今年3月に2001年~2012年まで所属していたメジャーリーグ『シアトル・マリナーズ』に、1年契約(年俸75万ドル)で復帰したイチロー選手(本名=鈴木一朗 44歳)が、球団の「会長付特別補佐(特別アドバイザー)」に就任すると同時に、今シーズンの残りの試合に出場しないことなどが3日(日本時間4日)に判明しました。
『シアトル・マリナーズ』側は、イチロー選手と「生涯契約」を結ぶ考えを明かしており、これによって日本球界に戻る可能性は無くなったとされています。
球団ゼネラルマネージャーのジェリー・ディポトさんは、「イチローの存在によってチームが勝つ可能性は高まる。彼の存在価値を余すところなく確保したかった」といい、「彼は我々のクラブハウスで、ダライ・ラマのような存在だ」「ゴードンやカノでさえアドバイスを求めにいく。みんなが教えを乞いに来る存在。チームの勝利のために彼が必要だ」
と語っています。
<↓の画像は、選手と談笑するイチロー選手の写真>
また、「彼の現役選手としてのドアは閉じていない。今年はプレーすることはないが、来年以降プレーする可能性はある。来年の日本開幕戦でのプレーも、可能性はある」
と現役引退を否定しています。
次の試合以降はベンチから外れ、今シーズンは試合に出場することはないといい、今後はクラブハウスやビデオルームなどで状況を眺めることが多くなるとみられるそうなのですが、今後については、「イチローはマリナーズのメジャーリーグスタッフ、ハイパフォーマンススタッフ、フロントオフィスとも協力して業務にあたる。外野手、走者、打者として、得た経験をもとに(チームを)補佐。選手や球団関係者への助言も行う」「選手が求めてきたことに、彼なりのアドバイスをしてほしい」
と他の選手たちへのサポートに期待しており、これまで通り他の選手たちとも練習をしていき、チーム遠征にも同行予定とのことです。
『シアトル・マリナーズ』は、来年3月20・21日に東京ドームで日本開幕戦を行うことが決定しており、この試合でイチロー選手が復帰する可能性があるようです。
同日にはイチロー選手も会見を行い、「この日が来る日は辞める日だと思っていた。その覚悟はありました」と明かし、「短い時間でしたけれど、監督はじめチームの相性もありましたけど、大好きなチームになりました。そのチームがこの形を望んでいるのであれば、それが一番の彼らの助けになるのであれば、喜んで受けようという気持ちです」「3月頭の時点でこのユニホームを着られることは想像していなかった。マリナーズと契約してから今日まで、僕にとってはギフトを贈られているようなものでハッピーでした」
と語っています。
<↓の画像は、会見したイチロー選手の写真>
「会長付特別補佐(特別アドバイザー)」就任という異例の契約を結んだ理由については、「大好きなチームメイトと、これが大好きな人たちでなければ、この決断はできなかったので、決断の後押しということではチームメイトの存在と言えるのではないでしょうか」と説明し、来シーズン以降に関しては、「決意表明するのもおかしな感じだけど、ゲームに出られないので来年240パウンド(約108・9キロ)になっていたら終わりだと思いますけど、そうはなっていないので、これで終わりではないと思います」
と現役続行の気持ちを明かしています。
また、「僕は野球の研究者でいたいというか、自分は44歳でアスリートとして、これからどうなっていくのか見てみたい。鍛錬を重ねることで、どうなるのか見てみたいという思いが強いので、それは変わらないと思うので、それでチームと一緒に練習することができるわけですから、続けることができる。たとえ、ここで終わりだとしても、僕はそれを続けると思います。だから、喪失感みたいなものはないです」
と前向きなコメントをしています。
そして、これらの発表を受けてネット上では、
- 事実上は役員待遇の引退でしょうね。野球の現場の研究者ですね
