福岡を拠点に活動しているアイドルグループ『HKT48』が13日に、7枚目のシングル『74億分の1の君へ』をリリースしたのですが、TYPE-CのCDに収録されている楽曲『アインシュタインよりディアナ・アグロン』の歌詞に対し、ネット上では「女性蔑視だ」「女性に対する侮辱の塊」「何回見ても気持ち悪い歌詞」などといった批判が殺到し、炎上状態になりました。
この騒動は一部ネットニュースサイトでも記事として取り上げられ、ネット上ではこの曲の歌詞に対して様々な意見が寄せられていたのですが、ニュースサイト『LITERA（リテラ）』がこの曲の歌詞を手掛けた総合プロデューサー・秋元康さんの歌詞にある女性差別思想を分析、批判する内容の記事を報じたところ、AKB48やHKT48などの運営を行っている『株式会社AKS』の法務部から、「名誉毀損及び侮辱罪が成立する」「即刻、記事を削除せよ」といった内容の抗議メールが届いたことを『LITERA』が明らかにし、ネット上で大きな話題になっています。
『LITERA』の記事には、AKS側から送られてきたという抗議メールの本文が掲載されており、
貴社は、自ら運営するデジタルメディアサイト「リテラ」において、2016年4月13日、「HKT新曲の歌詞が女性蔑視だと大炎上・・・『女の子はバカでいい』と書く秋元康のグロテスクな思想は昔から」の見出しの下、当該歌詞が女性を著しく侮辱しているとの印象を読み手に与え、当該楽曲を誹謗中傷するにとどまらず、その他AKB48グループが歌唱する楽曲についても、「女性蔑視的な思想とセクハラ表現の集大成」などと記載し、もって、AKBグループのメンバー及び通告会社を逆に侮辱する記事（以下、「本件記事」といいます。）を配信されています。
しかし、当該歌詞は、女優ディアナ・アグロンに憧れる架空の女の子のお話しであり、特定の女性像を推奨する内容ではなく、差別的な意図は全くありませんし、その他貴社が指摘される楽曲の歌詞についても同様に、女性蔑視やセクハラの意図は全くありません。
と、本件記事の概要として書かれていたとのことです。
このように真っ向から反論し、問題の記事の削除を求めるとともに、今後AKB48グループに関する無責任な誹謗中傷記事の配信を差し控えることを求めているのですが、この曲の歌詞を見てみると、女性蔑視しているようにしか思えない箇所が多々見受けられると指摘されています。
以下が、問題視されている部分の歌詞です。
- 『難しいことは何も考えない 頭からっぽでいい 二足歩行が楽だし ふわり軽く風船みたいに生きたいんだ』
- 『女の子は可愛くなきゃね 学生時代はおバカでいい』
- 『テストの点以上瞳の大きさが気になる どんなに勉強できても愛されなきゃ意味がない スカートをひらひらとさせてグリーのように』
- 『世の中のジョーシキ 何も知らなくてもメイク上手ならいい ニュースなんか興味ないし たいていのこと誰かに助けてもらえばいい』
- 『女の子は恋が仕事よ ママになるまで子供でいい それよりも大事なことは そう スベスベのお肌を保つことでしょう？』
- 『人は見た目が肝心 だってだって 内面は見えない 可愛いは正義よ』
この歌詞に対して不快感を覚えた女性は多く、4日にこの曲のミュージックビデオがYouTube上で公開されると、ツイッターやネット上なので女性差別なのではないかといった声が相次ぎ、炎上状態になりました。
楽曲のタイトルに含まれている「ディアナ・アグロン」とは、NHKでも放送され日本でも人気が高いアメリの人気ドラマシリーズ『glee/グリー』で、美人チアリーダーのクイン・ファブレイ役を演じた女優の名前。
『アインシュタインよりディアナ・アグロン』の歌詞には、「スカートをひらひらとさせてグリーのように」というフレーズもあることから、『glee』のクインに憧れる女の子をテーマにした歌詞となっているようなのですが、『glee』に登場するクインとは正反対の女性像がこの曲の歌詞では表現されていたため、『glee』のファンからも、
- ろくに作品も見てないのに歌詞を書くなよ
- 本人にもグリーに関わった全ての人にも、本当に失礼で腹立たしい
- ディアナ・アグロンもクインも知性の塊だ。あのバカな歌詞には合わない
- どんな問題意識をもって『glee』が作られていたか、どれだけ、アメリカのドラマ界に革命を起こしたか知らないのか。何を言ってるんだ本当に…
などといった批判が寄せられています。
ちなみに、ディアナ・アグロンさんが演じたクインは、美人で成績優秀なチアリーダーなのですが、中学生の時は肥満体型で顔を整形して美人になったという過去を持ちます。
