テレビ朝日の富川悠太アナウンサー(とみかわ・ゆうた 43歳)が新型コロナウイルスに感染し、月~木曜日のメインキャスターを務めている報道番組『報道ステーション』で本人の謝罪コメントが紹介されました。
また、富川悠太アナがPCR検査で陽性が判明するまでの経緯、さらに番組のチーフプロデューサー、総合演出担当のチーフディレクターの感染なども明らかにされました。
15日放送の『報道ステーション』での説明によれば、富川悠太アナは番組出演翌日の3日(金曜)の起床後に38度の発熱症状があり、4日の起床直後も発熱があったため、家族が東京都の相談窓口に連絡を入れたところ、「それだけではコロナの症状とは言えない。様子を見るように」と経過観察するよう求められたといいます。
これを受けて富川悠太アナは4日夜にチーフプロデューサーにLINEで、「倦怠感も息苦しさも無いが、ちょっと熱っぽい。明日、様子を見て受診を考える」と報告し、その翌日の5日は平熱に戻ったことから病院には行かなかったそうです。
これにより週明けの6日から通常出勤し、『報道ステーション』にも出演したのですが、7日の番組放送中から痰(たん)がからむ症状が現れ、8日の放送後には階段を昇る際などに息切れ症状があり、9日もその状態が続いたため、9日昼に再びチーフプロデューサーにLINEで「体温は平熱で倦怠感や味覚・嗅覚の異常なども無く、どう判断してよいものか」「今日の放送を乗り越えれば休むことができる」などと連絡し、番組への出演を続け、番組担当部長に体調不良を報告したのは9日の放送後のことだったといいます。
この日の放送中にも息切れ症状があったため、10日に東京都内の病院で検査を受けたところ肺炎と診断され入院、11日にPCR検査を受けた結果、新型コロナウイルスの陽性が判明したとしています。
こうした経緯で新型コロナウイルス感染が判明するまで、『報道ステーション』への出演を続けていた富川悠太アナは、「すぐに平熱になったことから発熱を軽視してしまい、上司や会社に的確に報告せず、出演を続けたことを深く反省しています」
と謝罪しています。
また、「視聴者の皆様からは、多数のお叱りの電話やメールをいただいていると聞いています。これらを真摯(しんし)に受け止めたい」
としています。
気になる感染経路についてですが、「3月下旬から大人数で飲食する機会も無く、外部での取材も無かったので、感染経路については思い当たることがありません」
と説明しています。
富川悠太アナが感染源となったのかは不明ながら、富川アナと濃厚接触していた『報道ステーション』の40代チーフプロデューサー、元ABC朝日放送でフリーの赤江珠緒アナの夫であり、テレビ朝日の報道局勤務のチーフディレクターも新たに感染が公表されています。
チーフプロデューサーは、富川悠太アナの症状が出てから1週間後の10日にせきの症状が現れ、12日に左胸に違和感があったことで病院へ行き、PCR検査を受けた結果、感染が明らかになったそうです。
赤江珠緒アナの夫であるチーフディレクターは、11日から高熱や激しい頭痛や背痛に襲われ、12日も同じ症状が続いたことで病院へ行ったところ軽度の肺炎と診断、「典型的なコロナ感染」とも言われ、PCR検査を受けたところ陽性との結果が出たといいます。
他にも、『報道ステーション』には直接関係していない報道局幹部の男性のほか、10人をくだらない番組スタッフが次々に発熱症状を訴えているとも週刊誌やスポーツ紙に報じられているのですが、テレビ朝日側は「保健所からクラスター(感染者集団)とは言われていない」としています。
そして、富川悠太アナの謝罪コメントや経緯説明などを受けてネット上では、
- サラリーマンなんてこうですよね。。休む文化なんてない。その文化を作ったのは彼ではない。悪くないとは言わないが気持ちはよくわかる。
- 上司も悪いのかな、これを見ると。休みたいって本人が言ったところでアナウンサーも所詮会社の駒ですからね。
