚し、芝田山広報部長が激怒して「横綱失格」と非難したことでも話題になりました。
これまで様々なトラブルを起こしてきた白鵬関ですが、大相撲力士として素晴らしい成績を残したのは間違いなく、白鵬関を超える力士が不在のまま膝の故障が原因で、900勝達成前に現役引退となってしまうのは残念に思うものの、白鵬関は2019年9月に日本国籍を取得しており、引退後は親方として後進の育成に力を注いでもらいたいです。