北京冬季五輪のスノーボード男子・ハーフパイプ決勝が11日に行われ、予選1位通過の平野歩夢選手(ひらの・あゆむ 23歳)が、日本史上初となる金メダルを獲得しました。
スノーボード・ハーフパイプは、半円筒状の形をしたコースの両側の壁を往復しながら、ジャンプや回転などの技を披露し、技の高さや難易度、完成度などが採点の対象となり、6人の審判員が100点満点で採点し、最高・最低点を除く審査員4人の平均点数が得点になります。
<↓の画像は、スノーボード・ハーフパイプ競技の解説>
予選は2回、決勝は3回滑り、それぞれ最も高い点数で競い、平野歩夢選手はこの競技で、2014年のソチ五輪と2018年の平昌五輪で銀メダルを獲得しました。
そして、今大会の予選では「93.25点」を記録し、上位12人による決勝に1位で進出しました。
11日に行われた決勝では3回の滑りで、「トリプルコーク1440」という斜め軸に縦3回転、横4回転する最高難易度の大技を五輪史上初めて成功させました。
<↓の画像は、大技「トリプルコーク1440」の解説>
しかし、2回目の滑りを終えた時点では、オーストラリアのスコッティ・ジェームズ選手に次いで2位の得点となっていたのですが、3回目の滑りでは2回目と同じ構成ながらも、さらに高いジャンプ等を披露し「96.00点」が付けられ、日本スノーボード史上初の金メダルを獲得しました。
- スノーボードハーフパイプ決勝での平野歩夢選手の演技動画(YouTube)
悲願の金メダル獲得となった平野歩夢選手は、「夢が一つ叶った。ここを取らずには終われなかった。ずっとやってきたことをここで出し切れた。2回目の得点には納得いかなかった。その怒りを上手く最後に表現できた」
などと語っています。
決勝に進出したその他の日本人選手の順位は、平野歩夢選手の弟で、昨年の全日本ジュニアで優勝した平野海祝選手(ひらの・かいしゅう 19歳)が9位、世界選手権で優勝の戸塚優斗選手(20)が10位、2020年の冬季ユース五輪で優勝した平野流佳選手(19)が最下位となっていました。
- 1位:平野歩夢【日本】(96.00点)
- 2位:スコッティ・ジェームズ【オーストラリア】(92.50点)
- 3位:ヤン・シェレル【スイス】(87.25点)
- 4位:ショーン・ホワイト【アメリカ】(85.00点)
- 5位:テイラー・ゴールド【アメリカ】(81.75点)
- 6位:バレンティノ・グゼリ【オーストラリア】(79.75点)、
- 7位:チェイス・ジョージー【アメリカ】(79.50点)
- 8位:アンドレ・ヘフリヒ【ドイツ】(76.00点)
- 9位:平野海祝【日本】(75.50点)
- 10位:戸塚優斗【日本】(69.75点)
- 11位:パトリック・バーグナー【スイス】(69.50点)
- 12位:平野流佳【日本】(13.00点)
そして、平野歩夢選手の金メダル獲得に対してネット上では、
- おめでとう!!痺れた!!!
- かっこよかったー!最後の最後で逆転して金メダル!おめでとう!!
- 泣いた!カッコ良すぎて涙が出るってあるんだね!本当おめでとう!新潟県民の誇りだわ!
- 2回目点数低すぎてふざけるな!と思ったから逆転優勝できて本当に良かった。絶対失敗できない3回目で完璧なのは本当にすごい
- さすが平野歩夢。金メダルおめでとう。全体がハイレベルの滑りのなか、難易度も高くて完成度も素晴らしく完璧な滑り、最終滑走での逆転で文句なしの金メダルだった
- 今大会で引退する永遠のライバルのショーン・ホワイト選手に引導を渡すのは、是非とも平野歩夢選手であって欲しいと思っていた。
ただ、コースが荒れていたので最終盤の逆転は難しいのか感じていたが、それをいとも簡単に覆す平野歩夢選手は、凄いの一言。念願の五輪優勝おめでとうございます。 - 2回目でトリプルコークを決めても2位というところで、最後の最後でさらに極めたラン。
平昌でまさにショーンホワイトと平野歩夢の状況と同じで、最後の最後で金を決めていくストーリーに、今回で退くショーンホワイトからしっかりオリンピック王者を引き継いだなと感動しました。
ショーンホワイトの最後のランもすごく感動しました。彼がいなければ、このストーリーはできてなかったでしょう。彼にも大きな賛辞を送りたいです。
などの声が上がっています。
平野歩夢選手は2大会連続で銀メダルを獲得し、今大会で日本史上初となる金メダル獲得に期待が寄せられ、大きなプレッシャーを感じていたでしょうし、北京五輪のコースは人工雪ということでコンクリートのように固いといい、調整もなかなか難しかったのではないかと思うのですが、予選と決勝で完璧な演技を披露して金メダル獲得は素晴らしいですね。
平野歩夢選手は、平昌五輪の1年前に出場した全米オープンで、空中でバランスを崩して転倒するアクシデントがあり、これによって左膝の内側側副じん帯損傷や腹部強打によって肝臓も損傷し、全治3ヶ月の大ケガを負いました。
こうしたトラブルを乗り越えて平昌五輪で銀、北京五輪では金メダルを獲得し、昨年の東京五輪にはスケートボード日本代表として出場したことでも話題になりましたが、今後さらに活躍する姿を是非とも見せてほしいです。
また、他の3選手は決勝に進出するも残念ながらメダルは逃したものの、それぞれ世界大会等で優勝の実績があり、スノーボード・ハーフパイプの世界ランキングでは北京五輪前まで戸塚優斗選手が1位、平野歩夢選手が3位、平野流佳選手が4位、平野海祝選手は17位と、世界でもトップクラスの実力を持っており、次の五輪に期待したいですね。