- 他球団に移籍も完全に無くなり勿論日本復帰もゼロになったわけですね。釈然としないけど来年華麗に復活して欲しい
- 事実上引退ってことか。日本球界に復帰してほしい気持ちもあったが仕方ないね。イチローの衰えが想像出来なかったが、やっと理解出来た。
- イチローにとってマリナーズは特別であり、マリナーズや選手にとっても特別な存在だったから実現したんだと思う。多くの日本人のメジャー選手はいたけど、ここまで重宝されるのは数少ないと思う。選手としての偉大さもあるけど、人間性なのかなと思った。
- ちょっと泣けた。いつかは来るものだけど。やっぱ悲しい。でも、来季に可能性を残しつつのソフトランディング。50歳まで現役はまだ続いていると思い、これからも応援します。
- かつてのイチローは指導者には向かないのかなあとも思った。でも今は、後輩にもベテランにも慕われ、最高の指導者になりうる人に変わったように見える。プレーはしないけど体を選手と一緒に動かし、心も一緒。イチローが言っていた、最低でも50才まで現役とはこういうことか。
- 大谷との対決が最後の花道を期待していた。もう3試合だけ伸ばしては貰えなかったか。
- いつかは来る引退なんだけど、イチローの場合どんな風に迎えるのだろうと思ってた!もちろんまだ引退ではないのだが、一つの役目は終えた。でも功績は色褪せることはないし、来年の日本開幕戦での活躍も期待している
- マリナーズとイチローの関係だからこそ実現した異例で特別な生涯契約。現役引退ではないし、来季以降プレーする可能性もある。良かったです。
- 事実上の引退かもしれないけれど、球団が彼をリスペクトしているのがよく伝わってきた。結果が出ないとマイナー落ちと騒ぎだす地元紙には愛を感じなかったが、この措置は凄く腑に落ちた。そして彼の野球観や技術をチームに伝えることこそ財産。いずれ監督になればまた嬉しいな。
などのコメントが寄せられています。
イチロー選手は1992年にプロ野球『オリックス・ブルーウェーブ』(現オリックス・バッファローズ)へ入団、2000年にメジャーリーグ挑戦を表明し、『シアトル・マリナーズ』へ移籍しました。
それまで日本人投手は何人もメジャーリーグに挑戦していましたが、日本人野手がメジャーリーグに挑戦するのは初だったことから、メジャーで通用するのかと疑問視する声は少なくなかったのですが、1年目で球団最多安打となる242安打を記録するなど、チームの地区優勝に大きく貢献する活躍を見せました。
その後も好成績を残したイチロー選手は2012年まで『シアトル・マリナーズ』に所属し、『ニューヨーク・ヤンキース』、『マイアミ・マーリンズ』といったチームを経て、今年3月に古巣復帰を果たしたのですが、やはり年齢的な衰えがあり、走攻守において以前のようなイチロー選手らしいプレーがあまり見られなくなってしまい、現地メディアに厳しい評価をされることも多々ありました。
昨年11月には『マイアミ・マーリンズ』からの退団が発表され、今年2月まで移籍先が決まらないという状況にあり、現役引退も含めて様々な憶測が飛び交うことになりましたが、古巣の『シアトル・マリナーズ』はイチロー選手の獲得に乗り出し、現地ファンからも大歓声が上がり、イチロー選手がスタメン出場した開幕戦では、レギュラーシーズンにおいては球場史上最多となる約4.7万人の観客が集まるなど、改めてイチロー選手の人気や多くのファンから愛されていることを証明していました。
そんなイチロー選手が球団の特別アドバイザーに就任し、今シーズンは試合には出場しないというのは非常に残念で、来シーズン以降もどうなるかまだ分からない状況にあるのですが、イチロー選手本人は「最低でも50歳まで」現役を続行するとかねてから公言しており、まだ現役でプレーするという気持ちは失っていない様子なので、再び選手として試合に出場する日が来ることに期待したいですね。