イギリスの公共放送局『BBC(英国放送協会)』が現地時間7日21時から、ドキュメンタリー番組『Predator:The Secret Scandal of J-Pop(捕食者:Jポップの秘密のスキャンダル)』を放送し、この番組では2019年7月に亡くなったジャニーズ事務所の創設者・ジャニー喜多川さん(日本名=喜多川擴 きたがわ・ひろむ 享年87)の性加害問題を特集しており、日本の芸能界では“禁断のタブー”とも言われるジャニーズの闇に斬り込んだ内容で大きな反響を呼んでいます。
BBCは昨年3月からジャニー喜多川さんの性加害問題について取材をスタートさせ、かつてこの問題を取材していた『週刊文春』の元記者でジャーナリスト・中村竜太郎さん(59)のほか、過去に暴露本などを出版している元ジャニーズの平本淳也さん(56)など、ジャニー喜多川さんの“裏の顔”を知る複数の元ジャニーズタレントたちもBBCのインタビュー取材を受けています。
その中で元ジャニーズJr.のハヤシさん(仮名)は、ジャニーズタレントの間で“合宿所”と呼ばれていたというジャニー喜多川さんの自宅マンションへ行った際に、下半身を触られるなどの性加害を受けたことを激白しています。
<↓の画像は、ジャニー喜多川さんの写真>
ハヤシさんは声を詰まらせながら、30年以上前の恐怖体験を振り返っており、「合宿所の風呂場での話です。脱衣所でズボンにジャニーさんの手が掛かり、『自分で脱げます』と言ったら無言だった。それがすごい恐怖心で。そのまま何もできずにズボンやパンツを脱がされ…」「そのあと何人かに『これを我慢しないと売れないから』と(言われた)」「マッサージというか触ってきたり。ずっと朝まで。明るくなるまでされてたのを覚えている。それ以外に泊まった時にはお風呂でもあったし、夜にそれ以上のことがあった」「僕の周りでそれが嫌で辞めるって人はいなかった。合宿所にはジャニーさんしか大人はおらず、相談できる環境では無かった」
などと語っています。
2002年にジャニーズ事務所に入所し、バックダンサーとして10年活動していたというリュウさん(仮名)は、まだ16歳だった未成年時のエピソードを明かし、「寝室の方に行った時にジャニーさんが来て、『最近すごい忙しいだろうから、マッサージしてあげるよ』という感じでマッサージしてもらいました。肩からどんどん下の方にいったという感じでした。ある一定のところまでいって、もうそろそろ度を超えそうだなと思ったので、『もうこれ以上はダメだよ』というふうに言って。『ああ、ごめんね、ごめんね』って、ジャニーさんは別の部屋に行った」
と語っています。
複数の証言を得たBBCの取材班は、ジャニーズ事務所に直接話を聞くために何度も取材を申し込んだそうですが、取材は拒否されたといいます。
ただ、コメントを求めたところジャニー喜多川さんの姪で、事務所の代表・藤島ジュリー景子社長(56)からコメントが寄せられ、「今回、このような内容で貴社よりご取材いただいたことを大変重く受け止めております。2019年の弊社代表の死去に伴う経営陣の変更を受けて、時代や新しい環境に即して、経営陣、従業員による聖域なきコンプライアンス遵守の徹底、また偏りのない中立な専門家の強力を得てのガバナンス体制の強化等、全社一丸となり社会から信頼いただける透明性の高い組織体制及び制度整備を一歩ずつ進めております。具体的には、新体制が発足して最初の年明けになる2023年1月に、新体制及び新制度等の発表、施行を計画しております」
とし、性加害問題についてはコメントしなかったそうです。
そして、BBCが取り上げたジャニー喜多川さんのジャニーズタレントに対する性加害問題に対してネット上では、
- 芸能界なんてそんな世界…だと思ってたけど、とてもショック。こういう事はきっちりと膿を出し切らないと変わらない。
- とことん報道したほうがいいと思う 日本のメディアは亡くなってからジャニーさんを聖人化しすぎ
- ジャニオタはこの問題を軽くみすぎ。大問題
- 多くの人が実態を知りながら、なお放置されてきたことに恐怖を覚える
- 日本のメディアは何をしていたんだ?大人の事情ばかりで真実を追求しないメディアなんて要らない。本気で仕事して欲しい。
- 過去数十年、今回に至っても日本の報道番組やワイドショーでしっかり取り上げない事に異様さを感じる。世界において信用に関わる問題なので、しっかり追求して欲しい。
などの声が上がっています。
ジャニー喜多川さんの性加害問題は、20年以上前から週刊文春などの一部メディアが取り上げ、これに対して当時副社長で実質的な経営者だった姉・メリー喜多川名誉会長(享年93)が猛抗議するなどし裁判にまで発展しています。
週刊文春側は元ジャニーズJr.を証人として出廷させるなどした末に、東京高等裁判所は、「喜多川が少年らに対しセクハラ行為をしたとの各証言はこれを信用することができ、喜多川が、少年達が逆らえばステージの立ち位置が悪くなったり、デビューできなくなるという抗拒不能な状態にあるのに乗じ、セクハラ行為をしているとの本件記事は、その重要な部分について真実であることの証明があった」
として、ジャニー喜多川さんによる性加害を認定し、ジャニーズ側は上告しましたが棄却されました。
なお、週刊文春との裁判でジャニー喜多川さんは、「彼たちはウソの証言をしたということを、僕は明確には言い難いです」などと語り、性加害を否定しませんでした。
こうした判決が出て以降も、ジャニー喜多川さんはジャニーズJr.たちに対して性加害をしていた疑いがあり、昨年11月にNHK党のガーシー参議院議員(本名=東谷義和 51歳)とYouTubeでコラボした元ジャニーズJr.のカウアン・オカモトさん(26)は、ジャニー喜多川さんの自宅に遊びに行った際に、マッサージ等をされた後に性加害を受けたことを告白。
さらに、同期で現在は『King & Prince』で活動している平野紫耀さんとベッドで寝ていたところ、「2人同時っていうのがありましたね、1回」と語っていたほか、「僕正直、動画とかも持ってるんですよ」と証拠動画が存在することも明かしていました。
ジャニー喜多川さんが、小学生を含むまだ子供のジャニーズJr.たちに対して、様々な性的な虐待行為をしていたとされていますが、日本の多くのメディアはジャニーズと利害関係にあることでこの問題には触れることなく現在に至ります。
しかし、BBCが今回この問題に斬り込んだことによって、情報がSNS等でも拡散され大きな騒動に発展していて、さらに『Predator: The Secret Scandal of J-Pop』は今月下旬に『BBCワールドニュース』で日本でも放送予定(HuluやAmazon Prime Videoチャンネル等で視聴可)で、ネット上ではより大きな話題になるとみられます。
一方で、NHKも含めて各テレビ局やスポーツ紙などはジャニーズと密接な関係にあるので、今後も完全スルーを続けるのでしょうね…。