3日放送のバラエティ特番『ぶっこみジャパニーズ9』(TBS系)にて、オーストラリア出身で女装パフォーマー、プロレスラー、ミュージシャンとして活動するレディビアードさん(34)のことを「アニメの世界観を一切無視したとんでもないアニソン歌手」と紹介していたことから物議を醸しています。
『ぶっこみジャパニーズ』は、おぎやはぎの2人がMCで2013年10月から不定期に放送されている特番で、世界で人気の日本文化に便乗した海外の「ニセクールジャパン」に、日本が誇るカリスマたちが潜入調査を行い、正しい日本の文化を伝授するという内容となっています。
9回目を迎えた今回は、“アニメソング界の帝王”、“アニキ(ANIKI)”の愛称で親しまれている歌手・水木一郎さん(69)が、タイで現在ブームになっているアニメソング歌手のもとに正体を隠して弟子入りし、ドッキリを仕掛けるという内容になっていました。
番組では、海外でも日本のアニメソングがブームになっていることを紹介するVTRが流れ、そこにレディビアードさんも登場したのですが、番組のナレーションでは「アニメの世界観を一切無視したとんでもないアニソン歌手も存在」として、レディビアードさんがパフォーマンスする映像が流れました。
<↓の画像が、『ぶっこみジャパニーズ9』でレディビアードさんのことを紹介していたシーン>
このように紹介されたレディビアードさんは2006年に香港でスタントマンとしてデビュー、2009年に香港でプロレスラーデビューしているのですが、ツインテールにロリータ・ファッションという女装姿で人気を集め、その格好でヘビーメタルを披露するというパフォーマンスも披露していました。
そして、2013年8月より日本での活動をスタートさせ、日本では“ビアちゃん”の愛称で親しまれており、2015年からは国内大手のコスチュームメーカー『クリアストーン』のPRユニットとして結成のアイドルグループ『LADYBABY』のメンバーとなり、昨年7月末まで活動していました。
今年2月には、アイドルグループ『Cheer♡1』のメンバーで、プロレスラーとしても活動する才木玲佳さん(れいき・れいか 25歳)と共に新ユニット『DEADLIFT LOLITA』を結成し、4月から毎月1回主催ライブを行っています。
<↓の画像は、『DEADLIFT LOLITA』として活動するレディビアードさん&才木玲佳さんの写真>
レディビアードさんは、日本のポップスやアニメソングをメインにカバーしているのですが、ただカバーするのではなく曲の途中で、可愛い歌い方からデスボイスに変えるという特徴があり、このスタイルを「カワイイコア」と称して人気を博しています。
そんなレディビアードさんについて『ぶっこみジャパニーズ9』では、「アニメの世界観を一切無視したとんでもないアニソン歌手」と紹介していたことからファンらの間で批判の声が噴出し、それを知ったレディビアードさんも自身のツイッター上で「すごく悲しい」とツイート。
<↓の画像が、レディビアードさんのツイート>
また、レディビアードさんが所属する事務所『株式会社オパルス』の代表取締役社長・立花奈央子さんもツイッターを更新し、「番組制作担当者から提出された企画概要を確認して映像の使用許可を出しましたが、まったく違う文脈で編集・オンエアされていたので、現在経緯を調べています。」とツイート。
<↓の画像が、立花奈央子社長のツイート>
その後は弁護士にも相談した上で、TBSとの間でやり取りを行っているとして、4日深夜には「争点とその対応については、第三者を入れた上で当事者間で明確にしていくつもりです。」とツイートしています。
さらに、立花奈央子社長はニュースサイト『ねとらぼ』の取材も受けており、番組サイドには事務所の意向は伝わっていたのかという質問には、「制作会社担当者の方には、誠意のある対応をしていただいております。弊社に映像使用の依頼をされた制作担当のディレクターさんが全面的に悪いわけではなく、日々忙殺されるテレビ制作の現場において、それぞれの思惑のもとに動く部署の意識の少しの差異が集積されて生まれたのが今回の一件だと解釈しています。」と答えています。
今後の対応については、「再発防止を目的とした速やかな妥結のために、弁護士に委任しております。」としています。
なお、『ねとらぼ』の取材に対してTBSは「特に回答はない」という対応だったとのことです。
そして、このトラブルに対してネット上では、
- TBSこんなんばっかりだな
- この番組前にも問題になったよね。いい加減終わりにしたら?