＜↓の画像は、クイン役を演じたディアナ・アグロンさん＞
高飛車で思いやりの心など持ち合わせていない自分中心的な性格で、「どうせこの田舎町を出られない」という諦めから容姿にこだわり、恋愛とスクールカーストの勝者になることだけを目指し、好きでもない男の子供を妊娠してしまうなどしてしまうのですが、クインはグリー部（合唱部）に所属することで普段は付き合うことのないタイプの部員たちと大会を目指して奮闘するうち、仲間意識が芽生えて人間的に成長していくという役柄で、クインは高校卒業後に超名門・イェール大学に進学しています。
このようにクインは以前の見た目だけの女性から脱却していく様子が描かれており、秋元さんが描いた歌詞とは真逆になっています。
そして、AKS側が削除を要求している『LITERA』が13日に配信した＜HKT新曲の歌詞が女性蔑視だと大炎上…「女の子はバカでいい」と書く秋元康のグロテスクな思想は昔から＞というタイトルの記事には、これまでにも秋元さんは女性蔑視と取れる曲を書いているとし、『口移しのチョコレート』という楽曲には「チョコレート 口移しして いつものキスじゃつまんないよ 強引にねじ込んで… チョコレート 舌で溶かして あなたの愛を舐めたいの 唇をはみ出して… ヤラシイ音を立てる」という歌詞があると指摘。
- 『口移しのチョコレート』（YouTube）
さらに、NMB48が27日にリリース予定のシングル『甘噛み姫』のType-BのCDに収録されている『恋を急げ』という楽曲には、「定期的に恋をしないとね 劣化していくよ 蜘蛛の巣ほら張ってるよ 食欲が性欲に勝ってるなんて なんか悲しいね このまま行ったら年とっていくだけ 急いで恋をしなくちゃ一人に慣れてしまうよ 女の子の賞味期限あっという間に過ぎちゃう」という歌詞があり、秋元さんの女性蔑視的な思想とセクハラ表現の集大成のような内容になっているとしています。
こうした指摘に対してAKS側は抗議し、記事の削除を要請しているとのことですが、これにネット上では、
- そりゃ秋元の歌詞が実際に女性蔑視なんだからそう書かれるのは仕方がない
- セーラー服を脱がさないでとか気持ち悪い曲作って売れてしまったから感覚が麻痺してんだろ
- ガソリンと火薬持ってるバカに、わざわざ火種もって突撃するんだもんな。さすが秋豚としかｗ
- 本当にカッコ悪いなＡＫＢの連中は。もっとカッコ悪いのはこんな恫喝に普段屈している地上波と紙のメディアだけども
- 女は馬鹿でいいとか直接的には書いてないのに恐喝したってことはやっぱ馬鹿でいいと思ってるんだね
- リテラは左翼丸出しで大嫌いだけど、これには頑張れといいたいｗ
- 映画とかでも人種差別的とか女性差別的とかで、勝手に批判されるのは日常茶飯事なのに、いきなり名誉棄損持ち出すって…。しかもそれが日本で一番売れてるグループってきついわ
- 多分『可愛いは正義』みたいなのをテーマに適当な歌詞作ったんだろうけど、ゲスなオッサンの品性が染み出てしまう。おまけに引用しているアメリカドラマの知ったかぶりがバレるという所が秋元だな。しかもそれを他人に批判されたら逆上すると
- 仮にも言葉をなりわいとする人間なら堂々と反論するべきだったな。裏でコソコソ圧力かけんなよ
- 作品に思想も信念もないくせに批判だけは封殺したいって本当に最低だな
- 秋元の歌詞は誰が読んでも総じて女性蔑視だしAKBの売り方も女性蔑視の塊だろ。それをちょっと批判したら訴訟っておかしいわな。というかあんな30分で書いたような糞みたいな歌詞にそんな激怒するほどのプライド持ってたのかよｗ
などのコメントが寄せられています。
AKS側に問題視された『LITERA』の記事は「秋元康のグロテスクな思想は昔から」とタイトルで煽り、秋元さんの思想、これまでの楽曲の歌詞を痛烈に批判し、かなり煽った記事内容にはなっているため、怒りをあらわにするのも分からなくもありませんが、指摘されている楽曲の歌詞を見てみると、確かに女性蔑視ととれる表現をしているため、多くの批判が寄せられるのもしょうがないことかと思います。
もしこれが間違った解釈なのであれば、『LITERA』の記事を削除することを要求する前に、AKSもしくは秋元さん本人がしっかりと歌詞の意味を説明し、女性蔑視をしているわけではないと釈明するべきなのではないかと思いますね。
今回の『LITERA』側の反論に対し、AKS側が反応を見せるかどうかは定かではありませんが、今後の展開に注目していきたいですね。