圧力に負けて出社した部分もあるかも知れない。本人のみならず組織全体の問題。 - 上司(チーフプロデューサー)から休めの指示が出なかったのが気になる。
発熱を知った上で上司がとめなかった、というか、もしかしたら上司が今週はがんばってくれと言ってたかもしれないですよね。。 - 自身の口で散々報じていながら「発熱を軽視」っていうのは、さすがに・・・
- 感染自体は恥でも罪でもない。しかしその前後の行動は、反省や謝罪の対象にもなる。
ただ、結果論だけで通常の行動を責めてはいけない。また建前上は「休め」でも実際は休めないなら、それは個人ではなく組織の問題 - 未だに「発熱を軽視」な訳です。アナウンサーという職業、声を届ける人の「声」な変化に視聴者は気づけても、アナウンス部も総合編成局も報道局も気づかなかった構図です。
危機感?楽観視?他者にはその視点で何かを求め語り、我こそは的な「話」をすることが得意でも実践はそうでもない。言うは易しのわかりやすい事例ですね。 - 最初の発熱の段階で自宅待機して陽性が分かった後は、元阪神の片岡篤史のように病床から自撮りで撮影、記録した物を番組で流して身をもって視聴者に警鐘を鳴らしてたら、今と真逆の評価になってただろうに…。
- 感染者をあまり責め立てるようなことがエスカレートすると、他に感染した人が公表しづらくなる。
感染したくてした人でないのなら、そこまで謝罪する必要もないだろ。仕方ないと考えるしかない。
大事なことは感染を広げないことだ。隠蔽を促してしまうような雰囲気は避けなければならない。 - 日本人の悪いところが出ましたね。責任感でどうしても仕事を続けてしまう。でも責任ある立場としてはやってはいけないことだ。もう少しでも熱が出たら疑わないと。
防止策強化と言いながら結局テレビ局は対策をしていない。ただ安倍政権を批判するだけで、テレビ局が防止方法の一例を出演者たちが視聴者に見せずにやってること自体違和感。
などのコメントが寄せられています。
テレビ朝日は12日に、富川悠太アナの新型コロナウイルス感染を公表した時点では、「社への体調不良の報告が9日だった」「治療の経過などについては9日以降のことしか把握していない」などと説明していたのですが、今回の経緯説明では4日時点で、富川アナがチーフプロデューサーにLINEで体調不良を報告していたことが判明しました。
もしチーフプロデューサーがそれは危険だと判断し、上司の番組担当部長らにも報告を行っていたら、6日以降の出勤、番組出演を見合わせる選択をしていた可能性があり、このような事態に発展してしまったのは、決して富川悠太アナだけの責任とは言えなさそうですね。
そして、最も気になる富川悠太アナの感染経路についてなのですが、16日発売の週刊誌『週刊文春』によれば、富川アナは夜遊びが嫌いで、唯一の趣味はつけ麺の食べ歩きくらいといい、新型コロナウイルスの感染拡大後はそれも自粛していたといいます。
そのため、テレビ朝日までの通勤時や局内の感染者から移された可能性もありそうです。
また、富川悠太アナがすんなりとPCR検査を受けられた理由については、現在入院している慶応義塾大学病院で受けた検査で、動脈血酸素飽和度の数値が異常に低かったことで「重度の肺炎」と診断され、これによって入院翌日にはPCR検査が受けられ、陽性が判明したと週刊文春は伝えています。
他にも、『報道ステーション』に携わる複数の社員がPCR検査を受けていることや、報道番組センター長などの幹部も発熱の症状が現れていて、クラスター発生の可能性が高まっているとしています。
こうした事態に発展したことを受けてテレビ朝日は17日から3日間、東京・六本木の本社を完全閉鎖して全フロアの消毒作業を実施することを決定するなど、番組の放送を継続するために必死の対応をしていますが、他にも感染している社員がいた場合には、これも全て無意味となりますし、長時間のスタジオ収録や打ち合わせなどがさらなる感染拡大を招く恐れがあるため、番組を継続するにしても番組の形式を変更することが必要な気がします。