- たとえ間違っているとはいえども、日本の文化が好きで頑張っている現地の人を頭ごなしに馬鹿にしているような制作者側のスタンスが気に入らない。
- ホームレスの件といい、今回の件といい、外注に任せるにしても、嘘言って自分が報道したいような内容に改編するのって報道機関としてやっちゃいけない事だよね。
- この番組、よく『間違った〇〇』とか『正しい〇〇』を教えるとか言ってるけど、大きなお世話だと思う。日本の洋食屋に外国人コックが来て、ボロクソに言ったところで、だから何って感じだろう
- これ、差別と偏見でしょ。レディビアードさんには頑張って欲しいな。視聴者はちゃんと分かってるよ。
などの批判コメントが殺到しています。
レディビアードさんのことをこき下ろすナレーションを入れるという悪質な行為をした『ぶっこみジャパニーズ』は、これまでにもヤラセ、過剰な演出疑惑が浮上し炎上しており、2015年12月に放送の『ぶっこみジャパニーズ大好評につき第5弾!世界中のニセジャパン年末一斉大掃除SP』では、イギリスで日本のとんこつラーメンが大ブームになっているとして、スコットランドにあるラーメン店にカリスマが潜入しました。
先入先の店では、ヨーグルトを使った白いスープに具材として、ハッシュポテト、酸っぱい豆、ソーセージなどをトッピングしているとし、ナレーションでは「謎のトッピングを6種類も並べやがった」と紹介。
肝心の麺についても、韓国のインスタントラーメン「辛ラーメン」の乾麺を使用し、茹で上がった麺は冷水で洗ってぬめりを取り、水切りもせずに丼に投入するというもので、値段は1杯2100円もするなどと紹介していたのですが、この放送を受けて店側がフェイスブックにて、番組で出したラーメンはあくまでも番組上の演出で、それを同意の上でラーメンのレシピを教えてもらったこと、実際にはインスタント麺は使用しておらず、全て番組のディレクターの指示のもとで行ったと明かしていました。
こうしたヤラセ行為に加えて、昨年6月放送の『ぶっこみジャパニーズ第6弾 4時間スペシャル!』では「国内ぶっこみ調査」と題し、イタリア人のシェフが国内のイタリア料理を提供する店を訪れ、「本当のミラノ料理じゃない」などと批評を行っていたのですが、その内容に対してもネット上では
- 素朴なお店の店主つかまえて、『これはミラノ料理ではない』って、呆れました
- スタッフの態度や演出が上から目線すぎて、悪意しか感じられない
- 高齢の店主が、かわいそうだった
- “正す”という名目で、素人をバカにしすぎ
などの批判コメントが相次ぐ事態になっていました。
この番組に限らず、TBSで放送の番組は度々ヤラセ疑惑などが浮上し大きな騒動になっており、情報・ワイドショー番組『ビビット』で昨年1月に取り上げたホームレス問題については、『放送倫理・番組向上機構(BPO)』が放送倫理違反と判断したことを5日に発表しています。
この騒動では実際に番組の取材を受けたホームレスの男性が、番組サイドからヤラセの指示があったことを明かしており、他にも番組では男性のことを「“人間の皮を被った化け物”ボームレス 犬男爵」と紹介し、その場所でホームレスたちのことを「多摩川リバーサイドヒルズ族」と揶揄するなど、差別や偏見を招くような表現が多々あったことから大炎上しました。
TBSは『ぶっこみジャパニーズ』でも同様のヤラセ行為、人を見下した演出、表現をしており、全く反省の色が見られないのが非常に残念です。
『ぶっこみジャパニーズ』に対しては不快に感じている視聴者も多いことから、今回の騒動を経て番組の内容などを改めていってほしいものですね。