酒気帯び運転によるひき逃げ事故で、自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)、道路交通法違反(ひき逃げ、酒気帯び運転)の罪に問われていた元モーニング娘。の吉澤ひとみ被告(本名=川前ひとみ 33歳)に対して、懲役2年・執行猶予5年(検察の求刑懲役2年)の有罪判決が下されました。
裁判長は吉澤ひとみ被告の罪に対して、「吉澤被告の呼気からは、ほかの事案と比べても高濃度の値が検出されていて、結果は被害者の顔面に傷跡が残るなどで軽いものではなく、被告の責任は相当に重い」
と指摘しました。
執行猶予5年(執行猶予の中で最長)の判決とした理由については、悪質な事故で軽視することは出来ず、反省する期間が必要として通常よりも長い執行猶予5年と定めたとし、吉澤ひとみ被告が深く反省していることや、すでに被害者の20代女性、40代男性との示談が成立し、慰謝料などの支払いや謝罪を受けて被害者側が寛大な処置を求めていることを考慮したと説明しています。
また、吉澤ひとみ被告はひき逃げ事故後に現場から逃走したものの、約15分後に自ら警察に通報し、現場へ戻ったということは責任の大きさを自覚することができることや、元所属事務所社長や元マネージャーからも寛大な処分を願う嘆願書が提出されたことも受けて、執行猶予を付けたとしています。
そして、この判決を受けてネット上では、
- うわっ これが許されるなら、何でもありだな……
- おかしい。有名人の事故だし、これだけ注目された重大事件が執行猶予付きの判決となると、酒飲み運転の抑止にはつながらない。
- 何で実刑じゃないんだ?あの走り方は『凶器』以外の何物でもないだろ。
- 飲酒ひき逃げは悪質犯罪であり実刑という判例が必要だと思う。日本の裁判所は加害者に対して甘すぎる。
- 飲酒ひき逃げで怪我させて執行猶予ってのがよく分からん。社会的制裁なんて、受けて当たり前なのに、鼻すすって泣いて『ごめんなさい』で執行猶予。だから飲酒運転がなくならないんだよ。
などのコメントが寄せられており、執行猶予を付けるのは甘すぎると批判的な声が殺到しています。
29日に行われた初公判では、吉澤ひとみ被告は事故前日の20時~深夜0時ごろにかけて、自宅で350mlの缶チューハイ3本(アルコール度数9%)と焼酎のソーダ割り100mlを2杯飲み、深夜1時半ごろに就寝して6時ごろに起床、同51分ごろに仕事場に向かうために車で家を出て、それから約6分後の同57分ごろにひき逃げ事故を起こしたことが明らかにされています。
ドライブレコーダーには、吉澤ひとみ被告の「やばい、やばい」という声が記録されているのですが、被害者を救護せずに走り去った理由については、「気が動転してパニック状態になってしまったからです」と答えていました。
吉澤ひとみ被告は事故を起こした後に赤信号で止まり、目撃者から車の窓を叩かれて現場に戻るよう促されたにも関わらず、現場から約5km離れた場所に移動し、警察に通報する前に夫にLINEで「人をひいた」と報告、これに対して夫から「救急車を呼ぶように」と伝えられたことで110番通報しました。
吉澤ひとみ被告は警察に通報した際に、「自転車を押した人をはねてしまった。今は練馬区役所にいる。すぐに車を止められなくて、今は止まれたので(通報した)」と話したといいます。
弁護人は吉澤ひとみ被告が現場から立ち去ったことについて、「被害者の救護をしなかったのも、事故の後パニック状態に陥り、目撃者の声も判断できない状態であったためであり、証拠隠滅のためではありません。また、被告はパニックが落ち着いた後、110番の上、事故現場にまっすぐ引き返しており、その対応は著しく悪質とはいえません」
としています。
事故発生から約3時間後に行った飲酒検知では、呼気1リットルあたり0.58mgのアルコールが検出されており、これは基準値(0.15mg)の約4倍にあたるのですが、検察は「事故当時は0.78~0.93mg」はあったのではないかと推測しているのですが、警察の取り調べで当初飲酒量について「缶チューハイ3杯」と供述した理由について吉澤ひとみ被告は、「その場で頭に浮かんだのが缶チューハイ3本だったからです」と説明していました。
そして、顔や胸に全治10日の軽傷を負った被害者の女性は、「白い車が勢いよく走ってくるのが見えた。顔に傷が残り、精神的にも傷ついた。被告にはしっかり償ってほしい」、顔に全治5日の打撲を負った40代男性は、「軽傷で済んだが、一歩間違えれば重大な事故だった。被告には反省し罪の償いを全うしてほしい」と話していることを検察が明らかにしています。
吉澤ひとみ被告は初公判までに、男性には直接謝罪しており、面会出来なかった女性には自身と母親、夫が謝罪文を送付し、2人には示談金や慰謝料を支払い、すでに示談が成立していることも明らかにされています。
この他にも、吉澤ひとみ被告は2014年に運転免許を取得しているのですが、免許取得から約4年半の間に2度の事故を起こし、3度の交通違反歴があると検察から指摘されており、これについては「(法規意識が)十分ではなかったと思います」「自分に対する甘さがあった」などと話していました。
基準値を大きく上回る酒気を帯びた状態での運転、ひき逃げ、速度超過、信号無視をしており、懲役2年を求刑した検察側は「危険性の高い行為で、刑事責任は重く、悪質だ」と批判しており、ネット上でも同様に吉澤ひとみ被告の行為は悪質極まりなく、実刑を下すべきという声が圧倒的多数となっています。
さらに、吉澤ひとみ被告は毎日のようにキッチンでお酒を飲む「キッチンドリンカー」だと夫が明らかにしているのですが、保釈後の飲酒について「急激に減っている」として、現在でも今回の事件の要因になった飲酒をやめていないことが明らかにされたため、反省していないのではないかと指摘する声もあります。
今回の事件では、被害者2人が軽傷だったことによって、執行猶予付きの判決が下されたところもあるとみられますが、時速86kmで接触し、当たりどころが悪ければ重傷もしくは亡くなられていた可能性があり、ドラレコ映像を観る限りでは悪質なひき逃げ事故だと感じることから、見せしめのためにも実刑を下すべきだったのではと正直思いますね。